ホリエモン報道のDevil's advocate-2「検察庁広報部読売課、日経課、NHK課…」
読売の「新聞辞令」ならぬ「新聞判決」 |
- Digest
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- 関係者=東京地検
- 地検のPR紙ではない海外メディア
- 法には法で
1月18日の一面トップ「ライブドア本体も粉飾」を地下鉄で見かけて驚いた。粉飾決算=上場廃止が決定的なので、上場企業としては死刑執行されたに等しい。情報源は「関係者によると…」と相変わらず曖昧で、堀江氏は今でも容疑を否認し「公判で意見を主張したい」と言っているのである。しかし、既に株価の暴落で、判決と関係なく取り返しのつかない損失を被っている。
堀江氏は塀の中なので、その言い分は全く報道されることはない。マスコミの権力追従報道は目に余る。対立する両者の、片方側の言い分だけを垂れ流すのだから、堀江氏が「東京経済新聞」の商標登録を済ませ、独自の新聞を創刊したい意向を持っていたのも、よくわかる。
関係者=東京地検
関係者というのは、要するに東京地検だ。彼らは逮捕したい側の人間で、その言い分だけを垂れ流すのは明らかに問題がある。立花隆がテレビでこう言っていた。
「最近の新聞報道を見ると、ほとんど毎日のように特ダネ的に新しいニュースが出るでしょ。あれはぜんぶ検察が発表したことやリークしたことを針小棒大に書いているだけで、本当のところは最後にならないとわからない。たいていの事件で、実際の裁判になると、そこは(検察の主張する事実は)相当、崩れてくる。そこを抑えておかないと、安易に検察の情報操作を信じるのは相当問題がある。」(1/26『NEWS23』)
検察は、堂々と発表すればよいのに、公式発表はせず、夜撃ち朝駆けの「金魚の糞」記者にだけ、国家公務員法に違反してリークする。正式発表してしまうと、それが嘘だったときに言い訳ができないから、検察にとって都合が悪いのだ。リークであれば、後で嘘だったことが分かっても、「それは勝手に新聞が憶測で書いただけ」といえばよいので、非常に無責任に都合のよい情報だけをリークできてしまう。不確定で一方的な情報を書かれるホリエモンは、たまったものではない。自分の主張は、裁判まで述べる機会がないのだから。
フィナンシャルタイムズ |
地検のPR紙ではない海外メディア
日本と異なり、夜撃ち朝駆けのリークに基づき当局側の立場ばかりを報道する慣習がない欧米メディアは、全く違う報道をしている。図書館で調べてみると、その多くは株式市場、マクロ経済への影響を淡々と書いているが、少なくとも検察側の筋書き通りの報道は全くしていない。
フィナンシャルタイムズは1月18日の社説で「Japan’s old guard tastes revenge」と題して、日本の閉鎖性を批判、堀江的な「型破りな人たち」にエールを送る内容を掲載している。ライブドアの強制捜査後に、「これがハゲタカファンドのなれの果てだ」といったコメントをしていたナベツネとは大違いである。
リベラシオン |
また、日刊スポーツによれば、1月24日のフランスのリベラシオンは、「日本の大企業経営者や政治家は、ヤクザの不正行為には目をつぶることがあっても、堀江氏の米国風で無礼な日和見主義は拒絶した」との記事をデカデカと載せている。
これは、野口氏の不審な死を、警察発表のままに自殺と報じていることの批判も含めてのことだろう。日本はヤクザの存在を容認し、「指定暴力団○○組」といったように権力側が指定までして共存を図る特異な国だ。国の指定を受ければ当然、箔がつき、格が上がってカッコいい。このように警察とヤクザがグルになっているのは日本だけだろう。
野口氏の死については、「週刊文春」をはじめ新聞以外のメディアが他殺説を報じており、 立花隆が書いているとおり 、明らかに他殺である可能性のほうが高い。手首、腹、首を自分自身で切るのは不可能であることくらい、考えれば分かる。沖縄県警とグルになっている可能性も十分、考えられるし、立花氏の、堀江氏が5億円の借金を返すためにブラック社会とのつながりを持ったという説は、非常に説得力がある。堀江氏の本が版を重ねるごとにブラック社会とのつながりを匂わせる箇所が消されていったという事実は、それを裏付ける。→立花隆の外国人記者クラブでの会見(videonews.com)
法には法で
現状では、検察を監視する者がまったくいないため、やりたい放題だ。かつて、「噂の真相」が休刊する前は、則定衛・東京高検検事長の愛人スキャンダル(1999年5月号)を掲載し、朝日新聞が一面トップで後追い記事を掲載したため、検事長が辞職に追い込まれた事件まであった。
これは公費の出張に愛人を同伴させ、妊娠・堕胎させたうえに手切れ金をパチンコ業者に肩代わりさせていたという決定的なものだった。今でも似たようなことは起きているのだろうが、新聞・テレビが完全に「検察庁広報部読売課、日経課、NHK課…」といった状況で権力と一体化してしまっているので、どうしようもない。
権力は腐敗するので、ジャーナリズムが監視しなければならない。とはいえ、新規参入もない旧態依然とした業界なので、規範論を言っても無駄だ。
マイケル・ムーアの「Awful Truth」のなかに、面白いのがある。不法滞在者でホテルに勤めるメキシコ系移民を強制送還しようとするホテル側に対抗して、マイケル・ムーアがホテルの法律違反を探し出すというものだ。シーツのシミは衛生法違反、非常ベルの電球が切れているのは消防法違反…と専門家を連れまわして調査し、当局に通報していく。ホテル側は多大な出費を余儀なくされ、結局、強制送還手続きを辞めることを決定した。
これは、法には法で対抗すれば道が開かれる、という例を示している。そこで第1に、公務員の守秘義務違反が目に余るので、被害者である堀江氏がこれを告発するなどして、検察側の人間を逮捕し、みせしめとして、有罪に持ち込まねばならない。
第2に、それでも報道の自由をかかげて検察側リークの垂れ流しを100%止めるのは難しいだろうから、逮捕される側の事実認識が、検察側を通してではなく、ダイレクトにメディアに伝わるように、逮捕直後から毎日、一定時間の接見を認めるような法改正が必要だ。この先は会員限定です。
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読者コメント
行政の活動行為に違法性があったとしても、それを認めさせることは難しいですね。多くの国民が知る事態にでもならない限り、権力側が自らの非を認めることはあり得ません。ですので、そういった問題を解決出来る新しい仕組みが必要です。
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