事故後の雑誌「原発・電力業界広告」で稼ぐ著名人ワーストはデーモン閣下、媒体別では「ウェッジ」「週刊新潮」「プレジデント」…
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電気事業連合会の原発広告に出演したデーモン閣下(週刊新潮14年1月23日号より) |
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- 調査方法
- 1位のデーモン閣下は小学校の授業で原発推進を提唱
- 2位の渡部恒雄は、世界のフクシマとして人を集めるべきと主張
- 大間原発J-POWERから広告費もらう堀尾正明、唐橋ユミ、北野大
- 雑誌別ワーストはWEDGE、週刊新潮がツートップ
調査方法
新聞の原発広告に続き、最新の「雑誌の原発広告状況」を調査した。新聞は勝間&日経だったが、雑誌の不名誉なワースト著名人に輝いたのは、個人部門がデーモン閣下、媒体部門は「ウェッジ」だった。
調査方法は以下のとおり。「原発・電力業界広告ワーストランキング(雑誌編)」の調査方法=まず「社団法人 日本雑誌協会」が公表している加盟92社の発行雑誌の『印刷部数』(2013年10月~同年12月)」のうち、総合誌、ビジネス誌、ライフデザイン生き方誌の、部数の多い上位20誌をピックアップした。(それ以外のファッション、コミック、趣味専門誌などは報道性が少ないと判断して対象から除いた)。
次に、東京都立中央図書館へ行って調べた。調査対象の雑誌名は、部数の多い順に、週刊文春、週刊新潮、週刊現代、文藝春秋、週刊ポスト、女性自身、女性セブン、週刊女性、PRESIDENT、FRIDAY、潮、週刊アサヒ芸能、婦人公論、週刊朝日、家庭画報、WEDGE、週刊ダイヤモンド、AERA、SPA!、サンデー毎日の20誌(同図書館に所蔵していない週刊大衆、FLASH、週刊プレイボーイ、pumpkinは調査対象から除いた)。発行期間は2014年1月1日号~同年5月5日号までを対象とした。
調査する広告は、はじめは1ページ全面以上の「原発PR広告」を予定していたが、後述のように2誌のみだったため、「電力業界による原発以外の広告」も含めることとした。たとえ原発広告でなくても、原発を保持する電力業界から広告費を受け取ることにより、スポンサータブーで原発の検証記事は書けなくなるし、次第に“電力業界マネー漬け”になり、やがてタガが外れたように原発広告を載せることは過去の歴史からみて必至だからだ。
次に、その広告に顔写真入りで登場した著名人をピックアップし、「オピニオンリーダー度数」×「原発広告は10倍(原発以外の電力業界広告は1倍)」順にランキング化した。(※原発そのものの広告は、火力発電などその他の電力業界の広告に比べ、桁違いに悪質性が高いと判断し、10倍に設定した)
具体的には定量化にあたり、各自に「オピニオンリーダー度数」を設定。前回同様、過去5年間(2009年4月1日~2014年3月31日)の全国紙(朝日、読売、毎日、日経、産経)で記事の見出しに名前が出ている数(連載記事、特集記事、インタビュー記事)の合計と定義した。
そのオピニオンリーダー度数に、14年1月1日から同年3月31日までに原発以外も含めた電力業界広告に出た「掲載回数(同一種の重複は除く)」を掛けて(※調査したところ掲載回数は全て1回だった)、最後に、悪質性を計るため原発そのものの広告の場合は10倍、原発以外は1倍とした。
以下が、原発・電力業界広告ワーストランキング(雑誌編)である。まずは個人部門から発表する。
名前・肩書、オピニオンリーダー度、広告種別、広告主 | 点数 |
---|---|
デーモン閣下・アーティスト=20度、原発広告(電気事業連合会) | 200 |
渡部恒雄・東京財団上席研究員=6度、原発広告(東北エネルギー懇談会) | 60 |
堀尾正明・フリーアナウンサー=17度、J-POWER(電源開発)広告 | 17 |
唐橋ユミ・フリーキャスター=14度、J-POWER(電源開発)広告 | 14 |
北野大・工学博士(淑徳大学教授)=10度、J-POWER(電源開発)広告 | 10 |
1位のデーモン閣下は小学校の授業で原発推進を提唱
ワースト第1位は、デーモン閣下(元ロックバンド・聖飢魔Ⅱのヴォーカル・デーモン小暮、以下「デーモン」)。デーモンは、広島県のがん検診啓発キャラクターに就任したことや、相撲解説者として各紙に取り上げられたことで、オピニオンリーダー度数が20と高い。
そんなデーモンは、14年1月23日付の週刊新潮の「これからのエネルギー、私の視座 悪魔だって興味津々。日本のエネルギーについて学び、考えよう」と題する、電事連の広告に出演。同広告の前書には、こう書いてある。
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デーモン閣下の原発広告![]() |
「32年前、ロック・バンドの姿を借りた悪魔集団「聖飢魔Ⅱ」の歌唱・説法方として現世に降臨。今も様々なジャンルで活躍を続ける閣下の目下の関心事のひとつが『日本のエネルギー』問題。『真剣に考えないと、国が滅びるぞ!』と警鐘を鳴らす魔界の使者が示す処方箋とは?」
本文では冒頭からデーモンは「吾輩には、『今の繁栄した生活をこのまま持続していけば、いずれ資源がなくなる』という持論がある
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渡部恒雄・東京財団上席研究員(「WEDGE」14年3月号より)
フリーキャスターの堀尾正明(「婦人公論」3月22日号、「PRESIDENT」3月17日号より)
上は唐橋ユミ、下は北野大(「PRESIDENT」3月31日号、「WEDGE」1月号より)
中部電力、三菱重工業の広告(週刊新潮14年4月3日号より)
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「原発再稼働に向けたPRに、電気料金だけでなく公費も投入されている。その黒いカネに群がる著名人と“電力ムラ”の甘い汁を吸い続ける恥ずかしい雑誌」
事故前と異なる点は、東電が実質的に国有化され、原発再稼働に向けたPRに、電気料金だけでなく公費も投入されていることだ
放射脳が悪魔を相手に魔女狩りを始めた件。 まあ、みんな仲良くお花畑な「あーちすと」な皆さんよりも、閣下の方が「ロックしている」のは事実。
デーモンって存在自体が逆張りでシニカルなインテリ気取りだから金のためでなく本気では。いずれにしても禄でもない
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読者コメント
ひるおびにもよく出て擁護してるものな。今や他じゃあまり見ないし。人を騙して甘い蜜を吸う、悪魔的には全く以て正しいんだろうな。
旨い物を喰って生きるには、
背に腹は帰られませんよね~。
勿論、原発の付近には住みたくありません。
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