ダイソー・キャンドゥの100円プラスチック製品から禁止有害化学物質PBDE検出――甲状腺ホルモンをかく乱し、子どもの健康害する家電リサイクルの闇
最大692ppmの有機臭素系難燃剤が検出された、キャンドゥのスマートフォンフォルダー |
- Digest
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- 100円ショッププラスチックから検出された有機臭素系難燃剤
- 有害物質も循環するプラスチックリサイクルの闇
- 家庭用品の接触や家のほこりから体内へ
- 2017年の中国の輸入禁止で日本産でも危険に
100円ショッププラスチックから検出された有機臭素系難燃剤
ダイソーやキャンドゥ等の100円ショップで売られているおもちゃ、ヘアバンド、スマホホルダーなど商品に使われる黒色のプラスチックから、国際条約で使用が禁止されている有機臭素系難燃剤(PBDE)が検出された。
日本で化学物質問題に取り組むNGO「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」が、国際NGOの「国際残留性有機汚染物質廃絶ネットワーク(IPEN)」と協力して、2019年2月に100円ショップで、子ども用おもちゃ、ヘアバンド、台所用品、文房具をそれぞれ8商品ずつ、計32商品を購入。
有機臭素系難燃剤が検出された100円ショップ商品 |
商品のプラスチックの部分に、臭素系難燃剤の一種であるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)が入っていないか、IPENのあるチェコ共和国プラハにある科学技術大学の研究所に依頼し分析してもらった。その結果32商品中7商品からPBDEが検出された。
化学物質の中には、環境中で分解されにくく(難分解性)、地球上で長距離を移動して世界中を汚染し(長距離移動性)、人や野生動物などの体内に蓄積して有害影響をもたらす(高蓄積性)性質を持つものがある。
このような化学物質は残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants 略称POPs)と名付けられ、国連主導で2001年に国際条約を採択し、世界規模で製造・使用、輸出入の禁止などの取り組みが進められている。
PBDEは、有害物質として良く知られているポリ塩素化ビフェニル(PCBs)に構造が似ており、環境中やヒト・生物の体内に残留・蓄積することが確認されている。
2017年に環境省が実施した「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査結果」でも、調査対象者86人の全員の血液中から500~8600ppmの濃度で検出されている。
出典)環境省「日本人における化学物質のばく露量について2017」より |
また、毒性としても、甲状腺ホルモンをかく乱することが指摘されており、妊娠中の母親のばく露により、生まれてきた子どもの注意力、運動能力、知能を低下させることが、動物実験や人の疫学調査などで示されている。
そのため2009年5月に残留性有機汚染物質(POPs)条約に追加され、翌年8月から使用・製造が禁止された。(さらに臭素を原子を10個を含むものも2017年に追加され禁止になった。
既に禁止されている有害物質が、なぜ100円ショップの商品から検出されたのか?
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有機臭素系難燃剤が使用された製品の国内、海外でのリサイクル。出典)廃棄物資源循環学会誌(Vo.l.22.No.2.p159~168,2011)
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