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国士舘大・文学部の専任教員が“不正経理”指摘で授業凍結3年、懲戒、体育学部に放逐 書道予算めぐり

情報提供
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国士舘の文学部日本文学・文化専攻の専任講師の村崎氏は、3年以上の授業凍結の挙句、武闘派で名を馳せる体育学部体育学科に異動となった
 国士舘大学文学部の専任講師に01年に就任した村崎京子氏(現40代女性、仮名)は、会計担当に任命され、先輩教授から書道の予算に不正があるのでただすよう言われ、暴いた。その結果、村崎氏はその予算を使っていた教授一派から反感を買ってしまい、その一派から文学部長に昇進した藤田忠氏より、「学生から授業の苦情がきている」と因縁をつけられ、授業を3年間以上も凍結させられてしまう。10年10月には、柔道の金メダリストなどの猛者を輩出する全国屈指の武闘派集団・体育学部へと放逐。たまりかねた村崎氏は11年1月、大学を相手取り、文学部専任講師の地位確認と慰謝料500万円を求め東京地裁に提訴したが、一、二審とも敗訴だった。なぜこの裁判は勝てなかったのか?裁判で明らかにされた真相は?裁判資料や原告・被告への取材から見えてきたのは、有名私大のネチネチした陰湿な派閥抗争と、裁判の限界だった。(訴状、判決文は記事末尾からPDFダウンロード可)
Digest
  • 予算の不正指摘で教授達の反感を買った新米教員
  • 「不可解な予算」と指摘しながらメスを入れない大学調査委員会
  • 報復措置で授業凍結3年間→懲戒処分→体育学部に放逐
  • 文学部講師の地位確認を求め提訴→原告敗訴に

予算の不正指摘で教授達の反感を買った新米教員

原告の村崎京子氏(現40代、仮名)への取材と訴状、陳述書、証拠書類、判決文などによると、村崎氏は、99年3月に、関東の国立大の大学院博士課程を修了後、01年4月に国士舘大学の文学部文学科の国語国文学(04年4月から日本文学・文化に改名、以下、日文)専攻の講師として採用された。

村崎氏は就任早々、「日文専攻の会計担当」として、予算のチェックを任されることになった。この人事が、後々に禍根を残すことになる。

それから約半年後、20歳近く年上の男性教授Y氏から、2度にわたってこう請われた。

「日文専攻の書道予算に、不正がある。今年はただしてほしい。具体的には、Hさん(男性教授)が使っている予算、あれはどうも変なんだ。来年は国士舘短大から3人の教員が来るので、Hさんの予算を3人に廻したい。Hさんの予算をそのまま認めないよう、気を付けてください」

新米教員が、上司の不正予算を暴くような真似をすれば、恨まれるのは必至だったが、村崎氏は、上司に恨まれるということは一切想定せず、請われるままに調査を開始した。

こうして会計書類を過去にさかのぼって吟味したところ、たしかに首を傾げたくなるような支出があった。

書道関連予算は、91年度39,655円、93年度44,826円と、4万円前後で推移していたが、それ以降は以下のように、約10倍にまで跳ね上がっていたのだ。

94年度181,402円。

95年度279,577円。

97年度340,577円。

99年度359,793円。

00年度513,723円。

 01年度397,845円。

しかも、94年以降、業者は都内の書道用具店S社のみに支出されるようになっていた。

支出の中身も、一本36,000円の筆など一万円以上の筆を、一回一回の授業ごとに廃棄して新品を使っている計算になった。金箔金粉や高価な和紙も購入していた。しかもH氏は学生たちに、S社に行き7,000円の筆を各自購入するよう、指導もしていた。

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書道予算の推移(調査報告書より)

村崎氏は、そのことをY教授ほか四人の上司に報告した。そして、上司らとともに、H教授に対し、「いままでのように見積書、請求書、納品書を提出して申請するのではなく、今年からは現品を添えるようにしてください」と伝えた。

その後の日文の専攻会議でもそのことを指摘した。すると、会議終了後、H氏は怒り狂って大声で絶叫して、村崎氏を追いかけた。村崎氏は恐怖に怯えて事務室に走り込んできた。村崎氏らは、H氏の行為はセクハラになる可能性がある、と指摘。その日以降、H氏に襲われないよう、Y教授らが村崎氏に付き添うようになった。村崎氏は、住まいも、これまでの一人暮らしから、実家から通うことに決めた。

この一件以降、H氏と仲の良い藤田忠氏(実名)など計三人の教授が、H氏を擁護し、「ある教員がH氏をセクハラ教員として訴えようとしているという噂がある。そんなことを言われたら男性の側は不当な不利益を被るし、名誉毀損だ。何とかこの教員を処分したい。調査しろ」と言い、日文の専攻会議で議題に挙げるよう訴えたが、誰もまともに取りあげず検討対象にはならなかった。

このように、日文専攻は、Y教授らの一派と、H、藤田氏らの一派が対立。村崎氏は就任早々、この派閥の抗争に巻き込まれ、Y氏サイドの特攻隊のような役を担うハメになったのであった

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村崎氏は会計チェックや不正を暴く専門家ではないのに、教職員たちに担がれて、ちょっと調べて画像のメールを送った(緑色のマスキングはM教授。ほかの教員などは黒塗り)

大学の調査委員会は書道予算について「不可解」「問題性を認定」としながら、真相にメスは入れなかった

授業凍結の経緯を示す一連の文書

上は文学部教授会の議事録。下は体育学部を紹介したページ(同大HPより)

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