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内部通報者に報復続けるオリンパス 勝訴確定の濱田氏をチームリーダーから解職、無効求めまた裁判

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内部通報被害者のオリンパス社員、濱田正晴さん。
 巨額の損失隠し発覚をきっかけにコンプライアンス体制の再建を進めるオリンパスだが、“もう1つのコンプライアンス問題”が迷走している。上司の違法行為を内部通報したため報復人事を受けた濱田正晴さん(52)のケースだ。会社に在籍したまま配転無効を訴えた裁判は昨年6月、最高裁がオリンパスの上告を退け、配転は報復だったとする高裁判決が確定、濱田さんが勝訴。ところがその後も濱田さんは報復を受け続け、なんとチームリーダーの職位を解職され、平社員にされた。そこで、また会社と上司を相手取り、2つの訴訟(2012年9月、11月)に発展、泥沼化している。公益通報者保護法はなぜこうも無力なのか。濱田さんに実情を聞いた。(2次3次の訴状と準備書面はPDFダウンロード可)

 「コンプライアンス運用規定には、内部通報者の不利益となる扱いをしてはいけないと書いてある。それなのに、またチームリーダーの職位を剥奪された。解職は3番目に重い懲戒処分と同じ。これでは報復の連続だ」。

 オリンパス株式会社の現役社員、濱田正晴(52)さんはそう憤る。

 上司の行為を内部通報したことへの報復として未経験の部署に飛ばされ、密室での暴言やフロアでの孤立化、異常に低い業績評価といったパワハラを受け続けたことが最高裁で違法と確定し、5年半にわたり被った不利益が回復されるはずの異動で、またもや報復人事を受けたからだ。

◇これまでの経緯:きっかけは内部通報

 きっかけは2007年6月。当時、濱田さんは、億単位の価格の大型精密検査システムを鉄鋼業界に売り込む営業チームリーダだった。

 最初に契約してくれたのはAという製鉄会社だ。ところが濱田さんの上司が、秘密保持契約をしていたA社から、機密情報を知る技術者を引き抜いていた。

 上司はこの技術者を、Bという製鉄会社とのビジネスの場に投入。B社の担当者は、この技術者を通じてB社の機密情報がA社に流れるのではないかと危惧し、濱田さんに懸念を伝えたこともあった。A社からも、この技術者を同業他社に出入りさせないよう要請があった。

 A社の役員や部長は、引き抜きに対して怒っていた。そのことで、A社を担当していた濱田さんが、A社の取締役や部長から強い口調で注意や警告を受けたこともあった。そのような中で濱田さんは、後にA社から出入り禁止を通告されることになる上司が、A社から2人目の技術者を引き抜こうとしていることを知る。

 オリンパスはすでに、A社からもB社からも疑いの目で見られていた。鉄鋼業界は歴史が古く横のつながりも強いため、もし2人目の引き抜きが実行されればオリンパスの信用は失墜し、鉄鋼業界全体から締め出されることになる。そう恐れた濱田さんは引き抜きを止めるよう上司に主張したが反発され、菊川剛社長(当時)にも直訴したが無視された。

 濱田さんはやむなく、オリンパスのコンプライアンスヘルプライン運用規程に従い社内のコンプライアンス室に内部通報。ところが、ヘルプラインの担当者が、通報者が濱田さんであることを、当の上司と人事部長に無断漏洩した。

 その報復として濱田さんは、まったく未経験の研究調査分野に異動(第1配転)させられ、孤立。上司から長期間にわたり密室で暴言を受けたり、質問しても無視されるなどのパワハラを受けることになった。

 その後も2度(第2、第3配転)、未経験分野に異動させられ、見せしめ的に孤立した席で、新入社員がするような勉強とテストを繰り返すといったパワハラを受け続けた。

 濱田さんは、これらの配転は通報者の不利益扱いを禁じた公益通報者保護法や自社のコンプライアンスヘルプライン運用規程に違反するとして、現役社員のまま、配転無効と損害賠償を求めて会社と上司を提訴。地裁では敗訴したが高裁で逆転勝訴し、昨年6月には最高裁がオリンパスの上告を退けたため、配転は違法だったとする高裁判決が確定した。

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見せしめ的に孤立させられた第3配転先のデスク配置。「空」という文字が目立ち、「本日も放置状態」と書かれている。濱田さんの2011年10月の日記から。

 内部通報をした当時、濱田さんは営業職として15年のキャリアを積み上げ、難関と言われる管理職の昇格試験に推薦されたこともあった。

 だが、違法配転によってキャリアの継続性を奪われ、正当な業績評価を受けられなくなった期間は、5年半にもおよぶ。

 その5年半のあいだに受け続けた不利益が償われるはずだった異動が、なんと「解職人事」だったのだ。

詳しい経緯を知りたい方は、マイニュースジャパンの既報を読んでほしい。

(1)オリンパス公益通報〝対象外〟とされた社員が語る 「通報には弁護士レベルの知識が必要」
(2)「成果主義が報復の道具に」 オリンパス公益通報訴訟の濱田さん
(3)オリンパス内部通報の濱田さん、パワハラ激化で3度目の人権救済申立 勝訴確定でコンプライアンス推進部長職を要望

◇4回目の配転 チームリーダー剥奪
 最高裁決定による勝訴確定後(第1次訴訟)も違法配転が解消されないまま3カ月が過ぎた昨年10月1日、オリンパスは濱田さんに対し、内部通報後4回目となる配転を実施し、チームリーダーの職位を外して、6~7人いるチームの「スタッフ」(平社員)とする人事を断行した。

 異動先の名称は、「コーポレートガバナンス統括室、品質環境本部、品質環境推進部、品質保証グループ、品質保証チーム」。

 会社側が提出した裁判資料によれば、

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第5配転命令の無効を求めた訴状の一部。

「濱田君教育計画」と題する第2配転先での文書。高裁判決で「侮蔑的な嫌がらせであり、違法というべき」とされた。

総務部が部長以上に宛てた「社員の人権救済申立てに関する一連の報道について」と題する文書。

E格への昇格推薦書。

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gogatsu262013/03/12 01:33

">公益通報者保護法はなぜこうも無力なのか。"

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Haaaa_N2013/03/11 20:08

やっぱオリンパス未だゴミクズでしたわ

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読者コメント

和田勘2013/06/28 11:06
応援会員X2013/03/23 22:04会員
のぶひさ2013/03/20 23:41
本人訴訟2013/03/11 00:37
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