「売り手市場」の就活ルポ 学歴主義の囲い込み合戦に踊らされるな!
![]() |
写真1:日本生命でリクルーターとの待ち合わせが行われるJR東京駅丸の内北口 |
- Digest
-
- 「エントリーシートは見ていない」リクルーター
- 実は選考されていた!OB訪問
- 偏差値で集合場所が異なる第一生命
- 倫理憲章は守られない
- こっそり大学限定の会社説明会を開催
- 「抽選」名目で特定大学の学生を集める
- 偏差値の低い大学の学生はどうすべきか
- みん就とは、ほどよい距離で
- 囲い込み工作への対処法
- 「内定ブルー」にかかる学生たち
- 譲れないことは何か
- 会う人の影響、説明会で分かること
- ネガティブ基準で決定
- 超高級ホテルの客室でOB・OG訪問
- わざわざ私服で来させて、拘束する
- 就活を終わらせたい誘惑にまどわされるな
2006年3月の平日、夜8時。JR東京駅丸の内北口改札前。リクルートスーツを着た何人もの大学生が、一人で立っている。誰かを待っている模様だ。ほどなくして、比較的若いサラリーマンが一人ずつ迎えにやってきて、丸の内の闇夜に消えていく。これは、日本生命保険相互会社(ニッセイ)が伝統的に行っている「リクルーター制」の風景だ(写真1)。
「エントリーシートは見ていない」リクルーター
リクルーター制とは、リクルーターと呼ばれる若手社員が、入社を希望する同じ大学の後輩と社外で非公式な面接を繰り返して採否を決める制度。翌年4月入社の大学生のリクルーター選考は、3月頃にピークを迎える。
一般の公募と異なり、偏差値の高い有名大学の学生だけに開かれたルートだ。一昔前に比べれば、リクルーター制を採用している企業は減ってきたが、未だ多くの大企業で残存する。特に、金融やインフラといった業種では多く見られる。表向きは一般公募を実施するものの、採用人数の大部分をリクルーター制で埋めてしまうため、一般公募が有名無実化している企業もある。
ニッセイも、そのひとつだ。私自身、就職活動中の2006年2月に、2回ほど日本生命のリクルーターと接触した。
自分が最初に会ったリクルーターは「採用枠のほとんどがリクルーターで埋まる。自分もこのルートで入社した」と言っていた。同社の総合職採用では、3月に、学生とリクルーターとの接触が非常に多くなる。ニッセイ東京本部(丸の内オアゾ)では20時前後にオフィスが消灯し帰宅が促されるため、上述の時刻にリクルーターがやってくるようである。
![]() |
写真2:エントリーシート対策や筆記試験対策の本、面接対策本も人気を集めている(筆者所有物を撮影)![]() |
同社採用ホームページの「募集情報」によると、「エントリーシート(志望動機や自己PRを書く履歴書のようなもの)にて書類選考を行う」と述べられているが、私の接触したリクルーターは「学生のエントリーシートは基本的に見ていない」と語っていた。エントリーシートの内容よりも、学歴が重視されているのである。
実は選考されていた!OB訪問
1回目の接触では、入社3年目の大学のサークルOBとお会いした。サークルOB名簿から先輩と連絡を取り、日本生命に関心を持っている同じサークルの同期4人と「OB訪問」という名目で、サークルのOBの方に仕事についてのお話を伺うという趣旨で食事会を行った。
OBは、「選考とは関係ない」と私たちに説明し、私たちもそのような解釈でリラックスして、食事を楽しんだ。しかし、5人のうち私を含めた3人だけに、次の「OB訪問」の案内が来たのである。この時点で、連絡が来なかった2人は、日本生命の選考から外れたことになるのだ
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り10,856字/全文12,232字
写真3:第一生命のリクルーターと待ち合わせが行われた帝国劇場チケット売場前。第一生命本社の目の前である。
写真4:第一生命のリクルーター選考が行われた喫茶店
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
Very well written!
I’ll right away snatch your rss as I can’t to find your
e-mail subscription link or newsletter service.
Do you’ve any? Kindly let me recognize so that I may subscribe.
Very well written!
I’ll immediately grab your rss feed as I can not find your
email subscription link or newsletter service.
Do you have any? Please allow me recognize so that I could subscribe.
俺は高校中退し893のパシリだったけど、大検+二浪で慶應入りました。こういうヤツもいるんだぜ人事諸君(笑)
え~採用担当の方々はアホですね。高学歴の人達が努力をしてきているとかなんとか言ってますが。そもそも努力の方向性の違いでスポーツを努力した人。とかいるじゃないですか?勉強なんてね、ちょっと真面目にやればできるんですよ。東京大学入学は別として慶応レベル合格なんて一年くらい必死でやれば簡単です。
それにしても記事を読ませていただきましたが、くだらない選考をしている大手企業が存在するんですね。特にばかげた人事担当には、あきれます。我が社でそのような選考差別をした場合、問題になりますからね。とにかく学歴にこだわる必要なしです。
あまり一生懸命にならないようにしてください。大手も本当にたいしたことしてませんからね。偏差値にこだわっても何も変わりませんよ。今の時代は何が出来、それを楽しんでいるかです。
記事を読ませていただいた者ですが、納得させられる部分が多くあります。学生達にはしっかりと目標をもって会社のネームバリューで選択しないような自己形成を行っていただきたいと思います。まあ、大企業の社員に関しては均質的な人材を選定・採用している傾向があり、能力のある人材は一人もいないのが現実です。勘違いしている人物は多くいるようです。よく自分の人生を考えて選択してください。
私は機電系だからかむしろ記事とは逆の感想でしたね。
お世辞にも学歴は高くありませんが大手含め面接以外の足きりで結局一回も落ちませんでしたし。
それ以前に学科による違いのほうが大きいと思いますけどね。
学歴に関しては一応「差別はいけない」と建前上なってますが明らかに区別する必要のない業務でも、学科による区別が行われてる企業って結構ありますよ。
今年もいよいよ2010年度の就職活動がスタートしましたね。
大学名は全く関係ないと言いながら大学名だけで合否を決める企業はたくさんあります。それも一軒見栄えのよさそうな企業がやっているので注意が必要。
筆者が言っているようにJR東海の総合職事務系は学歴を重視することで有名です。これから辛いことが待ち受けている就職活動悔いを残さぬよう頑張ってください。
私はこの記事の立場に反対です。
一流・大手企業しか受けない就職活動生がいるのだから、一流大学の学生しか採用しない企業があってもいいと思います。就職・採用活動は「企業が学生を選別する」プロセスではなく、「企業が学生を選別する一方で、学生が企業を選別する」プロセスでもあると思ってます。
某鉄道会社のリクルーター社員です。どこの企業も学歴不問みたいな雰囲気があるが、残念ながらそれは建前に過ぎない。
うちの企業でも結局は総合職一般職ともにマーチ以下は受け付けない。
うちの企業は一生の子のやり方は続けるだろう。
低学歴の諸君はうちの企業を受ける資格はない。
学歴フィルターするのはいいと思います。やはり多くの学生から応募がある企業ではどうしてもせざるを得ないだろうし、書類選考と言っている企業はみんなやっていると思います。
しかし、学生の方も大企業、中小企業とか「できるだけ有名な企業に勤めたい。」など、有名企業、無名企業と差別しているのだから偉そうなことは言えないと思います。
私は上智大学生です。ここに載っている企業ではJR東海がリクルーターをしています。総合職のみですが、この職は高学歴でない限り入れません。ですがそれを知らない多くの学生がこの企業の学歴フィルターで弾かれています。総合職事務系の内定者トップは東京大学で27人内7人を占めています。このようなことを延々としている企業は目標にしない方がよいでしょう。高学歴でも全くそういった優遇とは無縁な学生も多数います。
ちなみに我社では、旧帝国大学。早稲田慶応上智、マーチ、地方国立の順で大学の序列化をしています。
最も地方国立なんて相手にしませんが…。
我社ではマーチが数人入れるか入れないかぐらいです。採用枠のほとんどは東大、京大、早稲田、慶応の4つで埋まります。
私の採用チームでははっきり申し上げて学歴差別を行っています。なぜなら、偏差値上位校に入学された方はそれまで相当の努力をしていらっしゃるからです。
さらに企業ブランド維持のためにももっとも相当な方法だと思います。
数回の面接だけでその人が5年、10年後に活躍できる人かどうか判断することは正直分かりません。新卒は基本的に皆同じに見えるのが本音です。ですので学歴・語学力ぐらいしか判断するところがないのです。また、人事部員、リクルーターもサラリーマンです。東大や一橋の学生に内定を出しておけば後で上司に言い訳が立つんです。
私は入社3年目の某鉄道会社の採用担当です。
大学による選別を行うことは会社としても決してやりたくはありません。
しかし、毎年多くの学生からのエントリーシートが提出されすべてに目を通しきれません。
そこでどうしても大学名の欄に目が言ってしまい、学歴による選別をせざるを得ない状況があります。もちろん大学は関係ありませんよという期待を学生に持たしてはいけないと思います。
大学で採用を採るという事には反対はしません。でも、企業側も大学は関係ないという期待を学生に持たせすぎないでほしいと思います。どうせなら「うちの会社はこの大学を積極的に採用しているから君の大学じゃ無理だと思うよ。」とはっきり言ってもらった方がすっきりすると思う。でも今の日本じゃこんな事したら思マスコミに叩かれるから人事の人も大変だな。
だって、そんなにオープンにすると、わかってないマスコミが寄ってたかって人事を袋だたきにするじゃないですか?昔は面接官が正直に言ってましたよ。「何で君の大学でここにいるんだ?」って。3年前にも大手の製薬会社であったらしいけど。思わず言っちゃったんでしょうねえ。
要するに企業側からすれば具体的に欲しい人材の条件を提示しているだけで、それが有名大ですという正直な意見。影でこそこそやらずに、有名大しか採らないと最初に言えばいい。海外のように出身大学によって初任給が違うような事例を作ればいいのに。だってやって来た勉強とパフォーマンスが違うんだから。仕事ができる人に待遇をよくするのは当たりまえでは?
OB訪問で選考されたって・・・企業側だって、本人に会ってしまった以上、何らかの印象は持ってしまうわけで、それを無視しろっていうのは無理がないでしょうか?
学歴でフィルターされるのがそんなに嫌ならば、大企業以上に学歴関係なく能力の高い人を必要としている中小企業で活躍する事を検討した方がいいと思いますけどね。
大手企業は山ほど学生からの応募があるわけで、採用する側も学歴を判断基準の一つにして振いわけたくなるのでしょう。それがそんなに悪いことなのでしょうか?応募する側も「大手企業」として中小企業と「差別」して応募しているわけで、似たようなもんだと思いますけどね。
履歴書に写真はおろか性別まで書いてはいけないと聞きましたが・・・(黒人差別防止、女性差別防止のためとか)
私は米国の大学に通っていますが、米国の方が学歴社会、コネ社会だと感じています。日本のように、学生が一斉に出すエントリーシートはありません。選考の第一段階は、履歴書とカバーレターだけの勝負なので、学歴フィルターは当たり前。縁故やコネも、面接のチャンスを掴む大事な実力の一つです。もちろん、労働力の流動性が日米で異なるという背景もありますが、日本の就職活動は比較的フェアだと思いますよ。
ただいま就活中の学生ですが、金融業界やゼネコンはリクルーター制が多いと思います。リクルーターは企業側が学生を囲い込む為にやっている訳であり、会社を選ぶ権利はこちらにあるのでは。しっかりと自分にあう会社探しを自らの手で行うことがベストでしょう。将来の安定は自らの能力向上にあると思います。確かにこの情報は正しいと思いますが、選考プロセスはこれだけではないので努力することも大切です
このようなコネが格差社会を招いているのでしょうね。知り合いから父親が大企業の管理職だとか、社長の孫という理由で試験ナシに内定を貰ったという話を聞いたことあります。権力あるものが更なる権力を得るなんて不条理ですね。でも、今、世の中は着々と変わっていますから、終身雇用体制が崩壊しつつある今、コネ社会もなくなるかも知れませんね。
大手だとOBの情報がいっぱいあってきちんと合った企業を選べますが、中小は先輩もいないしネットの情報も乏しいのでそういった人たちへのサポートが課題でしょうねけどかなり難しいかも
しかし、最終的な判断は自分で行うようにして下さい。結果の責任を他人に押し付けても責任を取っては貰えませんので。面接の対応などは、基本を抑えて、後はざっと読み流す程度でOKだと思います。
色んな情報に躍らされて焦りがちになりますが、加工された2次情報だけでなく、本当に必要な役立つ情報は口伝ての1次情報にあったりもするので是非相談してみることをお勧めします。その際は、ここに書かれてある通り、会社が送り込んできたOB(=リクルーター)でなく、選考に全く関係のない身近な大人に聞くべきでしょう。適当な人がいるかどうかも、その人の実力の内です。
事前に余程念入りに下調べしておかないと、入社してから想定外の実態に気付く羽目になりがちですね。そうならないよう、当初から自分の希望を明確にして、ある程度対象を絞っておくことも必要でしょう。幾つかの企業についてじっくりとその全体像を聞いてみれば、企業の実態や違いを少しはリアルに感じ取れるはずです。
NTT西日本を受けたのですが、各大学ごとに人事部に”採用チーム”があって、学生さんを面接に合格させるトレーニングを行っていました。僕は出来が悪かったのでトレーニングの対象にもなりませんでしたが・・・。採用活動も非常に公務員的でした。
去年、就活しましたが銀行はエントリーしただけで連日電話がありました。その後、リクと何度か会いましたがその会場には何十人という学生がいました。正直、自由で採る気は全くなさそうでした。
今からの学生さんは恵まれているね。団塊退職と(本当かは別にして)景気も好調らしいし。逆に氷河期に就職した世代はバカみたいだよ。氷河期世代も若者のはずなのにね。
私なんぞは働きながら、商品価値高めていかなきゃいけないのでおのずと制約が厳しくなってます。 資格でも経験でもなんでも、ベクトルが大事です。最初に一つ武器があれば、藁しべ長者も夢ではありません。がんばりませう。
今、社会がいきなりアメリカ型になり、商品価値をとわれても、若者が対応できない。 でも今からの学生って、そういう意味では恵まれてると思いますよ。意識しておけば、時間と可能性でオプションを増やせます。
資本主義を良く考えると、自分は商品でしかない。アメリカを見ていると、仕事に就く前に、商品価値を高めている。 日本は会社で商品価値を高めるわけだが、奴隷に選択権は基本的にない。
実力ある奴は新卒で入るよ実力ある奴が学業や就活サボるわけないし
日本はコネ社会。コネコネ。不二家とか三洋電機とか、器じゃなくても社長になれるよ。
要はオープンな会社か閉鎖的な会社か?実力主義かそうでないか?という会社の体質の違いでしょうね。生保では内勤職員と外務職員では待遇も違うし採用も別。日系生保では中途採用は業界経験者のみだが外資系生保では未経験でも採用されることもあると。日生や第一は潰れなくて済んだ。東邦生命や日産生命は潰れた。企業内部に旧体質が残っているかどうかの問題だと思われます。
あってもないに等しいのね。mixiやみん就など使って差別企業をどんどんバラせばいい。不満な学生さんは。
とても参考になります。私は現在就活中ですが、できるだけ素の自分でいられるような環境を根気よく探したいと思います。
就職氷河期でもリクルーター制は当たり前。私が受験した銀行でも、リクルーター制度で入社するのが、定員の8~9割。ごく稀に説明会→面接×3回を受験して受かる人もいるけど、あくまで例外。
参考になります。できれば、理系の方の記事も欲しいですね。「メーカーが楽」とか、理系ではあり得ない表現ですし、やっぱり文系とは違うんだなと感じました。
この入口で一生懸命やっても、結局、公務員でもない限り仕事出来ない奴は切り捨てられるからな。実際、出来る奴は、中途からでもなんとでもなるから。なんだかんだ言っても、こんなに入口で一生懸命なのは、終身雇用の名残なのかな。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい
企画「ココで働け!」トップ頁へ
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい (無料)
■社員を紹介していただいた方、取材を受けていただいた方には、
会員IDおよび薄謝進呈いたします。ご協力のお申し出をお待ちしております。
ご連絡先E-mail:info@mynewsjapan.com