三井化学 ホワイトで中高年は高賃金「ぶら下がり社員にとって、実にありがたい会社です」
Baa:優良企業予備軍 (仕事3.5、生活4.3、対価4.0) |
離職が相次ぐ若手社員が辞めないよう、20代の給料を引き上げなきゃいけない、その原資として、30~40代社員の給与水準を引き下げる――。三井化学では、そんなプランを、人事部が検討中だという。「なぜか50~60代は据え置きで、引き下げ対象外なのだそうです。現役世代を犠牲にして、頭数が多く政治力が強い50代以上を守るところが日本の年金や社会保険制度みたいで、信じられません」(コーポレート部門・事務職)
- Digest
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- ほとんど何もない福利厚生
- 三井の年収は業界トップクラス
- 新卒500万スタート
- TOEIC600点は必要
- G5昇格に高いハードル
- 素材は成果が出るまでが長い
- ほとんど3か4がつく
- 40代からの中途入社がおいしい
- 「育休産休の予定がある人は年度はじめに言うように」
- 首都圏で働ける立地に強み
- 八重洲新オフィスで東京駅を見下しながら打合せ
- PCソフトのログで残業チェック
- 平均的な三井化学社員の人生
- 仕事量に比べて給料がよすぎる
ほとんど何もない福利厚生
「C3」ランク(30~32歳、組合員の一番上)の年収を示す源泉徴収票 |
新卒初任給を含む20代の待遇改善は、少子高齢化で若手が売り手市場となるなか、幅広い業種で進行中だ。その原資は、40代以上の「働かないおじさん」から持ってくる傾向が強いが、三井化学の場合、30代にも手を突っ込んで賃金カーブ全体を修正するのではないか――という。
どこまで現実味を帯びているのかは不明ながら、バブル期終盤に大量採用したツケで50代にコブができているだけに、既得権者の逃げ切りを了としてきたJTCでは、実にありがちなプランといえる。
三井化学の給料は、業界内では一見して高いのであるが、福利厚生はショボい。
G1(33~35歳くらい)の給与明細。全て「本給」にコミコミ。 |
「社宅は陸の孤島みたいな辺ぴなところにあってボロすぎて、家族から内見の前段階で拒否されました。三井化学に移籍して、給料は少し上がりましたが、福利厚生分も考えたら、ほとんど同じでした。住宅補助が何もないからです。この通り(左記)、家族手当もありませんし、残業代20時間分も込みです」(研究所・技術職)
独身者も、寮に入らなければ、福利厚生の類はほぼ何もない。一方で、給与水準は少し高めに設定されており、かつ中高年以降も高いまま安定する賃金カーブで、降格もない。昭和の年功序列・終身雇用の賃金体系が、そのまま維持されている。これが、三井化学の待遇面の特徴である。
三井の年収は業界トップクラス
総合化学メーカーの業界では、東レ(東京で月15万円までの家賃補助アリ)や帝人(独身で実質月6万円の補助)といった衣料繊維を祖業に持つ非財閥企業は、《給料が安めな分を、厚めな住宅系の福利厚生でカバー》という昔ながらのJTC方式を維持。
一方で、三菱ケミカル(年21万円のベネフィットワンを住宅補助に充てられるだけ)、住友化学、三井化学の財閥系3社はその逆に転換しつつある。つまり《給料は高めだが、その分、家賃補助制度などの福利厚生は、ほとんどない》。給料にぜんぶ込み、である。
年代別のトップを見ると、30代前半の管理監督者リーチ(ライン長の手前)のポジションでは、
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三井化学のキャリアパスと報酬水準
給与テーブルを解説する社員
一直線に上がっていく三井化学の本給。G2のままでも定期昇給でG4の給料と同水準に上がるのがポイント。伝統的な年功序列型の処遇である。
年齢別のグレード(年収)比率=30歳、40歳、50歳、60歳時(社内資料を組合せて作成)
人事評価は目標管理でこんなかんじ
袖ケ浦の研究所から車で15分の場所にある、寂れた寮・社宅地帯。基本的に古くてボロくて選べない。一部、建て直している。(グーグルマップより)
働き方改革は、2017年にスタート。現在、フェーズⅡが進行中(開示資料より)。会社として、やる気を見せている点は評価できる。
評価結果詳細と根拠(三井化学)
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