「38歳、会社員経験なし」のフリー記者に仕事はあるのか?ハローワーク就活ルポ
業界紙に目を通すフリー記者の佐藤裕一。会社員経験のない30代後半の男は絶望するしかないのか?求職活動の実態を報告する。 |
「雇われた経験がないことが、自信がないということになるんだと思います。いまの自信のない状態をいかにクリアしていくかが第一段階だと思います」
ハローワーク上野の2階にある相談窓口で、上品さのある50代らしい女性職員は、求職相談に訪れた38歳のフリー記者にそうアドバイスした。職員の話は次のように続く。
「それが求人に応募できるかどうかのカギじゃないですかね。そこをクリアできないと、やっぱり応募できない」
このフリー記者とは、私のことだ。連休前の4月の夕方、初めてハローワークに行ってきた。
これまで私が取材した過労死被災者や過労死遺族の方々の一部。すべてマイニュースジャパンで報告した。 |
若者の過労死問題の取材を始めて4年目。会社に雇用された経験はない。つまり、会社員の職歴がまるでないのだ。そのことが、劣等感と自信のなさにつながった。こんな人間を雇ってくれる会社が、今の日本に存在するのだろうか。
総務省統計局の「日本標準職業分類」によれば、記者という職業は「専門的・技術的職業従事者」に分類される。上野のハローワーク職員も、「記者というのは専門職ですからね」という。
だが、グーグルで「名乗ればなれる職業」と検索すると、フリージャーナリストが検索結果の1位と2位を占めている。
◇会社員経験のない38歳の自称記者
つまり私は、会社員経験のない38歳の自称記者であり、経験も浅い。ハローワークでの求職活動で採用面接までたどり着けたとしても、職歴の話は恐怖でしかない。雇われた経験といえば、20代のころにしていた都内の高級レストランのアルバイトしかないからだ。
経営的立場にいたことはある。フリー記者になる5〜6年ほど前に、数名の仲間とともにネットメディアの会社をつくり、唯一の常勤役員として、一般事務とシステム管理をやっていた。ただそれも、従業員がいないうえ、「会社ごっこ」と批判して仲間が去って行くような会社だった。
外注したら百万円以上かかるようなシステムを私が作ったりもしたが、結局、この会社は成り立たなくなった。
大学は出ているが、就職ではあまり役に立たない文学部で、いまの私に出来ることといえば、取材して資料を読み、時間をかけて過労死の記事を書くことだけ。仕事に役立つ資格は何一つない。自動車の運転免許も、交通事故を起こすに違いないと考えて取得してこなかった。
あえて挙げるとすれば、柔道4段である。私が柔道の稽古している講道館の本館は、4段未満の人は道場費が月5000円かかるが、4段になると無料になる。後進を教える立場に入ったという意味だと考えている。したがって、もっと若ければ、警備会社の採用試験で有利に働いたかもしれないが、年齢的にもう無理だろう。他には何もない。
だから、求人に応募するとか、職歴の話をすることは恐怖だ。第三者から見て私はどうのなのか。雇ってくれるような会社はありそうなのか。このまま記者を続けるべきなのだろうか
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(上)ハローワーク飯田橋のエントランスホール。2階が求職者向けフロアになっている。(下)ハローワーク飯田橋の求職者向けフロアに続く階段。
(上)ハローワーク飯田橋の求人閲覧ブース。(下)ハローワーク飯田橋でプリントした求人票の例。
ハローワーク上野の外観。
私の「求職申込書」。書けるところだけを短時間で書いたので乱雑な内容になっている。
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皮肉が利いててすばらしい!
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読者コメント
追記です。38再ではなくて38歳ですね。間違えてしまいました。時給800円の仕事ならありますが7時間で5600円です。一人暮らしでの生活できません。一人暮らしには最低20万円は必要です。税金等で10万ぐらいはもっていかれてしまいますので低所得者には厳しすぎます。
何とか今月中に仕事を決めたいと思います。
私も今38再です。佐藤さんと同じ環境です。
今、職を探していますが派遣でさえも断られる状態です。
どうしたものか今、とても不安です。もうじき資金もそこをつくので日雇いの生活に逆戻りです。
アベノミクスは私には無関係です。
佐藤さんの記事をいつも期待して待ち望んでいます。
佐藤さんの記事によって救われる人は多い。
面白い実験かまことか?
この続報楽しみ。
企業務めしていなくても佐藤祐一さんはいい記事書いているし自信を持ってちょうだい。
外注に出して、100万のシステムを作れるのならば、ITで食えますよ。
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