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『スニッカーズ』のマースジャパン、ロックアウト解雇事件で敗訴確定へ バックペイ含め社員に計5500万円超を支払うことに

情報提供
公式採用サイトより
コンプラに問題のあるマースジャパンリミテッドの責任者たち。左・日本法人社長(後藤真一)、右:人事部長(大井健司)=公式採用サイトより。不当解雇を主導し、社員と会社に損害を与え続けている。

『スニッカーズ』『M&M'S』、ペットフードの『カルカン』等で有名な米国マース。その日本法人で2023年5月、会社の業績不振を理由に約30のポジションが削減され、退職勧奨が行われた。残る意思を表明した勤続15年半のAさん(当時40代後半・男性)はメールで自宅待機を命じられ、そのまま郵送の解雇通知書でロックアウト。その間わずか4日間で、翌月、割増分を含む退職金1500万円余りが一方的に振り込まれた。Aさんは正社員の地位確認等を求め提訴、2026年3月までに地裁・高裁で判例どおり完勝し、確定まで秒読み段階だ。不当解雇から3年半超に及ぶ期間の給与は全額さかのぼって支払われるため(バックペイ)、解雇後の会社からの支払い総額は5500万円超に及び、今なお増額中である。

Digest
  • 郵送ロックアウト解雇
  • 「検討するまでもなく」解雇権濫用だと一蹴
  • 時系列詳細経緯
  • マースの報酬体系(レベルとランク)
  • 最初の告知&退職パッケージ提示
  • 空きポジションへの人事異動を命じず
  • メールで自宅待機命令→郵送でロックアウト解雇
  • どこが「互恵」なのか
  • 解雇自由な米国だけが特殊
  • 「人間の尊厳を冒とくするプロセスが許せず」
  • 和解協議は決裂
  • 真っ赤な嘘をでっち上げてきた
  • 社労士や行政書士の資格取得「負ける要素ない」と確信
  • 2段構えで社員が圧倒的完勝
  • 膨らむ未払い賃金総額
  • 客観的な証拠を保全せよ

「金銭さえ積めば一方的に解雇できる」という外資系企業の傲慢で脱法的な手口、および自宅待機を利用した陰湿な退職強要を、日本の司法が明確に『違法・無効』と断じた、極めて正当かつ意義深いもの――これがAさんによる判決の評価だ。

判決では「仮執行宣言」も付され、いつでも会社側の銀行口座等を差し押さえられる状態。2023年6月以降のバックペイ(未払い賃金)に加え、一方的に振り込まれた退職金等を含め、同社が被った〝損害〟は累計5,500万円を突破し、現在も毎月の給与が発生中。上告によって、現在進行形で膨らみ続けている。(地裁・高裁判決は末尾よりダウンロード可)

マースの代表的な商品
「世界で一番売れているチョコレートバー」と同社がPRするスニッカーズなど、日本でもグローバルブランドを展開するマースジャパン(本社東京・港区、従業員約250人)。米国マース・インコーポレイテッドの日本法人である。

いったい現場で何が起こっていたのか、判決文とAさんの証言をもとに、経緯を詳細に報告する。

郵送ロックアウト解雇

「本日以降、一切仕事をしないでください。自宅で待機をしてください」

2023年のゴールデンウィーク明け5月8日(月)、Aさんは大井健司・人事部長から、電子メールで自宅待機を命じられた。

「パワハラ防止法における『人間関係からの切り離し』ではないか」「すでに予定されている各得意先との商談を一方的にキャンセルさせる業務上の合理性は」――Aさんが尋ねると回答はなかった。

かわりに5月9日付の解雇通知書(右記)が一方的に作成され、翌10日に自宅へ郵送されてきた。

解雇通知書掲載用
解雇通知書(全文)

5月11日付で解雇する、とある。

「長年貢献した社員を、モノのように郵送の紙切れ1枚で放逐したのです。このプロセスそのものが、人間の尊厳を冒涜するもので、金銭の問題を超えて徹底抗戦を決意させました」(Aさん)

以下が、その《紙切れ》の抜粋である。

この「解雇の理由」は、後に判決で完全に無効になっている。

就業規則と整理解雇要件の2段階で完全無効と判断された「解雇の理由」

「違法行為(パワハラの疑い)に対する正当な問題提起を完全に無視し、弁明の機会すら与えない強権的な報復・排除でした」(Aさん)

退職金の支給額について
退職金の支給額について(2023年5月10日付)。5月11日に振込済みの解雇予告手当分が勝手に控除されている点も違法性が高い。

5月10日付の『退職金の支給額について』という文書(右記)も送られてきた。そこには、翌月、給与支払い口座に支払うとする退職金の計算書が記されていた。内容は、2月21日に提示されていた、退職勧奨パッケージの金額であった。

会社のリストラ計画にともなうポジション削減で、退職勧奨の提案はあったものの、割増退職金は当時の年収1年分(左記)+αとわずか。

40代後半という年齢や、長年の貢献を一切顧みず『席をなくしたから辞めろ』と放り出すやり方に激しい理不尽を覚えたため、パッケージの受諾は明確に拒否し、合意していなかった。

掲載用 源泉徴収票2022年
マネージャー未満層の一番上にあたる「B4」グレードの年収総額(インセンティブ込み、2022年源泉徴収票)

解雇通知書で予告された5月11日17時、遠隔操作で業務用PCアカウントが突然、ロックアウト(強制無効化)され、使用できなくなった。Aさんは物理的に会社から切り離され、15年半も勤めた会社から、社員としての身分を一方的に剥奪された。典型的な〝ロックアウト解雇〟であった。

2か月ほど前(3月1日)に、海老根博・事業部長より、退職勧奨を受け入れない場合、5月以降は仕事がなくなって雇用打ち切りの可能性もある、とは聞いていた。だが空きポジションは随時発生しており、外部市場からの採用活動も行われていた。社内の別事業に複数の空きポジションがあったが、異動辞令は出なかった。

Aさんは翌月(2023年6月29日)、①雇用契約上の地位確認、②解雇後の未払賃金、③遅延損害金、④慰謝料165万円を求め、東京地裁に提訴。

2025年8月1日の一審判決(石川慧子裁判長)は、社内規定および整理解雇4要素を検討し、本件解雇は無効と判断された。2026年3月11日の東京高裁判決(三木素子裁判長)でも、会社側の控訴・原告側の附帯控訴を、いずれも棄却。一審の解雇無効がそのまま維持され、上記①②③が認められた(Aさんの完勝)。判決は今冬にも確定する見通しで、巨額のバックペイ(未払い賃金の支払い)も行われる。

「検討するまでもなく」解雇権濫用だと一蹴

日本の法体系に「金銭解雇」はない。金銭の多寡に関係なく、正社員の雇用は聖域である。会社が、事業の再構築(リストラ)を目的に社員の同意なく解雇するには、「整理解雇4要件」(人員削減の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定の合理性、解雇手続の妥当性)をすべて満たすことを会社が証明できない限り敗訴し、正社員の地位が確認され、よって給料はさかのぼって全て支払う義務を負う。

地裁判決文より(2段階で無効である)
2段構えで「解雇権の濫用」「解雇の無効」を認定した一審判決

判決では争点に対する判断について、「検討するまでもなく」という明確に一蹴した表現が、1文のなかで2回も使われている(右記)。つまり2段構えで、仮定を置いたとしても、全く話にならない明らかな解雇権の濫用だ、分かり切った違法行為をするな――とでも言いたげな判断が下されている。

「『外資だから金を積んで即日ロックアウトすれば、結局は従うだろう』という、経営陣・人事上層部の傲慢と、労務管理における致命的な無知が露呈した結果です。人事・労務の基礎すらわきまえぬ素人判断でした」(Aさん)

通常の人事責任者ならば到底、踏み切らない暴挙だったことがわかる。

責任者である後藤真一・日本法人社長と、大井健司・人事部長(ディレクター)は、なぜここまで勝ち目のない、愚かでコンプラ無視な行動をとったのか。マースジャパンは、この整理解雇4要件のうち、何をどのように満たしていなかったのか。以下、時系列で詳細にリポートする。

時系列詳細経緯

2007年11月 Aさんは立命館大を卒業後、3社を経て30代前半でマースジャパンに中途入社した。前職までも含め一貫して消費財業界でキャリアを積み、スーパーやドラッグストアに並ぶ商品を扱ってきた。

「リクナビNEXTの求人広告を見て、世界的な消費財トップ企業のブランド力や、自己管理が求められる直行直帰のワークスタイルに魅力を感じました。マースが掲げる『互恵の精神』(従業員・パートナー企業・社会と恩恵を分かち合う)のもと、消費財営業のプロとして成長できる環境だと思い、入社しました」(Aさん)

マースジャパンのキャリアパスと報酬
マースジャパンのキャリアパスと報酬水準

ポジションは、営業統括本部スナックフード営業部・関西エリア営業担当者(拠点は大阪)。ジョブレベルは「B3」で、これは多くの中途採用組が最初にスタートする「担当者(ヒラ)」相当のグレードである(右記参照)。

2011年6月 4年間の勤務を経て成果が認められ、「B3」→「B4」に昇格。B4とは、

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マースジャパンの組織体制概要

FP1級

行政書士合格証書

社労士合格証書

人員削減の必要性と、解雇回避努力についての判断(高裁判決8頁より)

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