振り込め詐欺容疑で社員逮捕も他人事のオープンハウス、根拠示さず「業務上でない」「個人情報」とシラを切る絶望的コンプライアンス
上:警察と協力して振り込め詐欺防止のステッカーを作成・配布しているオープンハウス(神奈川県警のホームページより)。 下:振り込め詐欺グループ3人を現行犯逮捕したとの警視庁発表を報じた毎日新聞記事(2020年6月17日朝刊、東京都内版)。容疑者(赤色で塗りつぶした部分)の実名からオープンハウス社員であることが判明した。 |
- Digest
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- 「いっさいお答えしておりません」
- 「当社の業務と関係ありませんので」
- 「いまは自社サイトを確認できない」
- 辞めた社員をホームページで公表する?
- オープンハウスのホームページは信用できない?
- オープン社「事件は業務と関係ない」と断言
- 「事業上このようなことはやりませんので」
- オープンハウスの不透明な情報操作
「いっさいお答えしておりません」
若手社員Kの上司にあたる上大岡営業センターの「責任者」村上氏は、7月6日、「顧客の知人」として電話で問い合わせた筆者に対して、振り込め詐欺をはたらいた詐欺および窃盗容疑で警視庁捜査2課に現行犯逮捕された犯人グループ3人のうち1人が部下のK氏であることを認めた(逮捕は6月16日)。
犯行グループ3人の逮捕を報じた新聞やテレビによれば、余罪があり、被害額は2000万円にのぼる可能性があるという。しかし、その後の報道はなく、彼らが起訴されたのか、あるいは再逮捕されたのか、判然としない。東京地裁に取材したところ、K氏らの公訴提起(起訴)はなかった。再逮捕されている可能性があるとみて、捜査本部が置かれているとみられる浅草署に電話で取材したが、電話口に出た捜査員はけんもほろろに電話を切った。
オープンハウスの社外取締役には、群馬県警本部長、警視庁公安部長、近畿管区警察局長を務めた警察“最高給”官僚出身の櫻井勝氏がいる。オープン社の意向を汲んだ警視庁が、捜査情報を記者クラブメディアに流さないよう「操作」している可能性は否定できない。
こうしたとき、警視庁記者クラブにいる新聞テレビなど記者クラブメディアは役に立たない。警察が出したい情報を記事にし、出したくない情報は書かない。警視庁とすれば、振り込め詐欺犯を捕まえたという手柄を宣伝できたらそれでよく、容疑者のいた会社に警察幹部が天下っているなどといった余計なことを国民に知らせる必要はない、といったところで、新聞テレビも、そのあたりを行儀よく忖度しているようだ。警察が嫌がることを書いたところで、出世できるわけではない。
筆者が上大岡営業センターに電話をかけたのは7月6日。この時点で、オープンハウスのホームページには警視庁に逮捕されたK氏の顔写真と経歴が掲載されていた。同営業センターの責任者だという村上氏によれば、逮捕後にK氏は退職しており、ホームページの更新が遅れているとのことであった。
振り込め詐欺グループ3人の逮捕を報道したテレビ局の放送画面。ここでは、オープンハウス社員の名前だけが報じられていない。 |
「当社の業務と関係ありませんので」
K社員の逮捕を上司に確かめた筆者は、7月9日、オープンハウス本社の代表番号に電話をかけて、正式に取材を申し入れた
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逮捕から約3週間が過ぎた7月9日時点でオープンハウスホームページで公開中だったK社員の顔写真と経歴。
振り込め詐欺容疑で逮捕されたオープンハウスK社員が所属していた上大岡営業センター(オープンハウスホームページより)。
人気俳優の柄本明や長瀬智也を起用したオープンハウスのコミカルなCM(オープンハウスホームページより)。
オープンハウスホームページで公開されている社員行動基準。「私たちは、当社の株主や債権者等の理解と支持を得るべく、公正かつ透明な企業経営を積極的に行います。」「会社情報の開示は、関係者の承認を得て、正確かつ適時に行います。誤った情報を開示することや許可を得ることなく情報を開示をすることはいたしません」などと書かれている。
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読者コメント
なんちゅー会社やと。大東建託といい破茶滅茶な業界。ジョブホッパーが最後に行き着く先なのか・・・とても21世紀の日本のニュースと思えないんだが。
オープンハウス現職、元社員の取材協力者を募集
https://www.mynewsjapan.com/news_providers/add/
しております。
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