駐車場で張り込みをする中年のセブンイレブン社員。質問しても「一切話をしないように言われている。質問があれば本社に聞いて下さい」と、頑なにコメントを拒む。
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宮城県内のあるセブン-イレブン店舗では現在、セブン-イレブン本部の社員が駐車場から24時間体制で見張っているという。現地へ向かい、このセブンの“仕事”について、2日にわたり4人に直撃インタビューを試みた。(本記事は動画つきです)
◇あぐら姿、文庫本持参で
午後2時過ぎ。現地に到着すると、写真で見たそれらしきトヨタの白のヴィッツが駐車場スペースの外側の、縁石とフェンスの狭間に停まっている。近づいてみると、話に聞いた通り、車の側面のセブンイレブンのマークには、何枚もの白いテープが貼られている。
車の中には誰も乗っていない。しばらく待機していたところ、白ワイシャツにネクタイ、スラックス姿、オールバック、顔はゴツイ感じで、首からネームプレートのようなものをぶら下げた50歳前後の男性が、店舗の向かいにあるファミレス方向から歩いてきた。
店のオーナーから事前に、「この辺りではスーツ姿で店舗に来る人は少ないので本部社員は目立つ」と聞いていた。あれが社員かと思っていると、男性はその車に乗り込んだ。セブンイレブンジャパン本部の社員に違いない。さっそくインタビューを試みることにした。
車の中を覗き込むと、先ほどの社員が、いかにもダルそうに、あぐらをかきながら、文庫本の『新・平家物語』を読んでいる。エンジンを切っているためか、汗っかきのためか、色黒の顔は汗ばんでいる。
ドアの窓越しに名刺を渡しながら尋ねた。
--すいません。少しお話をお聞かせ願えないでしょうか?
「一切そういう会話はしないように言われている。聞きたいことがあれば会社の方に聞いてください。個人的に発言するわけにはいかない」
--ここは一人でやられているのですか?
「何人だろうとおたくに関係ないじゃないですか」
--いつからやられているんですか?
「特にあなたに話すことでもない」
取り付く島もなくドアの窓を閉められてしまった。
彼らは2名体制で、12時間交代で張っている。残りの3名も同じような対応を取るとは限らない。こちらの問いかけに答えてくれる人物も中にはいるかもしれない。いずれにしても、全員に当たってみる必要がある。
◇張り込みは計30人以上、ホテル滞在も
その後、鈴木勝オーナーが、今日は夜の出勤とのことなので、鈴木氏の夫人に店舗内で話を伺った。
夫人によると、張り込みを実行する本部社員は、これまでに延べ30人以上にのぼるという。中には関西弁で話す社員もいて、そうした地方から来る社員は駅前のホテルやウィークリーマンションで寝泊りをしていたそうだ。セブンイレブンの車が駐車してあったのでわかった、という。
今年の春までは若い社員も張り込んでいたが、それ以降は、中年の本部社員ばかりが見張るようになった。「リストラされた(されそうな)社員が来ているのではないかと思うんですよね」と夫人は語る。
張り込み社員たちは、数時間おきにレジのお金を取りに店舗に入ってくる。彼らは当初、スーツ姿でズカズカと入ってきていたが、オーナーが「お客さんが嫌がるから制服に着替えて欲しい」と訴えてから、従業員同様、セブンイレブンの制服の上着を着て店舗に入ってくるようになった。
また、当初はお客がレジに並ぶ中、いきなり従業員をどかし、レジからお金を抜き取っていたが、それも「お客さんが驚くから、それはやめて欲しい」と訴えたことから、今はお客がレジに並んでいない時に抜きとるようになったという。
◇「あれでちゃんと給料やボーナスもらっているんですから」
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レジのお金を抜き取る本部社員(店舗の従業員やアルバイトではない)。数時間おきにスーツから制服に着替えて、黙々と作業を行う。
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そうした話を聞いていると、ちょうど防犯カメラに社員の姿が映し出された。事務室のマジックミラー越しから見えるというので、覗いてみると、確かに、制服姿に着替えた先ほどの社員がお金を抜き取っていた。
隣のレジでは女性従業員がレジでお客の応対をしている。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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午後3時過ぎ。車の中にはもう一人加わって、二人の中年男性が乗っていた。
話しかけると「会社の方に聞いて」とぼそっと言うなり、窓を閉じる。
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防犯カメラに映し出された2人の本部社員。毎日午前四時前後になると必ず店に入ってきて、一日の売上の勘定をし始める。 |
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