評価の納得性が高い会社、低い会社
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「評価の納得性」の分類と各エリアの特徴 |
- Digest
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- バブル入社組対策
- チャンスの平等、結果の自己責任
- ダメAちゃん
- 非管理職の間は、ほぼ年功序列の自動車
- 評価イコール所属部署の新聞業界
- 不満といえば「上がもらい過ぎ」くらい
- 半数は1000万円到達せず
- えっ、コイツ部長?
- 家族主義的カルチャーとのギャップ
- ネット系はトップ企業も低水準
- 部門別採用で公平なチャンス
- ハイリスク型の外資コンサル
- 評価の高い社員は海外旅行へ
- 一生、今のポジションかもしれない
一方、法人税収は急回復し、株主への配当金も過去最高額を更新する見通し(同2006年12月6日)というように、企業が生み出した利益は、政府や株主には回っている。社員には回らない原因のひとつが、評価における成果主義の浸透だ。
成果主義は、社員個々の成果で報酬に差がつくため、これまで一律で基本給を上げる交渉をしていた労組の役割が減り、総人件費は上がりにくくなった。労組というのは、皆が同じ賃金だからこそ団結できるのだ (したがって成果主義が当たり前の外資系のほとんどに、労組はない)。
全体のパイが拡大しないなかで成果主義が進むと、「一部の勝ち組」と「多数の負け組」に、格差が開く。だから、商社など一部のボロ儲け業界を除き、大多数の社員は、景気がよくない。したがって、その評価の運用が、納得性の高いものかどうかは、働くうえで、極めて重要となる。
バブル入社組対策
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図2:「評価の納得性」における、各エリアの代表的な企業名![]() |
なぜ成果主義になったのかを確認しておこう。終身雇用を前提とした従来の年功序列賃金では、一律で、若いうちは給与が安く、30代の後半以降に、実力以上の高給を受け取る仕組みだった。だがこれは、年寄り社員が稼がない分を、若年層が補てんする仕組みだったため、常に若い社員がたくさん入社し、組織が拡大することが前提だった。「ねずみ講」や年金財政と同じだ。
したがって、経済が右肩上がりだった頃は、多くの会社も右肩上がりで新卒採用も多かったため機能していたが、バブル期を最後に、多くの会社で維持できなくなった。市場も会社も拡大しないなかで、中高年社員に無駄なコストだけをかけていたら、競争に負けてしまうからだ。
そこで成果主義を導入し、仕事の成果に見合った分だけ、タイムラグなく支払おう、ということになった。だから、競争が甘い規制業種(マスコミ、鉄道、航空など)を除き、年功序列を維持できなくなった。実際、私がいた新聞社は、ぜんぜん、まったく、成果主義でないが、メーカーなどは、ほぼすべてで導入を進めざるを得なくなった。
なかでもここ5年ほどで一気に進んだ理由は、バブル入社組対策である。大企業の人口ピラミッドには、バブル入社組(現在、30代後半)のコブがあり、社員がやたらと多い。たとえば私の新卒入社時は、同期の記者は30人だったが、7年ほど前のバブル期は、同期が100人以上いたという。どうりで同じ部内にその頃の年代の社員が4人も5人もいたわけだ。
年功序列型企業でこの人たちを放っておくと、ほどなく40代に突入し、管理職クラスとなり、その働き以上に、一律で高い給与を支払わねばならない。そうかといって、日本では解雇が難しい。ただでさえボリュームゾーンなのに、これはまずい、人件費高で会社が潰れる、ということで、一部の勝ち組社員だけ昇格させる仕組みに変えたのが、この時期の成果主義導入だった。
人事評価における成果主義は、人類の民主化のようなもので、不可逆的な変化である。早いか遅いかはあっても、一定の方向に向かっている。日本が高度成長の年功序列型に戻ることはない。もはや逃れられないものなので、企業選びで、重要なファクターとなる。
チャンスの平等、結果の自己責任
それでは、どうやって見分ければよいのか。格差社会を論じる際に、常に落ち着くセオリーは、『チャンスが平等であれば、結果に差がつくことは容認せざるを得ない、ただしセーフティーネットは国が用意すべき』というものだ。これを否定してしまうと共産主義国になるので、多くの国民は納得せざるを得ない。現内閣の「再チャレンジ推進」政策も、「チャンスの平等」「結果の自己責任(=不平等)」を目指している。企業内の成果主義を論じる際も、その本質は同じである。
異なる点は、「企業は業績が悪化すれば従業員を解雇すればよいが、国は国民を解雇
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読者コメント
最近は”Aちゃん”制度はないですが、若くして主査になり、エリートコースに乗ると本社人事に異動します。そこで3年過ごすと自動的に支店の課長になります。と言っても、社内相手の仕事ばっかりなので、”お山の大将”が多くて困ります。ちなみに本社人事はタクシーチケット使い放題です。
技のうち。公務員なんかはゴマスリうまい奴とか、キーマンとの関係作りがうまい奴が出世する。連中の能力は公務員試験終了時点で伸びることを辞めているからな。もっとも今回の話題の民間企業では許されないが。
まあ、ゴマ摺りは傍から嫌われこそすれ、それもまた努力の一つだとは思いますが、それだけで判断し過ぎると問題が露呈する、といった所でしょうか?もちろん、人間関係を潤滑にするという大切な役割や団結度を高める良い効果もある訳ですが。。
という訳で、ゴマ摺りが出世する社会ってことですね。日本人の特性なのでしょう。ただ、景気が良い時には問題となりませんが、悪くなった時に、やはり競争力が失われているので、業績悪化に繋がり、修正が図られたりしたようです。松下のV字回復を実現した中村前社長も、業績悪化の元凶はゴマ摺りばかりを出世させた為だ。とその最大の要因ないし問題として挙げられていましたね。
ちなみに、本来は本人の自由意志に委ねられて然るべき点において、上司の思惑に反した行為を取ったと早合点された為にご機嫌を損ねて、評価がコロッと180度変わった経験があります。匙加減一つでどうとでもなります。可笑しな話ですが、人事制度が巧妙ではなかったのが残念です。そういった欠点を意図的に悪用する輩もいますので注意が必要です。
随分と抽象的であり、業務の実態を詳しく反映出来るものではなかったように感じます。評価する人によっても厳しさ等が違うでしょうし、部署によっても業務の難易度等が違いますし、そこら辺の調整も必要なはずですが、そういった工夫がなされていたとも思われません。かなりいい加減なものでしょうね。
同じ部署に所属する人間が互いに評価し合う手法が認知されてから大分経っていますが、上場企業でも未だに導入されていない会社の方が圧倒的に多いのではないでしょうか? せめてチェック機能位は働くようにして貰いたいものです。加えて、私の働いていた会社では、人事部の考えた評価用紙の内容が、質問項目に対する段階評価の選択式であったりして、
唯一人の上司に評価を委ねるのは、正確さや公正さの観点から鑑みて避けた方が良いですね。子供の世界だけでなく大人の世界においても、卑劣な苛め行為がしばしば行われているようですし、私情など他の如何なる要因が影響しているかもわかりません(この点、個人間の問題のみならず、背後に会社の思惑が絡んでいる可能性もありますが)。
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