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フランスで働く-2 ワーホリ1年→結婚→永住権取得→6年勤務→失業保険2年の“有給休暇”楽しむ日本人に聞く

情報提供
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フランスに住み続ける為には、長期滞在ビザが必要となる
 フランスで働く際に我々、日本人にとって大きな障害となるのがビザだ。フランスにはアフリカやアラブの旧植民地から多くの移民がやってくる。以前のシラク政権では移民に対し寛容だったが、サルコジ政権や現在のオーランド政権では厳しい政策に転換した。今回はフランス人の恋人ができた日本人女性への現地でのインタビューを通じて、フランスに長期滞在して働く為のビザおよび現地での生活について報告する。ワーキングホリデービザで1年滞在し、言葉を覚え、就業、そして仏人と結婚し、6年働いた後、2年間もの「失業保険」という名の有給休暇をとりつつ郊外のマンションを購入し、現在は悠々自適な生活を送る。そんな彼女の例は、渡仏する日本人にとって王道かもしれない。多くの国民が最低賃金で働きつつも手厚い社会保障で暮らすフランスと、非正規雇用で働く若者が将来に不安を覚える日本の違いも見えてきた。
Digest
  • きっかけは恋愛から
  • 30歳までならワーホリが申請できるが、4500ユーロ必要
  • 学生ビザには6500ユーロ+学費40万円が必要
  • 最低賃金の時給は千円で、週に35時間以上は働けない
  • 時給で働いても社会保障はしっかり
  • 出生率を上げているお試し婚、PACS制度
  • フランス人と結婚すればビザは安泰
  • 気をきかせて仕事するより、やって欲しい事だけをやる
  • 6年間働いて、2年間の失業保険がもらえる
  • フランスで生きていくには肉を食べないと
  • パリ郊外3LDK50畳のマンションを3000万円で購入

きっかけは恋愛から

橋本とも子さん(30)は、東京芸術大学を卒業し、得意なバイオリンで、ダンス•ミュージックの曲作りに加わっていた2004年、参加していたバンドが出演したミュージック•フェスティバルでDJとして来日していたフランス人男性と出会い、恋に落ちた。

そして彼を追って渡仏。観光ビザで3ヶ月滞在し、2人の関係は確固たるものとなった。フランスには日本人であれば、90日以内の滞在ならビザが必要ない。しかし3ヶ月後にはビザが切れて日本に帰国せざるを得ず、泣く泣く帰国。しかもフランスへの観光ビザは「180日間で90日」と決まっていて、3ヶ月滞在した後は、次の3ヶ月間フランスには入国できない。

参照:ヨーロッパ旅行者最大の悩み『シェンゲン協定』

30歳までならワーホリが申請できるが、4500ユーロ必要

しかし恋する2人は1ヶ月も待てない。そこでフランス大使館などに問い合わせをしてビザについて調べた結果、30歳までならワーキング•ホリデー査証(ビザ)を申請できることを発見。学生ビザという選択肢もあったが、仕事もしたかったのでワーキング•ホリデービザを申請し取得。そして再び渡仏して、パリに住む恋人と再会を果たした。

参照:ワーキング•ホリデー•ビザについて

注意しておかなければならないのは、フランスのワーキングホリデー•ビザを申請する場合、4500ユーロ(約60万円)以上の残高証明書が資金証明として必要となる。また、原則として一生に1度しか利用できない。そして1年きりで延長はできない。

ちなみに日本政府とワーキング・ホリデー査証(ビザ)に関する取り決め又は協定を結んでいるのは発効順にオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、デンマーク、中華民国(台湾)、香港、ノルウェーの12か国である。

また、フランスのワーホリビザについては、2013年度から専門職(調理師、デザイナー、技術者、職人、建築士など資格を必要とする職業)での就労が完全に禁止されることとなり、日本で専門職の職歴や資格があったり、査証申請の際に提出する動機作文で専門職の活動を窺わせるような申請者に対しては「私はフランスでは専門職として働かない」という署名付の宣誓書の提出がフランス大使館から要求されるようになった。

この宣誓を拒否した場合は、査証申請が却下される。就職や研修、アルバイト、ボランティアなど形態に関係なく、少しでも専門職に従事しようとする申請者に対してワーキング・ホリデー査証は発給されない。ワーホリは、若者の国際的な相互理解、友好関係を促進するのが目的で、あくまで1年で母国に帰るためのビザなのだ。

学生ビザには6500ユーロ+学費40万円が必要

一方、学生ビザのほうを申請する場合は、通学する語学学校の証明が必要で、事前に年間40万円程の学費を語学学校に振込まなければならないし、本人名義で滞在期間中の生活費を十分に(6000ユーロ相当)所持していることの証明がいる。期間は学校での授業期間によって3ヶ月、6ヶ月と変わり、延長は難しい。

参照:学生ビザについて

最低賃金の時給は千円で、週に35時間以上は働けない

さて、ワーキングホリデー•ビザを取得して、パリに住み始めた橋本さんであったが、言葉の壁もあって、来仏して3ヶ月ほどは、働けなかったという。その間にプライベートの語学学校やソルボンヌ大学の語学学校に通い、フランス語を勉強した。そして、日本食レストランが集まるオペラ座周辺にある日本食レストランで、アルバイトを始めた。

その際の収入は、フランスで決められている最低賃金の時給で、週に3、4日働いて、月に600ユーロ(7万円弱)。恋人と一緒に暮らしていたので充分であったが、6ヶ月ほど働き、ワーキングホリデーが終わったので、一時帰国した。

フランスの最低賃金は、月当たり約1450ユーロ(約19万円)である。フランスの法定労働時間は週35時間なので、月140時間働くとして、時給換算では約1300円といったところだ。日本の最低賃金は都道府県によって異なるが、だいたい700円強なので、日本よりも高い。だが仏の最低賃金は全国一律なので、物価の高いパリなどでの生活は大変だろう。なお、給料の男女格差はない。

参照:フランス最低賃金の推移

時給で働いても社会保障はしっかり

ちなみにフランスには、アルバイトというものは、存在しない。すべての仕事が、日本でいう、いわゆる「正社員」である

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フランス人の年収別世帯数を示した図(出典:AlternativesEconomiques)

橋本さんがパリで住んでいるマンションのリビング

橋本さんのマンションのキッチンはオープン型で部屋と合わせて白に統一

橋本さんの旦那さんがリフォームして作った音楽スタジオ

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