ソフトバンクモバイルは、誇大広告、難解な特別割引に続いて、第3世代(3G)ケータイの最新機種発表、新製品の20色展開などのサービスを売りにしている。ソフトバンクではシャープ製端末が人気だが、壊れやすい。欠陥商品をつかまされたときに商品交換をさせるには、毅然とした態度でお客様センターに「正論」を訴え続けなくてはならない。その泣き寝入りしないポイントを、ソフトバンクショップの店員として消費者に伝えたい。
【Digest】
◇ソフトバンクモバイルの売れ筋機種と20色カラー
◇商品数は多くても、売れないサムスン
◇故障が多いシャープ製モバイル
◇自宅で通じないというエリアクレーム
◇欠陥端末をつかまされたときの交換方法はこれだ!
◇退社後、AUに移行する条件
この春、私はソフトバンクを去るが、「甘い話には必ず罠が潜んでいる」ことを忘れないでほしい。
いままで、ソフトバンク店員が詐欺的商法を告発「客だけでなく店員も舐められているんです」や、続・ソフトバンク店員が詐欺的商法を告発「孫正義は学習能力がないんです」で、誇大広告の問題、難解な特別割引の仕組みなど、お客様が騙されやすい部分について伝えてきたが、今回はソフトバンク携帯の機種のあまり知られていない事実とクレームの実態について伝えたい。
◇ソフトバンクモバイルの売れ筋機種と20色カラー
ソフトバンクは1月25日、第3世代(3G)携帯電話の最新14機種を発表した。
3Gとは次世代携帯電話のことで、アナログ携帯電話→デジタル携帯電話→3G携帯電話と進化してきた。3Gは、通信速度が早くなったり、面白いゲームや携帯で音楽が聴けたり、アミューズメント機能が強化されていて、ユーザーにはメリットがある。そして、新世代用の特徴は、薄い携帯電話を目指している印象が強い。
わたしが勤めるソフトバンクショップでの今の売れ筋は、910SHと911SHのワンセグ(国内における地上デジタル放送による携帯機器向け放送サービス。2006年4月1日に本放送を開始)携帯である。お客様が911SHに惹かれる機能とは、地上デジタル放送を見ることができるワンセグチューナー内蔵携帯。910SHは、業界初500万画素のデジカメ携帯だということ。いずれも、シャープの製品である。
しかし、ショップよりも量販店への納入を優遇しているので、在庫切れ状態だ。入荷が完全未定となっていて、お客様にはご迷惑をおかけしている。
911SHと910SHの価格はキャンペーンや独自の値引きがあるので、店舗によってバラつきがあるが、一括払い(非スーパーボーナス契約時)では40,000円程度。しかし、ローン販売になると約75,000円程度の価格になる。これは新規契約時の価格なので、機種変更時とは価格が変わってくる。
機種変更は契約実績期間に応じて割り引かれる。2月15日から、機種変更の価格が割賦、通常ともに10,000円程値上げになった。
また、多色展開をしているのも特徴で、限定カラーも増えた。私からみると、無駄に色違いの機種を発売していると思える。今春の新製品の812SHは20色の展開をしている。同じ製品で20色を発売するとは、常軌を逸している。
この機種は2月10日の発売直後、比較的売れた。ブラック、ピンク、ホワイトといったベーシックな色が人気で、奇抜な色は動かない。ショップには全色入荷したが、色によっては1台のみの入荷しかなかった。ただ、ショップでは置ける在庫数が限られるので、無い色は予約→発注となっている。
機種812Tは、「コドモバイル」という名称のキッズ向けの携帯電話である。新スーパーボーナス加入時価格は24000円程度、一括(新スーパーボーナス非加入時)価格10000
円程度。いずれも新規契約時の価格である。この発売日(2月23日)も、直前になっ
てわかった。相変わらずの伝達不足、秘密主義だ。
◇商品数は多くても、売れないサムスン
ソフトバンクになってから、サムスン製端末が増えてきた。総合カタログの型番にSCとついているのがサムスン社の製品だ。他のメーカーは、東芝、NEC、ノキア、HTC(台湾企業)、パナソニック。ただ、シャープと東芝以外はあまり売れない。
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ソフトバンクの2月のパンフレット。
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シャープの技術者が「サムスンの携帯電話を分解し、メイン基盤(心臓に当たる部分)を見た時、シャープではとてもこんな技術でのハンダ付けはできない」と、サムスンの技術力の高さを評価していたと聞いたことがある。
薄い携帯電話は、韓国のサムスンがメインだ。でも、韓国メーカーの製品はあまり売れない。「外国のメーカーは嫌だ」「韓国はダメだ」という理由で敬遠され、国産メーカーにこだわるお客様が多いからだ。
私も、「電話帳登録や設定など若干操作に慣れていただくまでお時間がかかるかも・・」と伝えている。
国産では、やはりシャープの需要が高い。「ソフトバンク=シャープ」のイメージが強いのは、ボーダフォン時代からの流れであって、「シャープ=人気機種」という図式だ。しかし、このシャープの機種が壊れやすい。「修理=シャープ」と思うくらいだ。
◇故障が多いシャープ製モバイル
ボーダフォン時代の2005年春、V802SH、V902SHという機種が発売され、これが大変な不具合機種でクレームの嵐だったと聞いたことがある。
これは、私が業界を離れていた時のクレーム話で、職場の上司から聞いた話だ。
この機種には、画面が固まる(フリーズ)、勝手に電源が落ちる、電源のオン・オフを繰り返す、電源投入不可、片通話、圏外表示、充電不可等などの不具合がもともとみられ、ソフトウェアの改修があった。
しかし、そのソフトウェアの改修プログラムにも不具合があったので、正常に動作している機種の方が少なかった。そしてお客様からは当然のように毎日修理でのクレームが入った。
2005年6月のことだが、販売された902SHと802SHのソフトウェアの不具合が原因で、
下記の現象が起こった。
(1)受信メールの送信者名が実際の送信者と違う表示になる
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(2)メールやWebの操作中に画面が固まる 。
(3)電源が入らない、電源が自然に切れてしまう
。
(4)「ネットワーク自動調整」ができなくなる。
(5)「メール振り分け設定」において「配信確認」の振り分けができない。
(6)各機能の動作、通信が不安定。
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対象は、販売されたすべての端末である約49万台。802SH、902SHすべてが不具合端末だったというわけだ。完全な不良品だった。だから故障やクレームが多いわけだ。
通常ならば購入時から10日程過ぎると、初期不良品の場合でも担当営業の承認が必要になる。しかし、あまりにも不具合端末が多かった。当時は、ボーダフォン(現ソフトバンク)のショップスタッフの資格認定制度でCA(チーフアドバイザー)を取得していれば、営業を通さなくてもCAの判断で新品交換ができた。
スタッフはクレームによる疲弊で、現在同様に辞めていく人間が多かったという。
クレームがあまりにも多かったので、シャープからスタッフ全員に1万円が支給された。支払われたのは2005年6月のことである。
このような話は他キャリア(DoCoMo、AU)では聞いたことがなかったので、他キャリアと比べて故障が多いと言えるのではないか。
現在でもこの機種の後継機のシリーズは故障が多いと感じる。故障の現象も同じだ。
後継機というのは、903SH、904SH、905SH、910SH、911SH、804SH、810SH、811SH、703SH、705SHシリーズである。703SHと804SHと903SHは他の後継機と比べても不具合が多く感じられる。それも、フリーズ、電源が勝手に落ちる、電源オンオフを繰り返すなどの電源系の故障が多いようだ。
お客様も故障が多いことをご存知の方もいる。
「なぜ、普通に使用しているだけなのに壊れるんだ!」
「買ったばかりなのに、不良品ばかりなのか!」
「何回修理に出しても直っていない!」
と、怒っている方も多い。
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販売店様用の「ホワイトプランガイド」切り返しトーク集。 ドコモやAuがネガティブな対抗資料、表現を展開したときを想定して作成。
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私としては、ショップからメーカーへ送付することしかできないので、故障受付窓口として、誠意ある対応を心掛けている。
◇自宅で通じないというエリアクレーム
携帯電話は無線なので、基地局がない場所では入らない。その基地局の数も不十分だ。都市部、商業施設等では大丈夫なのだが、少し離れた田舎や、山が近い所などでは電波が弱く、使えないといったエリアクレームもある。
『神戸新聞』(1月30日付)に
「0円携帯」解約に6万円 県、ソフトバンクに改善要望 という記事が出ていた。そこにも、自宅でも使えないといったエリアクレームが出ている。
その記事によると、兵庫県明石市内の消費者が自宅で電波がつながらなかったために解約を申し出たところ、ソフトバンク販売店から「分割支払額の2,670円を2年後まで払い続けるか、一括して6万4,080円を払うかのどちらかだ」と言われたという。苦情を受けて神戸生活創造センターがソフトバンクモバイル本社と交渉、無条件解約に応じたという。
これは、至極当然のことであり、ソフトバンクの悪質な商売方法が社会的に露呈された一例である。今までわたしが告発してきたことが正しいことだった。このとき、騙されてしまったお客様に救いの道が開けたと思った。
だが、マニュアルにある「切り返しトーク」では、「エリアがあまりよくないイメージがあるんですが」の質問には、「3Gの基地局は他社よりも多い46,000局を今年度中に設置する予定です。ちなみにドコモは44,000局です。」とある。これは予定であって、決定ではない。また、ホームアンテナ(無料・数量限定)の設置も提案するが、これには工事費が掛かることがある。
ソフトバンクからその「切り返しトーク」への訂正もない。このようなエリアクレームが多いのに、ユーザーを無視し、まだつながらない地域が多い3G携帯をメインに販売しているのだ。
私は正直に、「まだエリア的には狭いですが、都市部や商業施設では普通に使えます。ですが、地方や自宅で利用できないことがあります」と伝えている。そして、エリアチェック端末(電波が入るかを調べて頂くデモ機)を貸し出して、クレーム防止に努めている。
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■切り返しトーク集
Q1)ホワイトプランには無料通信がありません??
無料通信はない。このプランは周囲にソフトバンクの人が多い、もしくは待受中心でなければ割高になる。他社にかけるならば、違うプランを選択するか、他社携帯を選択するのがベスト。
Q4)割賦契約しないといけないんですよね?? 解約等で契約解除料がかかるんですよね??
割賦契約にしなくても大丈夫。その分、本体代金を一括で購入しなくてはいけない。他社と比べても高い印象がある。解除料はないが、もし割賦にした場合はローン残債の支払いが残るので要注意。
Q5)端末やコンテンツでもやっぱりDCM・AUでしょ?
ソフトバンクは機種によって(特にシャープや東芝以外のメーカー)対応していないコンテンツが多いので正直、数では負けている。
もっと互換性を高めないといけない。
Q7)同じ定額なら、WILLCOMがお得じゃないの?
その通り。1番通話をする時間帯にお金が発生してしまうので、完全定額のWILLCOMの方が安心して使える。
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また、『神戸新聞』の記事によると、「全機種0円」でクレジット契約をした消費者から「解約を申し込んだら多額の電話機代を要求された」という苦情が兵庫県神戸生活創造センターに寄せられおり、1月30日に「消費者を惑わす表示」としてソフトバンクに取引方法の改善を要望したとも出ていた。
◇欠陥端末をつかまされたときの交換方法はこれだ!
欠陥品をつかまされても、泣き寝入りをしない対策、コツがある。
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