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女性を活用している会社、差別し続ける会社

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「女性活用度」の分類と各エリアの特徴
 戦後日本の大企業は、完全な男性中心社会だ。そこに女性が進出する困難さは、企業カルチャーや差別解消の取り組み度合いにより、全く異なってくる。グローバル規模では、CSR(企業の社会的責任)の重要性が日増しに高まり、その評価項目には、必ずジェンダーフリーやダイバーシティーといった「従業員対応」がある。だが、2003年に経済同友会が会員企業を対象に、CSRに関する取組の自己評価を行わせたところ、「女性管理職比率」の平均値は2.62%と、惨憺たる状況だった。
Digest
  • 量と質で考える
  • 数値目標設定で女性管理職増加へ
  • 男女のコース別処遇を違法認定
  • 一般職は名称変更の流れ
  • 一般職が、女性派遣社員に置き換わった
  • メーカーは企業間で温度差
  • 逆ダイバーシティーだ
  • 上層部への登用はない
  • 女性上司も当り前
  • 「働きやすさ」定着したIBM
  • 大手出版は女性天国
  • サービス業シフトのメーカーは変革中
  • 需給ギャップを見極める

今後は、CSRレポート等を通じて情報公開を迫られ、隠し通せなくなる時代になっていく。差別的待遇を放置したら、国際的なブランド力低下につながりかねないレピュテーション(評判)リスクを負う。このままでは、環境問題と同様、ジェンダー問題がネックとなって、EUでの企業活動すら制限されかねない。

企業は、そういった切迫した本音は隠しつつ、「財布のヒモを握るのは女性だから」「優秀な女性が活用されていないから」といったタテマエのもと、数値目標をかかげ、大々的に女性を登用する企業も出てきた。これに対し、ラッシュ時の女性専用車両のごとく、逆差別的ととらえる男性社員も多い。つまり、取り組み状況によって、女性の仕事のしやすさで企業間格差が拡大しつつある。

人事のホンネは、「女性は統計的に離職率が高く、企業業績から見れば、無駄な研修投資や産休が発生するため、よほど能力が飛び抜けていない限り、平等に扱うのは避けたい。同じ能力なら男性が欲しい」というもの。

したがって、これは究極的には、政府の社会政策やCSRによる社会の眼でしか解決できない問題なのだ。その証拠に、女性の積極登用を宣言した会社は、外圧がかかりやすい松下や日産といったグローバル企業ばかり。外圧でしか変われない日本らしいが、働く側は、こうした個別企業のおかれた状況を理解したうえで会社を選んだほうがよい。

一方、女性の活用を武器に成長してきた企業も、少数だが存在しており、それらのなかでも性差を意識した役割分担派から男女の差を無視した性別無視派まで、それぞれ質が異なるため、単に「女性を活用している」というだけで会社を選ぶのも危険である。

量と質で考える

すべての仕事において、男女の能力に優劣がなく、機会が均等であると考えた場合、女性比率は5割になってもおかしくない。ただ現実は出産・育児で仕事から離れる期間が発生するなどで、3~4割がせいぜいだろう。そこで、20代30代の若手社員層における女性比率3割をめどに、それより高いか低いかを考えた。これは量の視点である。

さらに、質の視点として、男女の仕事上の役割分担を意識したものか、それとも全く性差を無視したものなのか、という軸(どちらが本当に平等かは議論がある)で考えた。

■「採用区分から違います」エリア

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図2:「女性活用度」における、各エリアの代表的な企業名

もっとも左側に位置するのが、国内系金融、商社、航空である。これらでは、女性には中核を担う仕事は無理だと決め付け、転勤なしの、いわゆる「一般職」として補助的な低賃金の仕事だけは与えるが、「職場の花」だから「腰掛け」程度に考えて貰い、できれば男性社員と結婚して30才までに大半が寿退社して欲しい、と本気で考えているようだ。

表立っては絶対に口にできないが、ホンネはそうなので、結果として、女性は一般職、男性は総合職という、事実上の性別によるコース別採用となっている。総合職の女性比率は、1割未満にとどまっていることが多く、ほとんど例外的な存在に過ぎない。

数値目標設定で女性管理職増加へ

三菱東京UFJ銀行の支店に勤める若手の女性社員が言う。「現場の実際のカルチャーが男尊女卑。たとえば、私が『結婚したい』と言うと『辞めないでよ』と言われる。結婚=退職が前提だから。『男は女を守るもの』という考えがあって、車で営業に出るときは女には運転させない、飲み物や食べ物は女に選ばせる、時間が遅くなると『女の子は帰りな』と言われる。これは総合職でも一般職でも、女性は全員、同じ扱いになります」

こうした思想は、男女同権の時代の趨勢として、社外から圧力があり、変化を迫られている。同社では、2006年1月1日時点で5人しかいなかった女性支店長を、4月1日付でいきなり10人に倍増させた。2010年までに30人とする数値目標

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contractio2012/04/09 16:40

「人事のホンネは「女性は統計的に離職率が高く、企業業績から見れば、無駄な研修投資や産休が発生するため、よほど能力が飛び抜けていない限り、平等に扱うのは避けたい。同じ能力なら男性が欲しい」というもの」

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読者コメント

アクテイ2014/05/26 22:00
旧帝卒2009/12/20 04:08
fu2008/02/01 02:50
ほんとそうだ2008/02/01 02:50
みかかOB2008/02/01 02:50
大手企業で気づいた2008/02/01 02:50
Re:2008/02/01 02:50
とおりすがり2008/02/01 02:50
Re:ウチの場合さん2008/02/01 02:50
Womanになれば2008/02/01 02:50
Re: ぽちさん2008/02/01 02:50
観察眼2008/02/01 02:50
プール2008/02/01 02:50
通りすがり2008/02/01 02:50
ぽち2008/02/01 02:50
ポッカ2008/02/01 02:50
2008/02/01 02:50
こめ2008/02/01 02:50
女性の敵は・・・2008/02/01 02:50
仕事を続けたいが…2008/02/01 02:50
りょう2008/02/01 02:50
みそ2008/02/01 02:50
ウチの場合2008/02/01 02:50
人それぞれでは?2008/02/01 02:50
確かに、まあ2008/02/01 02:50
2008/02/01 02:50
カメオ2008/02/01 02:50
誤解なきよう2008/02/01 02:50
社会の変革を2008/02/01 02:50
そう言えば2008/02/01 02:50
判定員2008/02/01 02:50
前述の男性社員に2008/02/01 02:50
同じグループにいた2008/02/01 02:50
企業や男性社員が2008/02/01 02:50
現状の実態を2008/02/01 02:50
加えて、2008/02/01 02:50
公正と言えば2008/02/01 02:50
こっとん2008/02/01 02:50
関白断念2008/02/01 02:50
男女差別反対2008/02/01 02:50
うり2008/02/01 02:50
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