S&P、退職勧奨断った社員に不正経費請求の嫌疑かけ1年の「有給」出勤停止後に解雇 地位確認訴訟に
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スタンダード・アンド・プアーズ米国本社のダグラス・ピーターソン社長(2011年9月12日就任、同社HPより) |
- Digest
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- 退職勧奨を断ると「あなたには就業規則違反の疑いがある」
- 不正請求はマーライオンのフィギュア、軟膏薬タイガーバーム…
- 「カジノを経費請求する社員もいる」原告
- 1年にわたり有給の出勤停止を続けた理由
- 退職金3400万円か解雇か二者択一を迫る→解雇され提訴
退職勧奨を断ると「あなたには就業規則違反の疑いがある」
訴状や準備書面によると、原告のマイケル・ロング氏(仮名、推定30代)は、米国の名門P大で経営修士号(M&A)を取得して02年に卒業し、米国公認会計士の資格も取った後、米国大手投資銀行R社、日本のS銀行を経て、09年10月に米国法人スタンダード・アンド・プアーズ・インターナショナルLCCの日本支店(10年7月からスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパンに改編、以下「S&P」)に入社した。
マイケル氏は、S銀行時代から財務部で勤務しており、S&Pでの役職は、当初から財務本部長(シニア・ディレクター・ファイナンス)だった。
S&P入社当初の待遇は、年俸2,200万円、業績ボーナス900万円、他にサイニングボーナス200万円などの収入を得ていた。
その後も順調に稼ぎ続けたマイケル氏だったが、入社から3年が経過しようかという12年7月18日(水)、流れが一変。
上司であるヨーロッパ・アジア財務責任者のエドワードダニエル氏(仮名)と、人事担当者の大山春菜氏(仮名)に呼び出されて、こう言われたのだ。
「米国S&P本社の方針で、アジア・パシフィックの財務機能の拠点を、これまでのシンガポールと日本から、シンガポールに統合することになった。それに伴い、財務本部長の役職は一つになる。その結果、あなたの役職はなくなる」
そう言って、上司らは退職勧奨した。マイケル氏は断ったが、翌週25日(水)にも同様の退職勧奨を受け、再度断った。
すると人事部は、8月7日(火)午後5時~6時にも面談を実施し、いきなり、こう切り出した。
「あなたには、就業規則違反の疑いがある」
会社によると、マイケル氏は入社当初から12年6月までの間に、経費請求で、明らかなものだけで39件、合計207,691円の不正請求があり、それが就業規則違反なのだという。
具体的には、不正の内訳とは、次のようなものだった。
不正請求はマーライオンのフィギュア、軟膏薬タイガーバーム…
まず、「同一経費を複数回請求(二重請求)」。それが3件13,910円。
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人事部が送った出勤停止の通知の概要(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)![]() |
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上はマーライオン(シンガポール政府観光局HPより)。下は軟膏薬のタイガーバーム(タイ・プーケットのダイビングショップ常夏屋HPより)
カジノ(ラスベガス観光局HPより)
上から順に最後通牒、退職合意書、解雇通知
解雇事由通知書
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高給取りなのにセコいな…
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読者コメント
政治家ではないけど会社員も後で突っ込まれるような経費の使い方をしてはいけない。お金には綺麗であった方が結局良いな。
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