ベイカレント、社員が語る「ワンプール制」の嘘――「ガチャではなく点数順で“GMのシマ”に配属が決まります」
ファイザーワクチン100億円PJTを埋めるプロデュース本部の営業力
「ファイザーに関して、現場としては悪いメッセージばかり聞きます」 |
有報でも社名開示されている、ベイカレントのファイザープロジェクト。昨年度104億円(全社939億円)、一昨年91億円(同760億円)と、一社から年間売上高の11~12%を占めるという巨大なものだった。関わるコンサル数は、単純計算で常時425人相当にものぼる(全社3837人)とあって、社内でも有名となっている。内容はもちろん、コロナワクチン特需によるもので、つまりは、日本政府の公金が原資となっている。「ようはPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)なのですが、その内容については、個人のキャリアとしてどうなのか、という話が多いです」(マネージャー、以下同)
- Digest
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- 営業側の論理が強い会社
- 全体の1割分を急に埋められる営業力
- 今でも変わらぬ人材派遣の本質
- どのGMが仕切っているシマに入れるか
- ガチャじゃなく点数順配属で決まるベイカレ人生
- 真ん中でPMO、一番下はバックオフィス
営業側の論理が強い会社
スピード重視の支出はザルになりがちである |
「話を聞く限り、やってる仕事は、チラシの文言管理と修正とか、ワクチンの在庫管理のために確認メールを打って、メールチェックして集計したり、エクセルでマクロを組んで、それが止まっちゃってトラブル対応していたり。本来、時間単価の高いコンサルがやるような仕事ではないです。新卒でファイザー案件に配属された人が、メンタルを病んで休職していました」
もっとリーズナブルな請負先がありそうなものだが、予算(税金)がジャブジャブにあるなかで、人材の手配がスピード勝負になると、仕事内容に比してオーバースペックな受注になりがち。日本政府のザル支出が、ファイザー経由でコンサルバブルに寄与している。デロイトトーマツコンサルティングが東日本大震災後の官製特需を取り込んで飛躍した姿にも被る。
ファイザー1社だけで年104億円(2024年2月期)、91億円(2023年2月期) |
「ファイザーに関して私が社内で聞いたのは、とにかく、悪いメッセージばかりでした。どういう意味かと言うと、株主にとってはよい会社なんですが、営業側の論理で現場が動かされるので、働く側としては注意しないと、若手にとって、キャリアにならない〝単純作業員〟として消費されやすい、ということです。逆に、若手を消費する側の上層部は、同プロジェクトから、シニマネやパ―トナーに、ぼこぼこと昇格しています」
年100億円規模の売上が立つわけだから、数字上、昇格基準(前回記事参照)をラクラク達成できてしまう。
問題は、こうしたブルシットジョブをこなす「捨て駒」として、上層部や株主に利用される現場のメンバーたちである。コンサル会社の門を叩く若者たちは、メールチェックやエクセルのマクロを組む日々を送るために入社したわけではない。
こうしたアサインを避けるには、ベイカレントの特殊な組織体制と配属の仕組みを、あらかじめ理解して避ける努力をする必要がある。ベイカレントは業界やサービスラインで組織を分割せず、「4千人ワンプール制」と言われているが、現実の運用では、どのプロジェクトにもアサインされる、というわけでは全くないからだ。
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ベイカレの特徴であるプロデュース本部
プロデュース本部のGMが中心となるベイカレントの組織
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