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大渕愛子弁護士が裁判所に提出した契約書の署名は「別人による筆跡」と断定、筆跡鑑定で判明 

情報提供
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簡易筆跡鑑定書の一部。大渕弁護士が証拠として提出した契約書の署名が、元顧客のAさんとは別人、との判断である。アルファベットサインの8カ所を調べた結果、すべてがAさん直筆の署名と契約書の署名は違う、という結果だ。
 『行列のできる法律相談所』等に出演する大渕愛子弁護士を、元顧客のAさんが訴えている裁判で、大渕弁護士が提出した証拠書類のなかの1つである顧問契約書が、偽造されたものである可能性が高いことが分かった。Aさんによる直筆署名とされるものが、「別人による筆跡である」との明確な鑑定結果が出たのだ。そもそもAさんは「顧問契約書など全く交わしていない」と当初より一貫して訴えており、その主張をうち消すために大渕氏側が突然出してきた証拠が、この“顧問契約書”だった。契約書に記載された署名をAさん側が筆跡鑑定に出したところ、全く別人で、しかも「模倣の意図があり、似せて書こうと丁寧に書いた」とまで、鑑定書は断じている。サインのなかの8カ所の鑑定箇所すべてで(〇△×3段階のうちの)×、つまり「不一致」で「別人」と判定されるほど、真っ黒な鑑定結果だった。原告代理人は10月10日、「(大渕弁護士の)主張には、全く信用性がなくなったといわざるを得ない」と大渕氏本人尋問を上申した。(筆跡鑑定書は末尾よりダウンロード可)
Digest
  • 謎の手書き署名は「別人による筆跡である」と鑑定書
  • すべてを失ったAさん
  • 悪夢の夏2011年
  • Aさんと大渕弁護士の決裂以後何が起きたか。
  • 解決が長引くほど弁護士が儲かる契約書
  • なぜ決裂した直後に契約書を交わすのか?
  • 8カ所のチェックポイントはすべて「×」
  • 大渕愛子弁護士の本人尋問を法廷で
  • 大渕氏代理人から反論
  • 示談合意書の背景 
  • 筆跡鑑定書についての審理と大渕氏本人尋問を

謎の手書き署名は「別人による筆跡である」と鑑定書

 「簡易筆跡鑑定書」にはこうある。  
《その結果は、指摘した8箇所の特徴のすべてが、資料A・Bで相違していた。(中略)資料A・Bを同一人の筆跡とするには無理がある。(中略)筆勢の弱さは、資料Aには模倣の意図があり、似せて書こうと丁寧に書いたためと考えられる》

そして、最終結論は以下の通りだ。

《以上を総合的に考察すれば、資料Aと資料Bの筆跡を、同一人の署名と見ることはできない。資料Aと資料Bの筆跡は、「別人による筆跡である」と認められる》

筆跡鑑定を行ったのは、日本テレビ系番組でも多数の鑑定を行ってきた㈳日本筆跡鑑定人協会の根本寛理事長。略歴や実績、今回の鑑定の方法や詳細結果については後述する。

元顧客のAさん(女性40代半ば)は今年5月7日、支払った金額の一部返還、渡した証拠類の原本返還や慰謝料など合計約216万円の支払を求めて大渕愛子弁護士を東京地裁に提訴した。

その訴えに対して、きちんと契約を交わし通常通り仕事も進めていたことなどを示すために、大渕弁護士が裁判所に提出した証拠のひとつが、問題の顧問契約書だった。

ところがAさんは、当初から一貫して次のように語っている。

「契約書そのものを交わしたことは全くありません。だから契約書があるわけはないのに、その契約書が出てきた事自体に驚きました。しかも、手書きの署名は私のものではありません」

そこで筆跡鑑定を依頼したところ、まったく別人による署名だという鑑定結果が出たのだ。きわめて深刻な事実といえるだろう。

いったい、Aさんと大渕弁護士との間に何が起きていたのだろうか。今までの経緯を振り返ったうえで、焦点の「顧問契約書」の問題点に迫りたい。

すべてを失ったAさん

Aさんは、長年外国で働いており、現地で知り合った日本人男性と婚約し、日本に帰って新たに生活するつもりだった。

日本で始める新婚生活のため、Aさんは相手の男性に日本円で約1600万円(2010年初頭のレート)を渡したほか、大切な物品類も渡していた。家財道具など含め、どう少なく見積もっても2000万円相当以上を渡していたことになる。

ところが帰国直前になって相手の男性が、実は既婚者であることが判明。騙されていたことがわかった。

日本での新しい生活のため、長年働いていた外国での職を辞めていたので、すぐに新たな職を得るのも難しく、とりあえずは日本に帰らざるを得なかった。

2010年6月23日、インターネットで見つけた大渕弁護士を頼り、面談。

相手方との示談交渉を依頼した。Aさんは契約書の締結を依頼したが大渕弁護士は応じずに、契約書なしで仕事は進められた。契約書を交わさなかったことは大渕弁護士も認めている。

しかしその理由は、契約書に署名・捺印をAさんが拒んだからだ、というのだ。これは後に、現在Aさんの代理人を務める太田真也弁護士が東京弁護士会に大渕弁護士を懲戒請求し、それに対する書面に記載されている。

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鑑定に出した顧問契約書。左下黒塗り部分の筆跡が元顧客のAさんと別人のものという鑑定だ。そもそもAさんは、顧問契約を結んでいないと一貫して主張している。

≪平成23年1月6日に依頼者(注:Aさん)と面談した際、依頼者に対して委任契約書を提示して署名及び捺印を求めた。これに対し依頼者は、内容は十分理解しているし、住所も未定であるので、委任契約書への署名及び捺印は不要である旨を述べたため、被調査人(注:大渕弁護士)は、以降は、依頼者に対して当該委任契約書への署名及び捺印を求めてこなかった≫(平成26年4月2日付「主張書面」)

なお、大渕弁護士は当初から一貫して、取材を頑なに拒否し続けている。

示談交渉が上手く運ばず、訴訟を提起することになったのだが、遅々として進まなかった。毎月1回程度の面談では、趣味の話や雑談などが多く、それでも1回5250円の面談料金も支払わされていた。

依頼して4か月ほど経過した10月20日、2011年11月分から毎月3万1500円(税込み)の顧問契約を結ぶように言われ、契約書を交わさないまま11月4日から毎月支払うようになった。Aさんは、大渕氏に着手金・毎月の顧問料・面談料・電話対応料・メール対応料など総額約80万円も支払ったのである。

それ以外に相手男性との交際や婚約の実態を証明する証拠を集めるため、外国とやりとりして51万8000円を費やした。前述したとおり、相手の男性へ日本円で1600万円相当を渡し、流産したときの手術費用、男性に預けた物品、そして自宅に置いておいた家具などもそのまま。

さらには帰国費用、帰国後の住居費用など、総額で少なくとも2000万円以上を失ったことになる。仕事に関係のある資料の価値を金銭換算するのは難しいので、ここには含めていない。身も心も傷つき、大きな金銭的損害も受けてボロボロの状態で帰国したのだった。

弁護士を通して、いくらかでも被害を取り戻そうというときに起きたのが大渕弁護士とのトラブルであり、Aさんにとっては二重の痛手になった。

悪夢の夏2011年

示談から訴訟提起に方針が変わったものの、なかなか訴訟提起にいたらず、最初に面談してから1年以上が過ぎた2011年7月から8月にかけてAさんは完全に経済破綻し、行政の運営する緊急宿泊所に入所する事態に追い込まれた。

そして大渕弁護士との関係は決裂するのだが、そこに至る一カ月の間にどのようなことが起きたのかを、Aさんに聞いた。

「家賃も払えないほど困窮していたので、7月の末に住み込みの新聞配達に応募して採用され、そこに引っ越すことになりました

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2011年夏、生活に困窮したAさんは、区の宿泊施設に入所するほど追いつめられていた。とても弁護士費用を払い続けられないと、訴訟を断念した。

Aさん所有のカード。このサインと「顧問契約書」のサインが同一人物のものかを鑑定に出した。なお、Aさんは、「このサインは、カード払い、ポイント払いなどカード経由での支払に限定して使い、金銭の受領やその他の書面での署名には一切使用していません」と語っている。しかし、「顧問契約書」に書かれているサインは、短いサインに似たものになっている。

簡易筆跡鑑定が出たことを受け、10月10日に新たに提出した原告側の書面。鑑定書で重大な疑問が出たわけで、その真相に迫るためにも、大渕弁護士の尋問をしたいと文書末尾で上申している。

(上)大渕弁護士に送った取材申し込み書。(下)代理人からの返信

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skt2442014/11/04 02:35

これはひどい

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読者コメント

ふなっしー2015/01/16 22:51
林克明2014/11/02 11:00会員
読者2014/10/14 22:34会員
 2014/10/14 22:01
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記者からの追加情報

大渕弁護士を訴えたAさんの裁判
11月7日(金)午後3時
第3回口頭弁論

東京地方裁判所611号法廷
地下鉄「霞ヶ関駅」A1番出口


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