優良企業の見分け方、調べ方――『キャリアの夏休み』講演録より②
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| 職業選択の3つの軸と9個の視点 |
今回は、30歳以下を対象とした講演の2つめのテーマ「②優良企業の見分け方、調べ方」である。メインテーマは『キャリアとお金』であるが、もちろんお金だけで転職する会社を選ぶのは愚かだ。私は仕事、対価、生活の3つのバランスを考える「3軸9個」の指標を提案している。その自分が設定した軸と指標に沿った会社かを確認したうえで会社を選ぶべきだ。実践的な方法を具体的に解説したい。
- Digest
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- 選択の軸はもちろん給料だけではない
- 衛生要因と動機付け要因のリストアップ
- エージェントとの付き合い方
- 0.公式採用ページの見方
- 残業代が41%を占めるサイバーエージェントの「年俸」
- 1.有報の見方
- 1人で28人の部下を従えている「うまみ」
- 「多様性に関する指標」
- 2.日本年金機構「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」
- 3.「女性データベース」4.「しょくばらぼ」
- 外部の各種非公式情報にあたる
- ヒューミントで仮説を最終的に検証、裏とり

※閲覧注意:本講演は動画で公開予定だったが、企業に対して忖度一切ナシの内容につき、パーソル社のコンプラ部門から直前になってNGが出てお蔵入りという、実に残念な経緯がある。企業にとって非常に危険な内容となっているらしい。
選択の軸はもちろん給料だけではない
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講演の1コマ![]() |
会社選びにおいて、その選択の軸は給料だけではない。ある人にとっては生活第一だろうし、またある人にとっては、やりがいさえあれば最賃でも満足だろう。求めるものは各自で異なり、人生のフェーズでも異なる。
20代はお金でも生活でもなく、仕事に全振りしてスキルを伸ばす、30代はお金を稼ぐ、40代以降は休日と雇用安定を重視――といったように、人生プランによって変遷を遂げるのが普通だ。したがって、投資家ではなく、労働者が働く場としての「優良企業」は、人それぞれで全て異なって当然。一律にランク付けできるものではない。
A(仕事軸):「やりがい」だけでは、生涯を通して生活を成り立たせることが難しい(人生は長い…)
B(対価軸):収入だけを考えて仕事選びをしても、続けることができない(毎日8時間ずっとできますか…)
C(生活軸):ブラック企業で休みもとれないのでは過労死しかねない(趣味や家族との時間も必要…)
大枠として仕事・生活・対価の3軸と、その下層として9つの視点を示したのが『いい会社はどこにある?』だった。
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会社を選ぶ3軸9視点![]() |
これは850頁の図鑑のような本なので、1つずつ説明する時間はない。関心の高いところだけ読んでいただきたい。
→『いい会社はどこにあるWEB最新版』へ
衛生要因と動機付け要因のリストアップ
日本には株式会社が約269万社(税務統計ベース)もあるので、会社選びにおいては、選択の基準となる「軸」を定めて絞っていく必要がある。上記の3軸9個で、一般的に、どのような軸が存在しうるのか、はわかっただろう。これに限らず、独自の軸を設定してももちろんよい。
絞り方として、まず簡単なのが、除外方式。これは話にならん、という論外のものだ。これを衛生要因※という。衛生状態が悪いと病気になるが、衛生が良くても健康が向上するとは限らないことから、「満たされないと不満を生むが、満たされても強い動機づけにはならない要因」を指す。
ハーズバーグの二要因理論=仕事における「不満」と「満足」は別の軸であることを提唱したアメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグは、やる気と不満の二要因理論『Motivation–Hygiene Theory』を提唱。不満を生み出すものを「衛生要因」、満足を生み出すものを「動機付け要因」と呼んだ。
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自分の衛生要因と動機付け要因を書き出す![]() |
たとえば、自分は病気で亡くなりそうな親が東京にいるから東京勤務を希望しており、しばらくは首都近郊以外への全国転勤が無理である。あるいは、現状の会社が長時間残業が当り前で有休もとれないカルチャーだから、とにかく負荷が軽めな労働環境がいい。さらには、現状は外勤営業職であるが、どうも自分には向いておらずストレスに耐えられないから営業以外の職種がよい、等である。(右記)
ただし、あまり簡単に除外していかないほうがよい。なんでも嫌だ嫌だと切り捨てていくと、最後は、どこでも働けなくなるからだ。そもそも他人が作ったものに理想を求めてはいけない。これは住宅の賃貸物件探しと同じで、他人が作ったものに理想なんかあるはずもなく、何ごとも一長一短だ、という前提から入らねばならない。間取りはイマイチだが駅近だとか、マンションで防犯性は高いけど共用部分でトラブルが多いとか、何かをとると何かを諦めなければならない。理想を実現したかったら、注文住宅を希望の土地に建築するしかない、つまり独立起業して自分の会社を作るしかないのである。
しかも、無駄に広く除外してしまう恐れもある。たとえば、「営業職が嫌だ」という場合。私自身がそうだったが、
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