高濃度茶カテキン飲料。花王のヘルシアと伊藤園のカテキン緑茶。ヘルシアの方がカテキン量が多くヒトでの1日許容摂取量を超えている。
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2007年にカナダで肝障害を起こしたサプリに含まれていた「茶カテキン」は、花王ヘルシアに含まれるものと同一であることが筆者の調査で分かった。同商品はカナダではリコールされ販売停止。アメリカでは注意書き付きで販売されている。2009年にはイタリアでの研究で、茶カテキンが原因と疑われる肝障害34件に関して再分析した論文が発表され、因果関係は「ほぼ確実」と判断された。2008年の日本での動物実験による研究では、ヘルシア一本でヒトの許容摂取量を超えることも判明。2011年のアメリカ食品医薬品局の研究者による論文では「空腹時に飲むと有害影響が出やすい、男性より女性に被害事例が多い」などが指摘された。それでも皆さんは高濃度カテキン緑茶を飲むのか。(どうしても飲みたい人向けの、各研究から分かった注意事項付き)
【Digest】
◇カナダで肝障害を起こした茶カテキンはヘルシアと同じもの
◇アメリカでは肝臓リスクへの注意書きが
◇米国薬局方も警告表示を求めていた
◇イタリア論文「症例の85%は服用中止で症状改善」
◇高濃度茶カテキンで「酸化が進むことも」川西正祐教授
◇動物実験でのデータでは、ヘルシアは1日許容摂取量を超える
◇注意するポイント「空腹時には飲むな、女性は特に注意」
◇カナダで肝障害を起こした茶カテキンはヘルシアと同じもの
当サイトで
高濃度茶カテキンによる肝障害について報告してから4年。日本では相変わらず花王「ヘルシア」や伊藤園「カテキン緑茶」など高濃度茶カテキンを使ったお茶が、国が認める特定保健用食品として売られ続けている。商品には、肝障害を予防するための注意事項などは、何も記されていない。
一口に茶カテキンといっても、海外で肝障害を起こしたサプリメントと花王のヘルシアなどに含まれる茶カテキンが同一成分とは限らないのではないか、というご意見を読者からいただいた。
そこで調べたところ、カナダで2007年に肝臓移植が必要なほど深刻な症状を起こした茶カテキンと、花王のヘルシアに添加されている茶カテキンとは、どちらも同じ物であることが分かった。
それは、三井農林の開発した製品で、日本では「ポリフェノン」。北米では「Green Lite Poliphenon」という商品名で、サプリメントとして販売されている。
食品安全委員会の情報では、カナダの人が飲んでいたのはその「Green Lite Poliphenon」だと指摘されている。その商品は、カナダでは2007年にリコールされているが、アメリカではまだ販売されている。
アメリカのサイトによると、主成分である茶カテキンは三井農林のポリフェノンを使っており、2003年に日本で効能表示が認められた、とある。これは、花王のヘルシアが日本でトクホとして承認されたことを指していると考えられる。
花王のヘルシアは三井農林のポリフェノンを使っているのか。花王に直接問い合わせても答えてはもらえそうにないため、調査を続けると、健康食品のビジネス情報のページに、
「(健康食品)素材メーカーは、健康食品に使われる素材を製造し、大手メーカーに供給する。その代表格が花王、キリンビバレッジ、日本コカ・コーラなどに茶カテキンを提供する三井農林である。三井農林は紅茶メーカーであるが、茶葉事業の2003年度の売上高は、総売上高の約3割に当たる約150億円に到達した。最近では花王の「ヘルシア緑茶」に含まれる商品名「ポリフェノン」という茶カテキンを提供している」
との記述が見つかった。
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米国通販サイトでの高濃度茶カテキンサプリ商品の注意事項。注意事項部分を著者が翻訳した。 |
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つまり、カナダで肝障害を起こした高濃度茶カテキンと、ヘルシアに使われている高濃度茶カテキンとは、どちらも三井農林が開発したもの、ということだ。
◇アメリカでは肝臓リスクへの注意書きが
アメリカでまだ販売されている通販サイトの表示をよくみると、一番上にDisclaimer(免責条項)として、「肝臓に問題のある人はこの製品を使ってはいけません」と警告表示してあった。
何の注意書きも無く堂々と売られている日本のヘルシアとは対照的だ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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アメリカ薬局方協議会作成の「緑茶抽出物の安全性」より抜粋 |
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動物実験で確認された1日許容摂取量をヘルシアは超えている |
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