三菱地所 “丸の内の大家”不販部門もつ絶対的強み 採用は「文系・理系じゃなく体育会系が有利です」
Baa:優良企業予備軍
(仕事3.0、生活4.0、対価5.0) |
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- 「不販部門」丸の内を持つ絶対的強み
- 採用は事務系のみ、技術系はグループ会社で
- 伊勢丹小菅一族、河合塾創業一族など取引先がコネ入社
- 「ダイバーシティーを一番嫌ってる」特定大8割、体育会中心
- 選考で何が見られるのか
- 宅建やTOEICは必要なのか
- 中途採用「不動産の経験は不問」の理由
- 「10年で3部署」がルール
- 地方に広がる仕事、増える仕事の幅
- 有楽町中心に、あと20年は続く再開発プロジェクト
- 新型コロナの影響「丸の内の大企業は撤退しない」
- 「3人の副長の下に1人の部下」からユニットリーダー制に
- 大規模プロジェクトに最初から最後までかかわる
- 新事業提案と副業人材
- 副業人材の募集、自社の副業解禁は社員「78%が期待大」
「不販部門」丸の内を持つ絶対的強み
帝国陸軍の資金捻出のために、丸の内の陸軍用地を売却したかった大蔵省。明治23年3月、その東京ドーム7個分にあたる広大な土地を、三菱財閥2代目総帥・岩崎彌之助が「128万円」で買った時点で、「丸の内の大家」三菱地所の将来にわたる繁栄は、決まったも同然だった。
三菱財閥2代目総帥・岩崎彌之助(同社公式サイトより) |
「ウチの経営方針は、『丸の内は貸す、それ以外は売る』。売るのは、借金を増やしてリスクを負いたくないからです。丸の内は売らないので、デベロッパーなのに『売買はやったことがない』という社員が多い。社内では、丸の内を『不販部門』と呼んでいます。不動産販売の略ではなくて、逆に、『売らない』という意味の不販です」(社員)
130年ほど前に買った、東京駅と皇居の間に位置する土地は、守り抜いている間に価値が暴騰し、大丸有(大手町、丸の内、有楽町)地区に約30棟のビルを所有する三菱地所のビル賃貸部門は高収益事業となった。超一等地という場所がら、「不販」を貫いてさえいれば、ビルを建て替えるにせよ、土地の仕入れコストは追加でかからない。社員に高い給料を払っても競合に負けるはずもなく、無敵である。
約50年前から「新都心」として新宿が開発されるなど、東京の地価は西高東低ではあるが、「東京駅」という絶対的なハブステーションに隣接する好立地性は揺るがず、隕石やミサイルが直撃するかゴジラに荒らされるかでもしない限り、三菱地所の収益基盤は盤石だ。この「ビル事業」が営業利益の63%を占める大黒柱となっている(2020年3月期)。
交差点の角地など「よい場所」を押えた時点で収益力が決まるガソリンスタンド業界にも似ているが、日本で一番よいオフィス用地を合法的にまとめて押えている点で、その地位はテーマパーク業界におけるディズニーランド(オリエンタルランド)を超える盤石さといえる。
採用は事務系のみ、技術系はグループ会社で
入口から見ていこう。現在、三菱地所が新規採用しているのは総合職・業務職・専任職の3つで、新卒は総合職だけだ。
2021年4月入社の募集人数は「40名程度」。全社で公称903人の会社なので、定年までの38年で割ると1年次あたり24人となる。3年連続で新卒3年以内の離職率ゼロ%(『就職四季報』調査)、つまりほとんど辞めない会社なので、例年、新卒は20~30人を採り、不景気で少なかった代などは、中途で補充している。
「就職氷河期世代だと、新卒を10人余りしか採らなかった代もあり、後から中途採用で同じくらいの人数を中途で採用しています。だから、新卒と中途が同数くらいになる年次もあります」(社員)意外に中途も定期的に採っている。3年目までは辞めないが、4年目以降は若干、離職率が上がるため、補填する必要もある。2019年1~6月の半年間では、ほぼ入社7年目までにあたる総合職1級と2級の若手社員が9人、それより上の社員も含めると、計15人の組合員(つまり30代以下がほとんど)が辞めたという。
組合員の母数は634人(2020年3月期)なので、この年30人ペースだと年間離職率は5%弱。別途、定年退職者は年平均20~30人出るため、30人くらいは中途採用し続けないと、現在の正社員規模を維持できない計算になる。
採用における第一の特徴は、本体の採用が事務系のみであること。ビルを建て、その耐震偽装や手抜き工事などがないよう品質管理するには建築士などの技術者が必要にも見えるが、設計部門は2001年に会社分割で「株式会社三菱地所設計」に分社済み。それでも、設計機能をグループ内で持つのは大手デベロッパーでは三菱地所だけで、業界標準としては設計事務所など専門業者に外注する。
本体社員への応募は、工学部など理系学部出身者でも問題ないが、仕事内容は、ほぼ文系であり、技術知識は不要。「本体社員に期待される仕事は、プロジェクトマネジメントがメイン業務。よって、建築士も本体にはいません」(社員)。ゼネコンの現場監督や、富士通・NECなどITゼネコンの正社員と同様、求められるのは、全体を見渡して巨大プロジェクトを完遂させるプロマネの役割なのである。
いわば、中央省庁でいえば、キャリア官僚だけの会社(ノンキャリ専門職が各現場に大量に配置されている)。JR各社でいえば、総合職だけの会社(社内に運転士・車掌・設備・技術職など現業の『エリア職』がその10倍以上いる)、とイメージすればよい。現場での技術的な実務経験を積んで手に職をつけたいタイプなら、本体に入社してはいけない。
伊勢丹小菅一族、河合塾創業一族など取引先がコネ入社
第二の特徴が、コネ入社だ。生涯賃金8億円はくだらない、サラリーマンナンバーワンともいえるスーパープラチナチケットを求め、関係者が子供たちを入社させるべく動き回るのが世の常だ。そこで三菱地所は、応募に際して、「当社役員・社員の子女、兄弟姉妹でない方」と明記することで、まず社内圧力をブロック。これがないと収拾がつかない。
募集対象は「当社役員・社員の子女、兄弟姉妹でない方」 |
ただ、利害関係の強い取引先や、街づくりで法規制が絡む政治・行政からの圧力は、資本の論理でむげにはできない。コネ入社は、どの程度あるのか。
「バブル崩壊後(※同社は1996年3月期、1千億円超の特別損失を計上してNYロックフェラーセンターの大半を売却し撤退)に入社した今の40代後半以上の世代は、採用人数が年一桁だったりと少ないこともあって、私大卒は全員コネ、コネどうしのぶつかり合いで入社を勝ち取った、という感じです。コネ入社は有力な地主さんの親族などがありますが、グループ会社が中心で、近年は本体については減っています」
最近でも、2016年4月入社予定だった早稲田大学国際教養学部の内定者が、スキー事故に巻き込まれて亡くなった事故が報道され、ブラザー工業の創業家親族であることが話題になった。
「家柄がよい社員が多いのは確かです。採用は、社長決裁の会長回覧と言われ、トップの意向も反映されます。政治系では、加藤紘一(※自民党幹事長も務め、初当選同期の小泉純一郎・山崎拓とともにYKKを形成した有力者)の息子がいます。現職では、自民党・若宮健嗣代議士の娘が、労組で部長を務めています」(社員)
入居テナントとして重要顧客となる、伊勢丹の小菅一族も在籍している
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河合塾の創業一族の息子・河合英樹も新卒で三菱地所にコネ入社
中途採用は対象職種も幅広く「不動産業務に関する経験は不問」
組織図(2020年4月)
三菱地所の組織階層
評価結果詳細&根拠
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読者コメント
古い日本の会社のようだ。しかしビジネスモデルが安定している。コネ入社ばかりがもてはやされる電通をはじめ滅んで欲しいのだが。
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