リーフに乗ることは「命にかかわる」 元ホンダ営業マンのユーザーが日産自動車と日産プリンスに激怒、訴訟を準備
北海道札幌近郊で宿泊施設を経営する村田悦司さん(仮名・40代)と、村田さんが2013年4月に購入した日産の電気自動車「リーフ」 |
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- 「228km走るので大丈夫」と太鼓判
- 不具合は「最初から」
- リーフに乗ることは「命にかかわる」
- 「ホンダではありえない」
- 販売店支店長「ユーザーがライフスタイルをクルマに合わせるクルマ」
「228km走るので大丈夫」と太鼓判
「静かでしょう?エンジンがありませんからね。加速なんか凄いですよ。ガソリン車ではありえない早さで、あっという間にトップスピードに乗りますから」
空港まで筆者を迎えに来てくれたそのクルマのドライバーは、助手席の筆者にマイカー自慢がしたかったわけではない。すぐに自嘲気味に、こう吐き捨てた。
「でも、いいことはそれくらいです。ありえないことだらけですよ。このクルマは…」
北海道某市で民宿を経営している村田悦司さん(仮名・40代)は、2013年4月、日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」を購入した。脱サラする前の20代から30代にかけては、本田技研工業(ホンダ)系のディーラー(販売店)で営業マンをした経験もあるという。
村田さんがリーフの購入を検討するようになったのは、リーフのバッテリーを蓄電池として利用できる「LEAF to Home」のことを知ったからだった。割安な深夜電力を蓄電して昼間使用すれば、民宿の運営において節電ができる、と考えたのだ。
とはいえ、乗用車として利用価値の低いクルマを400万円も出して買うつもりは毛頭なく、電気自動車であろうとなかろうと、長い距離を走れないなら村田さんには不要だった。宿泊客の送迎のために、空港と民宿を1日5回程度往復する村田さんは、単純に計算して1日100㎞程度はクルマに乗らないといけないからだ。
また、村田さんの妻の実家は民宿から約270㎞離れている場所にあるため、同地との頻繁な往復にも使う必要があった。さらに当時の村田さんは、外国人宿泊客を中心に、温泉やスキー場など周辺の観光地に行くサポートを望まれることも増えていた。新車購入後は、彼らを現地まで送迎するサービスにも取り組んでみたいと考えていた。
村田さんはリーフ購入前、日産自動車の販売店「日産プリンス札幌販売」(以下、「日産プリンス」=親会社は日産自動車100%子会社である「日産ネットワークホールディングス」)の営業マンに、上記のような使用目的をすべて説明し、リーフがその使用目的に耐えるのかを相談している。それに対して、日産プリンスの営業マンC氏は、自信に満ちた口調でこう答えたという。
「マイナーチェンジしたリーフの、フル充電状態での航続距離は228㎞です。道内各地には無料の充電スポットがいくつも設置されていますから、228㎞を超える距離でも十分に往復できます」
2010年12月に日米両国で発売されたリーフは、2年後の12年11月20日にマイナーチェンジがなされており、これによって航続距離が、それまでの「200㎞」から「228㎞」へ14%伸びた、とされている。
また、従来型のリーフではヒーターを入れると20~30%近く航続距離が落ちたが、新型リーフではPTCヒーター(電気でお湯を沸かして暖房に利用する)に加え、家庭用と同じ構造の省電力型ヒートポンプ式エアコンが追加されたため、圧倒的に少ない電力で暖房できる、との説明もあった。
C氏は、この「228㎞」という航続距離を前提に、リーフがいかに「お得な」車であるかを村田さんにアピールした。ガソリン車やハイブリッド車に比べるとイニシャルコストこそ割高だが、ガソリン代が不要になるため、長い目で見れば確実に低コストであると、自ら計算式を書きながら説明した、というのである。
C氏によるこうした説明に加え、「バッテリーに不具合が生じたら交換します」という一言も背中を押し、村田さんは、ついにリーフを購入する決断をした。
マイナーチェンジ前のリーフを中古で買えば新車の半値で済むことから、中古の購入も一時検討したというが、C氏から「中古車はマイナーチェンジ前のモデルだから全く性能が違う」と強く薦められ、新車の、マイナーチェンジ後のモデルを選択。グレードは「G」「X」「S」と3種類あるうち、真ん中の「X」で、購入価格は368万円だった。
ところが村田さんは、納車当日には早くも不安を覚えたという。
「私がホンダ車の営業マンをしていた頃、どんな時にいちばん気分が盛り上がったかといえば、それはお客さんの喜ぶ顔が見られる納車の時です。しかしリーフ納車の時のCさんの表情は商談の時とは打ってかわって暗くなっており、一刻も早くこの場から離れたがっているようにさえ見えました」
村田さんがリーフの航続距離表示と、実際の走行距離とのズレを検証した際に撮影した写真。①→②→③が示すように、走れば走るほど、表示される航続距離との乖離が大きくなる。 |
不具合は「最初から」
実際に納車されたリーフを走らせてみたところ、その性能は、C氏の説明とは、何もかもが違っていた。
「リーフの不具合がいつから始まったかって?最初からですよ!だって『一回の充電で228㎞走る』と言われたから買ったのに、160㎞しか走らないんですから。すぐにCさんに電話して、『どうしてなの?』と説明を求めました」
この時C氏は、電気自動車の航続距離は乗り続けているうちに伸びていくもので
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リーフのオーナーが基本的に加入を求められる有料の「ゼロ・エミッションクラブ」には、レッカー代や宿泊代のサービスが予め含まれている。
日産自動車では「4セグメント欠け」以外は補償の対象にしていない。日本で、4セグ欠けのリーフが現れる日は来るのか…(画像は日産自動車のサイトより)
村田さんのリーフ。何度かのレッカーを経験し、厳冬の北海道でのリーフのバッテリー切れは「命にも関わる」と痛感。現在は短距離の移動にしか使っていない。
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営業マンもわるいけど、これは買ったほうが完全に「わかった上で」イチャモンつけだなあ。ヤラセに近い。仮にもホンダで車の仕事をしていた人間が電池の特性を知らないで片道100kmで使うなんて。
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読者コメント
今更ですが、、、、、
ホンダもガソリン満タン時に表示される航続可能距離と実際の航続距離が40kmくらい、時にはもっと短いです。ここのレポートにもあるように、表示と実際の距離は走るほどずれていきます。ついでに言うと平均燃費の表示と実際の燃費の差はびっくりするほどあります。
日産の売り方もよくないとは思いますが、EVは乗り方も多いに関係あると思います。
何処の世界にJC08の数字で太鼓判押す営業が居るのかww
それを疑問に持たないのも時代錯誤過ぎ
JC08はガソリン車にとって、実態に合わせた燃費基準なのかもしれないが、電気自動車のバッテリー 、モーター特性には合わない。アメリカのEPUだと、リーフは180kmぐらいなので、そちらを参考にした方が良い。
詳しくは、ev smart blog を参照されたし。
マイナーチェンジ初期のリーフは、バッテリーが劣化していてもメーターが減らないようになっているみたい。
車のリコールに関連する問題として国土交通省はどのような見解なのだろうか?TVでは杭打ちや欧州車の排ガスの偽装をたくさん報道しているが、どうして電気自動車のバッテリー性能についてはほとんど報道しないのだろうか?何処かの労災(隠蔽)方式と同じように見て見ぬフリをされるのだろうか。
リーフは買ったら負け。繰り返す、買ってはいけない車。
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