My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

日本IBMで「金曜夕方のミーティングに突然人事が現れ解雇通告→ロックアウト」が再燃、3か月で26人解雇

情報提供
ReportsIMG_J20130819172959.jpg
組合員に対する「解雇予告通知および解雇理由証明書」。1週間後に解雇する、と書いてある。
 日本IBMで、今年5月~7月にかけて計26人の社員(いずれもJMIU日本アイビーエム支部組合員)が、週末金曜を中心にミーティングがセットされ、人事担当者が突然現れて解雇予告を宣告、翌週から出入り禁止となり、会社を追い出されていたことがわかった。ミーティングを回避すると、解雇予告通知書が自宅に速達で郵送されるという徹底ぶりだった。解雇無効を主張し会社を提訴した2人を含む5人の当時者に話を聞くと、解雇目的のミーティングと察知しその場を逃れた者、解雇と確信しても動じず逆に呼び出した上司をオドオドさせ去らせた腹の据わった者、「新卒の新入社員以下」の職位に降格させられた挙句、隔離部屋に追い込まれ四半期ごとに退職勧奨されていた者など、様々なドラマがあった。突然の解雇通告という緊急事態に際し、社員はどう対応すべきなのか。IBMでまかり通る“解雇最前線”の実像に迫る。
Digest
  • 不意打ちでロックアウト解雇
  • 解雇ミーティングを察知し、脱出
  • クビ斬り部屋に連行した罪悪感で涙目の上司
  • 見知らぬ人の正体は、人事担当者
  • 新入社員以下の職位である「バンド4」に降格
  • 組合員26人が次々に解雇

不意打ちでロックアウト解雇

日本IBMの有無を言わせぬ指名解雇的なロックアウトは以前からあったが、今回解雇通告を受けた26人は、全員がJMIU(全日本金属情報機器労働組合)の所属で、露骨な組合つぶしと言える。(※日本IBMのほとんどの社員は労組未加入)

今年の5月以降で最初に標的にされたのは組合員のI氏(女性、45歳)。I氏は1990年4月に新卒でIBMに入社し、システム管理、ユーザーサポートなどを経て、本社(東京都中央区日本橋箱崎町)のBTITサービス(ビジネス・トランスフォーメーション・インフォメーション・テクノロジー・サービス)に所属した。役職は主任クラスだった。

そんなI氏に今年5月31日(金)、不意に危機が襲ってきた。この日、課長クラス(以下、課長)の直属上司が、「手掛けているプロジェクトの進捗状況を聞きたい」と言い、16時に会議室でミーティングがセットされた。

こうしてミーティングがはじまり、I氏は進捗状況を説明し始めた。すると、ものの数分後、突然、部長クラス(以下、部長)の男性が入ってきた。

部長は、課長に何やらしゃべりかけたので、I氏は、2人で話すために部屋が必要なのかな、と思い、「私、出て行きましょうか?」と聞いたが、部長は「いや、残っていてください」と言う。その途端、課長は部屋から出て行った。

その後、I氏が見たことのない30~40代の女性が入ってきて、「人事です」と言った。

「あ!これは、もしかしたら!」とI氏は思った。昨年の、組合員の解雇事件と同じ状況ではないか、と。

その途端、部長は、一枚の紙を手に取り、いきなり、こう読み上げた。

「会社は、貴殿を2013年6月12日付で解雇します。また本日(2013年5月31日)以降、会社は貴殿に労務の提供を求めません。従って、貴殿の出社を禁じます。

なお、会社は、同日までに解雇予告手当として■■■■■■円(金額は伏せる)を貴殿の給与振込口座に振り込んで支払います。

貴殿は、業績の低い状態が続いており、その間、会社は様々な改善機会の提供やその支援を試みたにもかかわらず業績の改善がなされず、会社は、もはやこの状態を放っておくことができないと判断しました。以上が貴殿を解雇する理由となります」

ReportsIMG_I20130819173538.jpg
I氏

その後、人事担当者が、「オプションとして、6月6日までに、自主退職に必要な書類にサインして提出すれば、加算金と転職あっせん会社を紹介します」と説明し、「細かいことは書類を渡すので読んで下さい」と言った。

こうして、ものの10分程度で話は終わった。

I氏はこの日は帰宅したが、週明けの6月3日、組合書記長の杉野憲作氏(12年9月の記事のトップ画像の人物)とともに出社した。すると、オフィスに入るためのIDカードは、すでに無効になっており入れなかった。セキュリティーセンターに問い合わせると、「5月31日24時で切られています」という。

人事を呼び出し、「どういうことですか?」と聞くと、「出社は求めません」というのみ。いわゆる、ロックアウトである。

会社が提示した自主退職で加算金という選択肢については、I氏はこう語る。

「私は、そもそも組合の中央執行委員をやっていましたし、そんな理不尽な解雇を受け入れるつもりは全くなかったので、自主退職の書類は出しませんでした」

こうして期日の6月12日が来て、I氏は解雇となった。

なお、「自己都合退職の加算金」の金額については、組合員たちによると、年齢やキャリアによって区々だが、概ね、年収を12で割った額を1か月として、40代後半から50代で6か月程度で、なかには12か月といわれるケースもあり、40代前半以下は、若いほど月数は多くなる仕組みで、「1000万円いけばいい方」という。

解雇ミーティングを察知し、脱出

酒本氏(実名、男性、57歳)は、中途採用で滋賀県にあるIBM野洲工場でエンジニアとして長年働いてきたが、同工場の製造部門がなくなり、08年から本社に異動となった。業務内容は、営業部門のサポートをするバックオフィスだった。

酒本氏は10年2月に組合に入った。

「色々と嫌がらせとか、いじめを受けていたので、組合に入りました。いじめというのは、例えば、営業の経験がないなかでやっていたので、直属の上司から『もの覚えが悪い』だとか、『こんなこともできないのか!』とか、『会社に入って、もう何年経っているんだ!!』とか、そんなことばっかり言われ続けました。それに嫌気がさして組合に入りました」と酒本氏は言う。

そんな酒本氏が、会社に狙い撃ちされたのは、今年6月12日(水)のこと。この日、部長のさらに上の所属長クラス(以下、所属長)の上司から、メールがきた。そこには、こう書いてあった。

「6月14日(金)17時から、スキップ・インタビューをやりたい」

スキップ・インタビューとは、直属の上司との面談を飛び越えて(スキップ)、上司の上司とミーティングすることを指す。

このメールをみて酒本氏は、「あ!これは!!」と思った。

「これまで組合の方から、金曜の17時っていうのは、解雇通知を言い渡されるミーティングが多い、と聞いていたんです。ですから、ヤバイな、と思いました」(酒本氏)

そこで組合に状況をすぐ伝えたところ、「それは危ないから、どういう目的でミーティングを行うのか、聞いた方がいい」とアドバイスを受けた。

そこで酒本氏はメールで「どういう目的でしょうか?」と聞いた。

すると翌日、こういう返信がきた。

「STSのマネジメントとしての、スキップ・インタビューです」

STSとは、酒本氏の所属部署で、セールス・トランザクション・サポートの略。あまりにも抽象的なこの返事に、酒本氏は「ますますこれは危ない」と感じ、労組に相談した。すると、「IBMの営業は、四半期の締めの6月は忙しいので、目的のはっきりしないミーティングには出られません」と言うよう、助言を受けた。

そこで酒本氏は、そのようにメールした。

だが、所属長は、「予定通りお待ちしています」と返答。

酒本氏は「これはもう、間違いないな」と思い、組合に相談すると、当日は17時36分(定時)に、PCも携帯も私物も、全部まとめて帰るよう指示を受けた。

こうして酒本氏は、定時になった途端、会社から脱出した。

ReportsIMG_H20130819173538.jpg
酒本氏。I氏と酒本氏は会社を相手取り、提訴した

すると、翌6月15日(土)、酒本氏の自宅に速達で郵便が送られてきた。中身をみると、解雇予告通知書だった。

郵送について、酒本氏には思い当たる節があった

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り4,139字/全文6,902字

日本IBM社長のマーティン・イェッター氏。2012年5月15日就任。同社HPより

JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部組合の機関紙「かいな」13年7月16日号

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

プロフィール画像
mi-tyu2016/10/19 14:33

今更ながら驚愕

プロフィール画像
zoidstown2013/08/21 10:28

まだやってんの・・・・

プロフィール画像
dagama2013/08/20 14:42

金払ってクビにしてんだからいいんじゃないの

プロフィール画像
shinjihi2013/08/20 13:28

外資系はキツいね→

プロフィール画像
ledsun2013/08/20 10:52

「自己都合退職の加算金」で年収の半分から一年分も貰えるのか・・・大企業すげぇ

プロフィール画像
TOM20052013/08/20 09:11

何が問題かわからない。追い出し部屋とかより遥かにマトモな対応だろ

プロフィール画像
coolstyle2013/08/20 07:02

さすが外資系

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

赤旗より2018/03/28 03:51会員
IBMサービス x腰2015/04/04 13:00
匿名2013/09/19 23:12
応援会員X2013/08/29 01:27会員
応援会員X2013/08/24 03:32会員
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約7200字のうち約4400字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)

企画「ココで働け! “企業ミシュラン”」トップページへ
企画「CMリテラシー」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。