「宮崎は変わらんといかんが」 ブロガーは東国原知事の会見に押しかけよう
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宮崎県庁HP「知事の部屋」より。 |
毎日毎日、そのまんま東こと東国原英夫知事のことがメディアから流れてくる。知事就任1週間の宮崎の経済効果は165億円だとテレビでやっていた。「宮崎のセールスマン」として、テレビに出ずっぱり状態だ。
「[宮崎県議会]ネット中継にアクセス計50万件」(「毎日新聞」3月3日)によれば、宮崎県議会のHPへのアクセス件数が2月15日から13日間で計50万866件にも上り、東国原知事の所信表明のライブ中継も3万4000件が集中するなど接続しづらくなっているとのこと。
県議会では傍聴席の抽選券も出ていた。
◇フリーランス、ブロガーも知事の囲み取材ができるのか
テレビを見ていると、東国原知事の「囲み取材」が何度も目に入ってくる。
日曜日のTBS「サンデージャポン」では、元フジテレビのアナウンサーの山中秀樹が東国原知事をインタビューしていた。彼は、TBSからの依頼で取材ができるのだろうが、わたしも「囲み取材」に行って、東国原知事にあれこれ質問できるのだろうか。
わたしがまず、東国原知事に聞いてみたい質問はこれだ。
「長野県のように、『脱・記者クラブ』宣言はされないんですか?」
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2月18日、宮崎県庁総合政策本部秘書広報課宛てに送った質問書メール。宛名は東国原英夫知事、宮崎県庁広報担当者。![]() |
しかし、この質問を知事に直接してみたいと思っても、その取材を「管理」しているであろう記者クラブから「フリーの取材はお断り」と締め出されたり、嫌がらせをされたりするかもしれない。
「暴力団やゼネコン談合より悪質 司法記者クラブの脅しに屈してはいけない」の書き込みに、地方紙の記者が「会見などでの規制はない」「中央は違うと感じる」とあったのも、気になるところだ。
マニフェストにも【「宮崎は変わらんといかんが」宣言!「過去」からのしがらみの一掃】とあったので、取材、記者クラブについて聞いてみることにした。
◇東国原知事に記者クラブへの質問をメールで送信
宮崎県のHPを見て、代表メールアドレス一覧にあった「総合政策本部」秘書広報課のメール(hishokoho@pref.miyazaki.lg.jp) 宛てに2月18日、質問書を送った(右上画像参照)。
宛名は東国原英夫知事、宮崎県庁広報担当者。質問は以下。
■宮崎県庁にはどういったクラブがあるか? ■記者室がいくつあるか? ■記者室の水道や光熱費や電話代などは宮崎県庁、税金による負担なのか? ■記者クラブ加盟以外のスポーツ紙、週刊誌、外国報道機関、フリーランスなどメディア関係者が知事の会見に、所属は関係なく参加できるのか? 記者発表(プレスリリース)を入手することはできるのか? ■田中康夫前長野県知事が「脱・記者クラブ宣言」を発表し、その後できた表現センターのように、一般の人も知事の会見に参加できるのか? ■長野のような「表現センター」にされた場合、窓口はどこになるのか? |
メールだと見落とされるかもしれないので、同じ内容のものを21日にFAX(0120-383-447)でも送信しておいた。
◇長野「脱・記者クラブ宣言」の運用は継続中
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2月21日、FAX(0120-383-447)でも宮崎県秘書広報課宛てに同じ内容で送信。![]() |
田中氏は、オーマイニュース「都知事選を語る(2) 長野で味わった既得権益の高い壁」(OhmyNews編集部、3月2日)でも、この「脱・記者クラブ宣言」について語っていた。
そこでは、知事の会見なのに、東京のスポーツ新聞やテレビ局が会見に出てよいかのおうかがいを地元の記者クラブに前日、提出しなければならなかったことや、『聖教新聞』『赤旗』の記者は会見にも入れてもらえなかったことなど、「記者クラブ制度の弊害」が述べられている。
大手メディアによる情報の独占を避けるのが目的だったが、県主催による一方的な情報提供、記者クラブから質問が自由にできないなどの不満が出て、田中前知事は記者クラブ加盟の大手メディアからかなり非難された。
私はいまだに新聞社の人たちに「『脱記者クラブ宣言』なんてしやがって、この野郎」なんて言われている(前述、オーマイニュース記事より)。
村井仁知事になって「脱・記者クラブ宣言」に変化があったのか、長野県庁の広報課(TEL.026-235-7054)に電話してみると、「表現センター」から「会見場」に名称が変わっただけで、主催は引き続き長野県。運用も田中知事の時代と変わっていない、とのこと。一般の人も申し込めば会見に参加できるそうだ。
◇2,000通を超す意見や質問が届いている宮崎県庁
22日、宮崎県庁の秘書広報課報道担当の
「申し訳ないですが、まだ、知事には(質問書を)見てもらえてないんですね。2,000通を超す意見や質問が届いていて、物理的にさばける状況ではないんです」と、対応でかなり忙しいようだ。
温水さんによれば、宮崎県には、宮崎県政記者クラブと警察に県警記者クラブがあり、加盟社は現在13社。新聞社が8社(朝日、読売、毎日、日経、西日本新聞、南日本新聞、宮崎日日新聞、夕刊デイリー)、通信社が2社(共同、時事)、テレビが3社(NHK、宮崎放送、テレビ宮崎)。記者室は、秘書広報課の隣に1部屋あって、この13社が利用している。
記者クラブとは特定の報道機関(大手メディア)の記者たちが集まった取材組織で、官邸、省庁、地方自治体、警察、業界団体などから、机や椅子付きの記者室(ブースで分けられている場合も多い)を提供されている。
「記者クラブに入りたい」と言っても、入れるものではない。このように加盟社以外のフリーランスなどを排除する組織は海外にはなく、海外ジャーナリストが日本に来て驚くひとつでもある。
日本のような「記者クラブ」が韓国にも存在し、弊害が指摘されてきたが、仁川国際空港の記者会見から排除されたオーマイニュースが訴訟を起こしたことなどがきっかけとなり、2003年には盧武鉉大統領が大統領府の記者クラブを解体した。
記者クラブは、ますます日本独自のものとなっている。
--記者クラブは、なんであるんですか?
「どこもそうなんでしょうが、県の広報の一環、パブリシティであって、記者室の提供は、広報サイドの所管になっています」
--東国原知事の記者会見などに、13社以外は取材していないということですか?
「取材されています。記者クラブがOKを出して、記者会見とか入れていますね。制限は特にしていません。宮崎県も特に制限するつもりはありません」
--それは、東国原知事が言っているんですか?
「知事は、そこまでは言っていないですね」
--落ち着いてからでも、ぜひ、この質問を見てもらってください。
「後日、見てもらうようにはします」
◇取材に制限を加えるとトラブルになる
就任記者会見は時間的なこともあって記者クラブと県の共催だったが、通常の定例記者会見は記者クラブ主催でやっているという。
--フリーランスなど記者クラブがあるから取材できないこともあったんですか?
「フリーの人も囲みのとき、入っていましたね。特段制限してなかったです。地域性とかあるのかもしれませんが、そういったトラブルは起こってないです。在京からかなりのマスコミの方が見えていますが、記者会見にも出てもらっています」
--海外の方は来ていますか?
「来ていないですね。来られれば同じように入ってもらうんだと思います」
--自由なんですね。
「入れるか、入れないかでトラブルはなかったですね。官制談合事件のときからかなりのマスコミが11月からお見えになっていますが、その3カ月の中で記者室の使用、記者会見の出席などのトラブルも起きていません」
--他の県も真似てほしいですね。
「これは個人的な見解ですが、制限を加えますと、いろいろトラブルになると思うんですね。うちの場合、開かれた記者クラブという基本スタンスでされているので、トラブルが起こっていないんだと思います。
『入れない』と言うと、『どうして?』となるじゃないでしょうか」
◇ブロガーはまだ記者会見に来ていない
--フリーランスなどメディアに関わっている人と、一般の人との違いがありますか?
「希望があれば、記者クラブに相談するでしょう。入れなかったというのはないです」
--ブロガーとかは?
「来ていないですね。そこは、地域性もあるんだと思います」
--リリース(記者発表)はもらえるんでしょうか?
「差し上げています。個別に電話もしています。『教えてほしい』と言われれば、公平に提供しています。
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読者コメント
記者と知事のやり取りが放送された物を聴いたが、聊か記者が居丈高だと感じた。どこの方かはわからないが、記事の内容取捨選択は確かに編集する者の自由だが、情報を得る為の取材で練った質問を持ってこないのはいかがだろう。素人記者のほうが余程熱心に質問を考えてくるのでは?記者会見というのはgive and takeである事は事実で知事の利益ともなるが、それ以前にプロとして自覚を持ち取材にあたるべきではないか?
TVニュースで会見の様子をみたけど、「脱記者クラブ」ほど前面的にやめようと言っているようには見えなかった。東国原さんは単に「効率よくしましょう」と言っただけのように見えましたが、記者のほうが過剰反応してるように見えました。記者の皆さんの方にもう少し大人な会見できるようになってほしいですね。
残念ながら鳥取県の片山知事は統一地方選挙には出馬しません。引退です。でも引退だから本音が聞けるかも。ぜひ取材してください
田中前知事と東国原知事が同じメディア関連で飯を食っていた経歴があるというだけで類似の政策を志向するという保証は何処にもない。今回の当選はむしろ横山ノック元知事に近いケース。単なる革新知事ブームへの便乗なのかどうかは県民・国民が判断すればいい。民主国家では評価は選挙に委ねられるのだから。
記事の下部にある鳥取県は面白いと思います。誰か取材してくれないかなぁ。
田中康夫前長野県知事は知事時代の不祥事で書類送検され都知事選には立候補を渋っているし、出て落選したらたちまち過去の人になる危険がある暗部も持っている。「プロパガンダ」ではなく「真の革新」を成し遂げる姿勢があれば大いに応援するが只の広告塔としての役割しかなければ期待することは全くない。メディアを利用できる優位性を持っているのだからそれを生かして今から行動で示して欲しいと考える。
記者からの追加情報
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■■宮崎でネタにつきたら鳥取県知事を囲んだらよい■■
そろそろメディアもネタ切れかなと思っていたら、『東国原知事が連夜自宅に泊めた「二人の女」』と『週刊現代』(3月10日号)に書かれ、 “東国原知事初スキャンダル”としてワイドショーで話題になっていた。
泊めた女性は“美女”だとか、若い記者だとかネタにしたかと思えば、アポなし取材で、元妻のかとうかず子さんに「その女性のこと、どう思いますか?」と聞いていた。彼女もあきれ顔でちょっとムッとしていた。「ほんとに暇なことやっているな」と思った。
26日の県会議でこの週刊誌ネタを突っ込まれ、「家には支援者、後援会の方などいろんな人がパブリックコメント、意見交換などを行なうため出入りしている」「そんなことを書くスペースがあるぐらいなら、全国紙の向けの雑誌で宮崎のPRをしていただきたい」と知事は言っていた。
メディアの常は、持ち上げた後はバッシングだ。そして、在京メディアはネタ切れになったら、とっとと宮崎から引き上げるだろう。
宮崎でネタにつきたらそのまま鳥取県に向かったらどうか。片山善博鳥取県知事はおもしろい。
■学校給食には鳥取の地場の生産物を使い、鳥取での「地産地消」での供給率は高い。
■2003年6月には「東芝不買」を宣言するなど、企業にも「ノー」の声をあげた知事でもある。
■警察関連文書の公開も、裁判を経ないで自治体の判断で公開に踏み切った。
■人形峠ウラン鉱害(核燃料サイクル開発機構が放射能を帯びたウラン残土を鳥取県東郷町などに放置)では、核燃機構に訴訟を起こすように住民にすすめた。そして、訴訟費用を鳥取県と東郷町が負担、県の顧問弁護士が住民側代理人となるなどの支援もしている。
■6人の子どもの父親である片山知事は、育児支援策などを積極的に推進している。PTAにも必ず出席してきたと聞いたこともある。少子化問題も、彼にこそ話を聞きたいところだ。
次は、片山善博鳥取県知事をどんどんとりあげたらいい。