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大東建託が「不正」理由に社員21人を一斉解雇、隠蔽体質を露呈

情報提供
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実在しない退去費用を会社に請求するなどといった「建て替え促進キャンペーン」の悪用を理由に、懲戒解雇された大東建託所沢支店の元社員・Cさん。支店長を含む21人が一斉解雇されたという。
 実在しない「退去費用」を請求したとして社員が実刑判決を受けた大東建託をめぐり、この社員が所属していた支店などで、少なくとも21人の営業社員が一斉に解雇されていたことがわかった。解雇された社員らによれば、大量解雇があったのは所沢支店と埼玉中央支店。いずれも同社主力事業であるアパートの開発・販売をめぐる「建て替え促進キャンペーン」の「不正」が理由とされる。だが元社員らは「なぜ上司の言うとおりにしてクビになるのか。全国で調査すれば不正だらけに違いないのに調査しない。トカゲの尻尾切りだ」と漏らす。事実上の組織ぐるみの犯罪であった可能性も高い異常事態を前に、大東建託は「詳細についてはお答えできません」などとだんまりを決め込み、情報開示する姿勢すら見せない。事件を機に、業界トップの上場企業、大東建託のコンプライアンス意識の低さが改めて露呈している。(大東建託への質問状と回答はPDFダウンロード可)
Digest
  • 「所沢支店と埼玉中央支店で21人解雇」
  • 割り引きキャンペーンの「不正」

「所沢支店と埼玉中央支店で21人解雇」

「昨年の12月に首になりました。所沢支店で14人、埼玉中央支店でも7人解雇になっています」

そう打ち明けるのは大東建託所沢支店の元社員Cさんだ。Cさんは、不正を働いたというカドで昨年11月末に解雇された。所沢支店は、詐欺などの罪で実刑判決を受けたAさんが在籍していた支店だ。

「一斉解雇の時期は、Aが逮捕された直後。内部監査が入って不正が発覚し、営業社員が、ほぼ全員解雇されたんです」

大東建託のホームページのどこをみても「21人解雇」に関する発表はない。不正を理由に大量解雇となれば、業績への影響も免れず、投資家への説明責任も生じる。組織ぐるみであれば、さらに全国規模に波及する可能性も高い。だが後述するとおり、取材に対しても事実上のノーコメントだ。

Cさんによれば、確かに21人が「不正」を理由に解雇されたという。以下、Cさんによる経緯の説明である。

「問題になったのは『建て替え促進キャンペーン』という割り引き制度をめぐる不正でした。大東はもともと値引きいっさいやりません。それが急に値引きをするというキャンペーンをやることになったんです。古い賃貸アパートや借家、貸し駐車場などを対象に、取り壊しの費用や退去費用を会社で負担して、実質的に値引きをして賃貸アパートを販売する。そんなキャンペーンです」

土地の所有者(オーナー)に賃貸アパートを販売する。それが大東建託の「建築営業」と呼ばれる営業社員の仕事で、社員の入れ替わりも激しい。

アパート建設だから、一件の契約金額は数千万円~億単位にのぼる。キャンペーンとは、その販売価格を事実上値引きするというものだった。

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Cさんへの解雇通知書

割り引きキャンペーンの「不正」

引き続きCさんの説明である。

「割り引きの上限は契約金額の6%~8%。1億円なら800万円、5000万円なら300万円。その範囲であれば経費として大東から費用が出る、という仕組みでした。契約してもらいやすくするための商品です」

安くなれば当然、オーナーはうれしいだろう。営業マンも売りやすい。Cさんのいる所沢支店でも、キャンペーンを使って営業に励んだ。そして、いつしか「不正」が横行するようになったという。実在しない「退去費用」などをねつ造して、割り引き分の費用を請求する、という手口だった。

「たとえば、キャンペーンで請求できる費用として『工事中の家賃保証』というのがあります。古いアパートを建て替える際に、工事で一時退去する入居者の家賃に相当する費用を大東で負担するというものです。これを使って、本当は6世帯中2世帯しか入っていないのに全部入っているように偽装して、6世帯分の費用を会社から出させるといったことをやっていました。社員の判断でやることもあれば、オーナーさんから頼まれることもありました」

また、実際には何もない土地にあたかもアパートが建っているように工作して、家賃分の費用を会社に出させるといったことも行われていたという。

「実はただの畑なのにアパートが建っていることにしてしまうんです

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割り引きキャンペーンを悪用してAさんが逮捕された契約にもとづいて、新築された大東建託のアパート。オーナーは目的どおりアパートを建て、大東もアパートを販売した。Aさんに払うはずの報奨金は払わなくてよくなった。被害者は誰なのかよくわからない事件だ。

割り引きキャンペーンの悪用が詐欺に問われ、A社員は実刑判決を受けた。そのAさんが担当していた物件は着工し、工事が進んでいた。完工すれば1000万円以上の報奨金が入るはずだった。建設用地には銀行融資による極度額2億4000万円の抵当権が設定されていた。

Aさんが詐欺に問われたアパート新築の契約予定地。実際に存在しない退去費用を捏造して、1650万円を大東建託から支払わせた。同種の割り引きキャンペーン悪用は「みんなやっていた」と所沢支店の元社員はいう。

大量解雇について「詳細につきましてはお答えできません」という大東建託の回答。社員の逮捕・起訴や不正による解雇を公表していない理由も答えはなかった。

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オーナーです2013/07/05 21:58
オーナーの知人有り2013/05/24 19:20
広島人2013/05/10 08:52
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