ユニクロは自ら起こした名誉棄損訴訟で、こうして完敗し“ブラック認定”された――ユニクロ裁判、勝訴手記
裁判で証言した後の著者(2012年12月) |
- Digest
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- まれにみる、名誉棄損の原告側全面敗訴
- 2つの主要争点
- 2年に及ぶ裁判に
- 焦点が絞り切れないユニクロ
- 韓国でも差し止め請求を却下
- ユニクロ側のおかしな理屈
- 元店長に会って陳述書を依頼
- 「でっち上げ」だと主張するユニクロ
- 元店長、店長代行から陳述書をもらい提出
- 中国編は2つの争点に
- 文春側が放った〝隠し球〟
- あっけなく崩れ去った中国工場責任者の証言
- ユニクロ〝ブラック企業〟批判が高まる
そこで、ここにあえて、タイトルとリードの全責任はMyNewsJapanのみにあり、以下本文は横田氏が文責を持ち編集部も掲載責任を負うことを明記することにします。横田氏はタイトルとリードの編集に、一切関与していません。ユニクロは、名誉棄損であるというなら、ぜひ弊社に対してのみ嫌がらせ訴訟を仕掛け、自らの恥を、世間にさらし続けてください。
まれにみる、名誉棄損の原告側全面敗訴
東京地方裁判所の五三〇号法廷で判決が言い渡されると、傍聴席の文春サイドからは、「よっし!」という短い言葉と安堵のため息が漏れた。
ファーストリテイリング(FR)とユニクロ対文藝春秋の間で争われたユニクロの国内と中国の労働環境の判決が下ったのは、二〇一三年一〇月一八日のことだった。それまでの審理ではがら空きだった法廷の傍聴席には、午後一時一〇分の判決時間前に報道陣を含め二〇人以上が集まった。
一時過ぎに入ってきた土田昭彦裁判長は、時間を待って、判決文をこう読み上げた。
「主文、一・原告らの本件書籍の回収・差し止め請求を却下する。二・原告らのそのほかの請求をすべて棄却する。三・裁判費用は原告らの負担とする」
二年以上かかった裁判の判決は、一分足らずという短い時間で言い渡された。「週刊現代」(二〇一三年一一月九日号)はこう伝えている。
「裁判長が主文を読み上げると、ファーストリテイリング(FR)サイドに激震が走った。名誉毀損訴訟ではまれにみる、原告側の全面敗訴だった」
また「週刊東洋経済」(二〇一三年一一月二日号)はこう伝えた。
「ユニクロ側の完敗といっていい判決内容だった。(中略)東京地裁は(中略)、原告側の請求をすべて退けた」
ユニクロの取材資料と裁判資料(筆者オフィス) |
2つの主要争点
FRとユニクロは二〇一一年六月、文藝春秋を提訴した。名誉毀損として訴えられたのは私が書いた『ユニクロ帝国の光と影』(以下、本書籍)と「週刊文春」の二〇一〇年五月六・一三合併号の「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」という記事だった。私自身は「訴外」、つまり訴訟の対象外で、損害賠償の金額は二億二〇〇〇万円。
今回の裁判の大きな争点は二つあった。
一つは、日本国内のユニクロの店長が繁忙期にサービス残業を含む三〇〇時間以上の労働をしていたのかどうかで、もう一つは、ユニクロの中国の委託工場において深夜におよぶ長時間労働が行われているのかどうか、についてであった。
裁判所は前者に対して、真実である、と認め、後者については、真実相当性がある、という判断を下した。「真実相当性」とは、記述が真実だとまでは言い切れないものの、取材の結果、書き手が真実だと信じるに足りる相当の理由があった、ということを意味する。
2年に及ぶ裁判に
ユニクロが本書籍に関して文藝春秋に通告書を送ってきたのは二〇一一年四月のこと。その二カ月後の六月三日に、ユニクロは東京地裁に提訴した。
私は裁判となったときに二つのことを思い出した。
一つは、本書籍の第一章に、九〇年代後半に柳井正の右腕と呼ばれた取締役が、ユニクロを辞めて青山商事のカジュアル部門に移ろうとした時、ユニクロの業務で知り得たノウハウを同業他社に持ちこむのは問題だとして、青山商事入りを阻止しようとした、という話を書いた。
ユニクロ関係者の「あれ以来、ユニクロを辞めた後でも、ユニクロのことをべらべらしゃべったら、柳井さんが地獄の底まで追ってくるというのが社内の共通認識としてでき上がった」という言葉も紹介した。
私が本書籍を書くために柳井に取材した唯一の機会で、柳井に中国で取材させてほしいと頼むと、「ダメ、ダメ、それだけは企業秘密にかかわることだから絶対にダメです」と断られた。しかし、独自に中国の委託工場を見つけ出し、中国の一〇工場に取材した内容を私が詳細に書けば、果たして私はどこまで追いかけられるのだろうか、と思ったことだ。
もう一つは、本書籍が、ユニクロのマイナス部分にも切り込んだ最初の本であるということだ。それまで〝ユニクロ礼賛本〟は数多く出版されていたが、そのほとんどが予定調和の域にとどまっていたため、その調和を乱すような本書籍がでれば、ユニクロはどんな対応に出るのだろう、と執筆の間、考えていたことだった。
焦点が絞り切れないユニクロ
ユニクロが名誉毀損とする具体的な箇所は、当初、全部で二七カ所あった。
第五章の冒頭の「ユニクロの店長だったときは、毎日一五、一六時間は働いていましたね。それが何年もつづいたので、肉体的にも精神的にもヘトヘトに疲れ果てていました。辞める前は、だれでもいいから、オレを殺してくれ!って思っていたくらい追いつめられていました」からはじまり、
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ユニクロが裁判に提出した店長労働時間一覧の一部。データ上は240時間に収まっていることを示しているが、争点はデータに残らないサービス残業の有無なので、ピント外れだった。
柳井正の豪邸
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読者コメント
赤字の記述周辺、カッコよすぎw
編集長男前だな
訴訟を恐れずに事実を伝える機関、MyNewsJapan、最高!!
中国の劣悪な労働環境がNGOに指摘されて、柳井さんは残念だと言われたそうですが、中国工場のことを知らなかったんですかね~。柳井さんは横田さんの記事をちゃんと読んでいたんですかね~。
柳井さんがテニス選手へ5000万のボーナスを出したとさんざんTVで見たが、求められた賠償額はその4倍以上のだったとは驚きだ。TV局は広告費の関係かなにかでこのことを詳しく報道しないだろうか?いったいユニクロのジニ係数はどれくらいなのか?貧すれば鈍するって言葉をユニクロの人たちへ伝えてあげたい。
文芸春秋発行の単行本や週刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、ユニクロを展開するファーストリテイリングなどが、文芸春秋に計2億2千万円の賠償などを求めた訴訟で、ユニクロ側の請求を退けた二審・東京高裁判決が確定した。最高裁第三小法廷(大橋正春裁判長)が2014年12月9日付の決定でユニクロ側の上告を退けた。ユニクロは、2010年4月発行の週刊文春の「ユニクロ中国『秘密工場』に潜入した!」と題する記事と、11年3月出版の単行本「ユニクロ帝国の光と影」を問題としていた。
日本では、トップが自ら辞めると言わなければ、辞めさせる事がほとんどできません。オーナーなら尚更難しいでしょう。サービス残業が頻発したり、病気や過労による離職者が多くても厳しい罰則やペナルティーがほとんどありません。酷い目に会った人は訴訟を起こさない限りお金は流れない仕組み。一番儲かるのは誰かってことです。疲弊して泳げなくなった人が出たら、その人はどうなるのでしょうか?
労働者を安く酷使するブラック企業は絶対に許さないと言う強固なコンセンサス、環境整備を確立する為の大きな第1歩ですね。
現在の日本の政権与は露骨なまでに財界寄り。
労働法制の改悪を執拗なまでに画策している。
先日、BS世界のドキュメンタリー 低価格時代の深層という番組を見ました。その後、ある富豪の経営者が『ブラック企業という言葉は、旧来型の労働環境を守りたい人が作った言葉だと思っています』と発言したことを知り、とてもがっかりした。離職率の高い労働環境を作り出したことについてどう思っているのだろうか?過労で健康を損ねた人のことをどう思っているのだろうか?
ユニクロは好戦的であり悪質であるけど、この裁判の判決によって他のブラック企業への牽制になれば良いな。マイニュースジャパンには頑張ってもらいたい。
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