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報酬水準の高い会社、低い会社

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図1:平均年収の分類と各エリアの特徴
 内閣府が、ある世代が生涯に政府から受け取る利益と支払う負担を試算したところ、60歳以上の世代は差し引き5,647万円の受益超過なのに対し、30代はマイナス、つまり負担のほうがが743万円多く、20歳未満の世代は負担超が3,952万円だったという(2005年2月発表)。今の20代、30代は親世代が作った莫大な国と地方の借金を背負い、年金も払った分を貰えない。しかも天引き。政府がここまで無策だと将来不安になって当然だ。サラリーマンは手取りの報酬水準について真剣に考えるべき時代になった。
Digest
  • 成果主義導入企業が高い
  • 似たり寄ったりの企業群
  • 労組の影響で技術者も低いメーカー
  • 参入障壁が低い業界が多い
  • 一般には知られない大手出版の高水準
  • 高い参入障壁を築いた会社群
  • ケタ違いの報酬
  • 投資銀とコンサルの特徴
  • 新旧社員のオプション格差
  • IT企業はオーナー天下

それではどうやって見分ければよいのか。ビジネス誌で人気特集の平均年収ランキングには、下記4つの欠点があることは前回詳細に述べたとおりだ。1:報酬の上昇カーブが考慮されていないこと、2:採用区分による格差が考慮されていないこと、3:当然ながら、株式非公開企業などは含まれないこと、4:単年度のデータなので勤続年数が考慮されていないこと。

これら4点の問題を解決したうえで、本当の報酬水準をまとめた。上昇カーブについては、10年後の世界がどうなっているかも分からない時代なので、30才時点で切って見る。35才だと、管理職クラスに昇格している人と組合員のままの人がおり、両者は報酬体系が異なるため、ごちゃまぜになると平均値に意味がなくなるが、30才では、ほとんどの会社で、それほど差がついていない。また、私が取材する社員の中心が30才前後であることから、データの精度も高い。

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図2:30才平均年収で見た場合の、各エリアの代表的な企業名

手取りベースの30才時点の平均年収と、推定勤続年数でマッピングしたものが、左記図2である。手取り額は、実際には家族構成や加入している保険額などで控除分が変動するが、独身で余計な保険には一切入っていないものとした。

■「普通のサラリーマン」エリア

まず、相場観を持とう。大企業のなかで比べると、30才で、手取り500万円くらい、額面で650万円くらいが、標準的な年収である。これはもちろん人気が高い大企業での話なので、中小も含めたサラリーマン全体の給与としては、かなり高めだ。

これを基点に、前後100万円くらいに収まるのが、普通のサラリーマン像である。生涯賃金は2億5千万円~3億円程度だ。業種でいうと、メーカーのホワイトカラーは、ほとんどがこの中に入り、下位のマスコミ企業、中堅以下の国内系金融、上位の流通が入る。このエリアは、インフラ系を除いて参入障壁が低いため、競争が激しい。

成果主義導入企業が高い

このエリア内では、ソニーとキヤノンが頭一つ抜けて高い。ソニーでは成果が厳しく問われ、30才では、一部が「グレード1」に昇格し手取りで約600万円となるものの、大半はまだ「グレード2」で約540万円だ。キヤノンでも、順調に昇格できれば30才では「G3」で約600万円(額面月収で50万前後、ボーナス年200万前後)であるが、これも年功序列ではなく、論文、面談、上司の評価といった厳しい試験を2度クリアしなければならない。

両社では、20代から成果によって同期の間で報酬に差がつくため、全員が高い報酬を享受できる訳ではなく、社内の「負け組」も多いが、平均すれば30才では約570万円といったところで、これがメーカーとしては最高峰である。だが、この最高峰の給与は、マスコミや金融のなかでは、高いとは言えない。前述のように私は入社3年目ですでに手取り570万で、成果主義ではないため、同期でほとんど差がなかった(今でも同じ仕組み)。

特殊法人のNHKや、毎日・産経で地方から東京に戻れている記者たち、および損保2位の損保ジャパンでは、かなり年功序列的に、この程度の報酬を30才で得ている。みずほ銀では、トップ昇格組が30才で「調査役」となり手取り600万円だが、大半は役なしの同500万円にとどまるため、ソニーやキヤノンと、ほぼ同じ水準である。

似たり寄ったりの企業群

富士通やIBMといったSI系では、30才で550万円ほどと思ってよい。IBMは営業のみ基本給が低くコミッション比率が高いため、目標値を達成した年は750万円(額面1,000万円)を超えることもあるが、企業の情報システム投資には山があるので、翌年は反動で下がるのが通例だ。

インフラ系企業(JR、ANA、JAL)やビール会社(麒麟麦酒、サントリー)は500万円前後で、日立や三菱重工といった重厚長大系の大手メーカーも、だいたい似たような水準。

自動車は、終身雇用を前提とした典型的なピラミッド組織なので、最初の10年、つまり30代前半までは抜擢人事もなく、給与は安く抑えられている。トヨタや日産で30才なら、たいてい450~500万円だ。大手電機メーカーで給与が低いほうに入るNECやシャープ、三洋電機もその程度である。国内系消費財のトップメーカー(花王、ライオン…)も同じクラス。もともと相場が低い流通業のなかでは、大手の伊勢丹やイオンといった業界の「勝ち組」ならこのあたりになる。

労組の影響で技術者も低いメーカー

「世界のトヨタ」でも、30才で比べると、大手商社や新聞、広告と比べて、年収が4割も低く、年を経るごとに差は縮まっても、逆転することは、ほぼない。

こうしたメーカーの報酬水準の低さを論じる上では、工場のブルーカラー層の影響力が大きい労組の存在を無視できない。日本の労組は、欧米で一般的な職種別労組ではなく企業別労組なので、ホワイトカラーとブルーカラーが同一の組合に所属しており、労組は「団結」を好むので、そのために、どうしても全体で報酬水準のバランスをとろうとする傾向がある。

しかもそれは、自動車業界なら「自動車総連」、電機業界なら「電機連合」という上部団体レベルでの団結を重視するため、なおさら職種別での格差をつけにくく、同じ業界ならば企業間でさえ、横並びになる。企業間格差も、社内格差も、とにかく格差は、団結力を弱めてしまうからだ。

報酬水準が高めのキヤノンや日本IBMは電機連合に所属しておらず、キヤノンは労組があるにはあるが、「会社の方針を伝えるだけで戦わない。方針が伝わるのも『2ちゃんねる』のほうが早いです。あんな弱い組合に組合費を払いたくない」(技術系中堅社員)、「キヤノンを語るうえで『弱い労組』の存在は欠かせないです」(事務系若手社員)というように、社員の評価が低い。

日本IBMには、社員2万人超でも、組合員200人未満の労組が1つあるだけで、影響力は弱い。ソニーは労組の組織率が低く、「先輩に労組に入るべきかを聞いたところ、『入らなくても何もデメリットはない』といわれ、自分は労組に入りませんでした」(若手社員)という程度だ。

意外に思われるかもしれないが、労組が弱い会社のほうが社員の報酬は高い傾向にある。

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読者コメント

へい2008/02/01 02:50
話は大きく脱線2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
大きく話は脱線2008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
そうだそうだ2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
続きです2008/02/01 02:50
素朴な疑問22008/02/01 02:50
香木2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
知り合いの2008/02/01 02:50
就活生2008/02/01 02:50
昔は2008/02/01 02:50
労働組合って・・2008/02/01 02:50
下の続き2008/02/01 02:50
頑張って欲しい2008/02/01 02:50
元F社員22008/02/01 02:50
元F社社員2008/02/01 02:50
素朴な疑問2008/02/01 02:50
南 哲2008/02/01 02:50
だったら、2008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
誰の為?22008/02/01 02:50
0092008/02/01 02:50
戦う非組合員2008/02/01 02:50
やっと正社員2008/02/01 02:50
化学メーカー社員2008/02/01 02:50
大手電機メーカー社員2008/02/01 02:50
誰の為?2008/02/01 02:50
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