『レブロン』『メイベリンNY』のマニキュアは環境ホルモン成分「リン酸トリフェニル」配合 精子減少、妊娠中使用で子どもの肥満や骨粗しょう症リスク
環境ホルモンを含むマニキュアを販売しているアメリカ最大手『メイベリンNY』の売り場。都内のドラッグストアにて。 |
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- ダイソーのマニキュア回収騒ぎの裏側で
- マニキュア可塑剤リン酸トリフェニルの危険性
- メイベ、レブロンなど米国大手のマニキュアに使用
- 人の実際のばく露レベルで精子数が減少
- 妊娠中ばく露で将来の子どもの肥満や骨粗しょう症リスク
ダイソーのマニキュア回収騒ぎの裏側で
100円ショップ大手のダイソーが今年8月から発売していたマニキュア「エスポルール」の一部商品に、化粧品には配合禁止の「ホルムアルデヒド」が入っていたことが発覚した。
10月22日に大創産業は、エスポルール全商品を回収し、代金を返金すると発表した。
ホルムアルデヒドは防腐剤の一種で、発がん性がある。住宅建材の防腐剤にも多く使用され、室内で揮発し室内空気を汚染する。シックハウス症候群の原因物質の一つとしても挙げられており、室内空気のガイドライン値も設定されている。
国内ではホルムアルデヒドは化粧品基準で配合禁止リストに掲載されているが、アメリカなど海外では使用規制のない国もあり、輸入化粧品には使われている場合もある。
このダイソーのエスポルールは中国で製造され、発売後の自主検査でホルムアルデヒドが検出されたのだという。
回収対象となった商品の成分表示を見たところ、同時期にアメリカで環境ホルモン作用があるとして問題になった可塑剤「リン酸トリフェニル(別名トリフェニルリン酸)」も使われていた。
可塑剤とは、マニキュアなどを塗りやすくし、またはがれにくくするために使用される成分のことだ。
マニキュア可塑剤リン酸トリフェニルの危険性
日本でダイソーの問題が報道されているころ、アメリカでは10月19日、環境団体「環境ワーキンググループ(EWG)」が、「マニキュアに使われる可塑剤『リン酸トリフェニル』には環境ホルモン作用があり、爪に使用することで吸収され体内濃度が7倍にもなる」というショッキングな研究結果を発表した。
そもそもリン酸トリフェニルは、マニキュアの可塑剤以外にも、住宅や家具のウレタンフォーム等の難燃剤として広く使われている。そのため住宅内のチリやホコリからも高頻度に検出され、人の体内にも吸収されやすい。
アメリカで2014年に発表された尿中の代謝物濃度を調べた調査でも、大人の95%、子どもの100%の尿から検出されている。日本・フィリピン、ベトナムの3か国の母親の母乳を分析した調査でも60%の母親の母乳からリン酸トリフェニルが検出されている。ちなみに日本人の母親の場合、86%の母乳から検出されたのだという。
また、2014年の別の研究では、リン酸トリフェニルの体内濃度について、女性の方が男性の2倍も多いという結果が発表されている。
住宅のほこりがばく露の原因ならば、こうした男女差が出ることは考えにくい。そこで、化粧品など女性が多く使う製品からのばく露が疑われ、今回の研究発表につながったという。
メイベ、レブロンなど米国大手のマニキュアに使用
EWGの報告によると、アメリカでは約49%のマニキュアに、可塑剤としてリン酸トリフェニルが使用されているという。かなりポピュラーな成分らしい。
日本で販売されているマニキュアにも使用されているのか?「@コスメ」の口コミランキング10位までのマニキュア商品について成分を調べたところ、
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アメリカ大手レブロンの売り場のマニキュアにも環境ホルモン「リン酸トリフェニル」が使われていた。
2015年10月段階での日本で販売されているリン酸トリフェニルが配合されているマニキュア。
リン酸トリフェニルの体内濃度が高いほど、精子の数が少ない。
リン酸トリフェニルを含むマニキュアを塗ると、14時間後には体内濃度は7倍に。
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