女性役員「いる会社」17%増益、「いない会社」31%減益 一部上場1606社の5年調査
役員の多様性と業績の相関(2007~2012年業績変化) |
- Digest
-
- 女性の専従役員がいる会社は、ダントツで業績が良い
- 3分の2はオーナー企業
- 外国人役員の有無は、ほぼ関係ナシ
- 「多様性に富む資生堂」は混乱
女性の専従役員がいる会社は、ダントツで業績が良い
安倍首相は今年4月、「成長戦略の柱」として女性の活用を掲げ、経済3団体に「全上場企業で、役員のうち1人は女性に」と要請した。その根拠として内閣府男女共同参画局のウェブサイトでも紹介されているのが、「組織の上位役職への女性の参画が高い組織はパフォーマンスが高い」という海外の調査結果である。
本稿は『週刊朝日』2013年6月14日号(6/4発売)トップ記事「上場1606社 本当の実力ランキング」として掲載された。購入はこちら。 |
これは「カタリスト」という、女性の活躍を促進するためのNPOが調査したもので、フォーチュン500を対象に、女性が役員に登用されている比率が高い上位4分の1と、下位4分の1を比べた結果、売上高利益率が42%上回るなど、各種業績指標が優れていた、というもの。
ただ、この調査は明確な目的(女性登用)を持つNPOが行っているため、中立とは言い難い。
そこで、日本の東証一部上場企業を母数にして同様の調査を行おうと考えたが、そもそも女性役員が1人以上いる企業が、驚くべきことに71社しかないことが判明した(全体の4%)ため、上位4分の1に全く達しておらず断念。
この71社と、残り(役員が男性だけ)1475社との間で、どのような差がみられるのか、を検証した。まず、カタリスト調査と同様、売上高経常利益率で比べると(2012年)、女性役員がいる会社が9.1%であるのに対し、いない会社は、5.1%。景気が良かった2007年でも、いる会社9.0%に対して、いない会社6.9%。カタリスト調査(42%)どころではなく、東証一部では2012年、利益率が78%も上回っていた。9%台の利益率を保った点で、女性役員がいる会社は不況にも強かった。
それでは、この5年間での売上、経常利益、時価総額などの変化率ではどうか。オーナー企業と同様、これらの指標で、女性役員がいる企業(および外国人役員がいる企業)全体と、いない企業全体のパフォーマンスを比べたところ、冒頭グラフ「役員の多様性と業績の相関」の通りとなった。
【調査概要】
女性か否か、外国人か否かは、「会社四季報2013年春」の役員欄の氏名から判断し、「善美」のような性別不明な場合は会社に電話で確認。重要なこととして、「お飾り」に過ぎない非常勤監査役や社外取締役は抜き、常勤のみとしている。業績データ取得方法はオーナー企業編と共通。
なお、「女性役員がいる」といっても、2人以上いる会社は8社だけで、残り63社は1人だけ。最多は4人のニチイ学館、続いて3人のツクイで、いずれも介護関連だった。
グラフを見てわかるとおり、女性役員がいる会社は突出して業績がよく、オーナー企業よりも、さらに上だ(オーナー企業編参照)。売上高は15%伸び(全体平均は▲7%)、経常利益は17%伸びた(同▲30%)。給与も102%と、唯一伸びていた。「女性役員なし」企業は、3%減らしていた。
「女性役員がいる会社」経常増益ランキング(2007~2012年) |
それでは具体的に、どの企業が業績を伸ばしたのか。女性役員と高業績の相関がみられる背景には何があるのか。
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り1,732字/全文3,136字
外国人役員が多い会社とその業績(2012年)
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。記者からの追加情報
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)
企画「ココで働け! “企業ミシュラン”」トップページへ
企画「他のメディアへの配信/MyNewsJapanからのお知らせ」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。