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「殺すぞ!」「飛び降りろ!」ーー絶えず支店長の罵声がする職場でうつ症状が悪化 大東建託に障害者を雇用する資格なし

情報提供
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「殺すぞ!」「飛び降りろ!」といった支店長の罵声がする職場で働くうち、持病のうつ病を悪化させ、退職を余儀なくされた大東建託元パート社員の女性Aさん。精神障害2級の障害者で、障害者採用によって雇用された。
 ハローワークで見つけた障害者募集で大東建託支店にパートタイマーとして採用された精神障害者の女性が、職場に一日中とどろく罵声を浴びているうちに体調を悪化させ、数ヶ月で退職を余儀なくされたことがわかった。劣悪な職場環境によりうつ病が悪化した旨を明記した医師の診断書を提出してもなお、改善策はとられなかったという。また、上長の社員に挨拶をしても無視されたり、わからないことを聞きづらいなど職場の空気はよくなく、苦痛を覚えたという。大東建託にとっての障害者雇用とは、法定の障害者雇用数を満たすためだけの単なる数あわせにすぎず、労働者のことなど微塵も考えていないのではないかーーそんな疑いを抱かざるを得ない。「こんな会社に障害者を雇用する資格はない。ハローワーク(厚生労働省・職業安定所)は求人募集の紹介をやめてほしい」と女性は訴える。
Digest
  • ハローワークで見つけた障害者採用
  • 入り口の外からでも聞こえた罵声
  • 毎日終日罵声が絶えない職場
  • 支店長に気をつかってシュレッダーもNG
  • 挨拶しても返事のない冷淡な職場

ハローワークで見つけた障害者採用

重度のうつ病を患い、精神障害2級と認定されている女性Aさん(40歳代)が、関東地方の大東建託某支店に就職したのは昨年夏のことだった。2ヶ月で20万円ほどの障害者年金だけでは生活が苦しい。かといってフルタイムで働くのは体の負担が大きく無理だ。定期的に病院に通院しており、常勤だとその都度、仕事を休まなければならないという事情もあった。

「無理なく働けるいい仕事はないものか」と近くの厚生労働省・職業安定所(ハローワーク)で探していたところ、目に留まったのが「大東建託」だった。

「一般事務、時給1000円のパート労働者」と紹介されている。職場はB支店だ。家からそう遠くない。これならできそうだ、とAさんは興味を持った。

面接のために支店に行くと、Kという支店長が現れた。見た感じでは年齢が40くらい、やや小太り。終始にこやかだった。簡単なやりとりで、すぐ採用がきまった。「がんばってね」と笑いながら言うK支店長に、Aさんは好印象を抱いた。支店の中も片付いていてきれいだった。明るい職場を想像した。

面接には本社から来たという幹部社員もいた。採用がきまってほっとしているAさんに、幹部社員が妙なことを言った。

「支店長はちょっと怒鳴ったり言葉が悪いけど、大丈夫?」

パワーハラスメントのことだろうかとAさんは思った。パワハラなら、昔働いていた会社で経験がある。公衆の面前で反省の弁を言わせるといった、理不尽なことを部下に強いる会社だった。だが、その会社はやがて株式上場し、以後は一転しておとなしくなった。

 《上場企業というのはコンプライアンスを守るものだ》

自身の体験からAさんはそう理解した。大東建託は東証一部に上場しているし、何よりテレビCMを派手にやっている有名企業だ。怒鳴るといっても、たいしたことはないだろう。何より、笑顔のK支店長がそんなにひどいことをするとは想像できなかった。

「大丈夫?」と尋ねる幹部社員に、Aさんは答えた。

「大丈夫です」

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Aさんがは職業安定所(ハローワーク)で見つけた障害者を対象とした大東建託の求人案内。

入り口の外からでも聞こえた罵声

 「支店長はちょっと怒鳴ったり言葉が悪いけど、大丈夫?」

この幹部社員の言葉が意味するところを知るまでに、時間はかからなかった。

出勤初日。「朝10時に来てね」という支店長の指示どおりAさんは午前10時少し前に支店に到着した。ビルの2階に上がり、戸口に近づいた。開けようとして驚いた。戸越しに、男のわめき声が漏れてくる。

戸を開けると、わめき声は一段と大きく聞こえた。広いフロアの隅々まで響き渡る大声だ。聞こうとしなくても耳に入ってくる。

「俺の足を引っ張るな!」

「ここ(支店)が廃止になってもおかしくないんだ!」

声の主は、面接で会ったK支店長だった。声を張り上げて部下らしい男性を叱責している。笑顔を絶やさなかった面接のときと、まるで別人だ。いったいなにをわめいているのか、なにが起きているのか、入ったばかりのAさんにはよくわからない。

配属されたのは「業務課」だった。労務管理や物品の管理など支店の雑用を担う部署だ。K支店長はというと、新人のパートが出勤してきたことなどどうでもよいらしく、部下を怒鳴りつけるのに忙しそうだった。周囲の社員らが平然としているのが不思議だった。

 少し時間がたち落ち着くと、だんだん事情が飲み込めてきた。怒鳴られているのは建築営業課の社員だ。成績が悪いことを叱責されているらしい。

罵声は一時的なものかとも思ったが、いつまでたっても止む気配はなかった。とうとう、午後4時になって

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毎日、一日じゅう部下を激しく罵倒していたという支店長の名刺。

Aさんが大東建託と交わした労働契約書。

支店長の罵声が毎日部屋の外まで聞こえていたという大東建託B支店(大東建託関係者によってAさんが特定されることを避けるため画像を処理しました)。

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書籍読者2019/02/24 15:21会員
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