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暴力団やゼネコン談合より悪質 司法記者クラブの脅しに屈してはいけない

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記者クラブ室内のブースエリア。この広大なスペースは我々の貴重な税金で作られたスペース。なぜか特定の民間企業が、ずっと対価を支払わずに占拠して使用している。利用に際し、何一つとして文書化されたものはない
 エゴ丸出しの勝手なルールを押し付ける、新聞・テレビ・通信社による利権団体「記者クラブ」。記事もろくに書かないくせに対価を払わず国有財産を占拠し、まじめに報道しようとする国内外のフリージャーナリストらを、法的根拠もなく会見場から排除する民主主義の敵だ。このほど、司法記者クラブの実態を週刊誌に書いたところ、「出入り禁止だ」と記者と週刊誌編集部を脅してきた。いったい、何様のつもりなのか。ジャーナリストは、このような不当な圧力に絶対に屈してはいけない。
Digest
  • 根拠なき脅しを平然と行うおかしさ
  • 「占拠は認めていない」と裁判所
  • 日本だけの異常なシステム
  • 不当な圧力には屈しないこと

 私は事前に、「週刊ポスト」側から、「普段のMyNewsJapan並みの論調だとクレームが怖い」との意向を受けていたため、セーブして書いた穏やかな原稿を出稿(以下に掲載)。そして、2月26日発売号に掲載された。

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『週刊ポスト』2月26日発売号より

東京地裁の2階に、司法記者会室という不思議な部屋がある。内部は3部構成で、1つはマスコミ15社が占拠するブース、もう1つが彼らのお世話をする事務員(公務員)の部屋、もう1つがレクチャー室だ。

「幹事社の日経です。時刻になりましたのでレクチャー室にお集まり下さい」。2月8日13時半、マイクでアナウンスされると各ブースから記者がぞろぞろ現われた。「すごい数ですね~」。既に20個の椅子は、フリーライターらで埋まっていた。この日、行われたのは、ジャーナリスト・烏賀陽弘道氏らの会見だ。

音楽チャートで有名なオリコンは昨年11月、月刊誌『サイゾー』に寄せた烏賀陽氏の20行ほどのコメントに対し、5千万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。烏賀陽氏も、この訴訟によって名誉を毀損されたとして、オリコンに1千百万円の損害賠償を求める反訴で応じた。

烏賀陽氏は、雑誌の取材に応じて、報酬ナシで、オリコンのランキングの信憑性に疑問を呈する話をしただけで、自分で記事を書いていない。だがオリコンは、出版社を除外し、個人だけを対象に訴訟を起こした。

この裁判がまかりとおると、あまりにリスクが高すぎて、誰もマスコミの取材を受けなくなる。次には同じ論理で、企業に都合の悪い取材を進めるマスコミの社員記者個人も狙われる。萎縮効果は抜群で、言論・表現の自由にとって極めて重大だ。

国境なき記者団(本部・パリ)が翌9日、オリコンに対し訴えを取り下げる勧告を発表するなど、国際的関心も高い。だが日本の大手新聞5社では、朝日が9日朝刊にベタ記事を載せたほかは、毎日が昨年12月に4段で報じただけ。日経、産経、読売は完全に無視を続けている。

 国民の知る権利に応えないのなら、法的根拠もなく公的スペースである裁判所の一角を占有するのはやめ、この問題を積極的に報じるフリー記者やブロガーらに開放してもらいたい。

根拠なき脅しを平然と行うおかしさ

週刊ポストが発売された2月26日、「共同通信のタケダ」と名乗る人物から、さっそくクレームの電話がかかってきた。「幹事」なのだという。本当のことを書かれて怒った様子だった。

「記事を書いた渡邉さんですか」

--そうですが、何でしょうか。

「申請書は出しましたか」

--いえ、受け取ってもいませんが。何ですか、それは。

「クラブのルールで出すことになっています。出入り禁止を検討します」

--あなたがたも、出してないですよね。

「ルールを守ってください」

--記事で書いたとおり、法的根拠のないルールに従うつもりはありません。あの場所はあなた方のものではないですから、あなたがたに管理される理由はありません。管理権限を持つ裁判所の人が出せというなら別ですが。

「クラブ総会を開いて、今後の対応を話し合います」

--ああそうですか。勝手にやってください。

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ブースの位置図。雑誌やネットなど様々なメディアを排除し、このテレビ・新聞・通信の15社だけで談合して縄張りを決め、国有財産を好きなように使っている。暴力団も真っ青だ。

簡単に言えば、記者クラブ加盟社がやっていることは、税金を食い物にする「密室談合」行為で、「クラブ総会」というのは、そのための会合である。どうやって外部の雑誌記者やフリージャーナリストらから利権を守るかを話し合い、自分らに都合のよいルールを勝手に作って、外部の人間を排除するのだ。

水曜日、週刊ポスト編集部から連絡がきた。ポストに対してもクレームをつけ、ポストの記者を出入り禁止にする、と脅したというのだ。このように、自分らに都合の悪い本当のことを書かれると逆ギレして、勝手に出入り禁止にするのがクラブの特徴である。国民の財産である記者会室に、よくも勝手に出入り禁止だなどと言えるものである。厚顔無恥もはなはだしい。キミらにそんなことを決める権利は何もない。

勝手に国民の財産(公共スペース)を占有しておいて、外部の者を排除し、威嚇する。これは、暴力団が自らの縄張りを勝手に主張して商売をする行為と何ら変わりがない。記者クラブのマスコミは、記者室という税金を勝手に使い込み、一般人の知る権利を剥奪している点で有害無益そのものなので、一般人を巻き込むことが少ない暴力団の方々よりも、ずっとタチが悪い。

今回のオリコン裁判報道で明らかなように、本来の報道目的でやってきて、実際に積極的に報道している私のようなジャーナリストや、それを掲載する「週刊ポスト」の記者を威嚇し、排除するぞ!と脅す。彼らがなぜ刑法の「威力業務妨害」の罪で立件されないのか不思議なくらい、立派な犯罪である。業務妨害も甚だしい。

記者クラブ加盟社が勝手に占有している国有財産は、ジャーナリスト・岩瀬達哉氏が全国800ヶ所に行ったアンケート(回収率66%)によれば、毎年、110億7,760万円にものぼる (岩瀬氏の著書「新聞が面白くない理由」より)。本来、マスコミが負担すべき取材コストが、国民の税金から勝手に支出されている格好だ。

いったい、クラブ総会で何を話し合うというのか。タケダ氏に聞いてみた。

--ポストにも脅しをかけたそうですが、クラブ総会ってのはもうやったんですか。

「順次、協議中ですよ。話し合ってます」

--で、私は出入り禁止なの?

「そうなりますね、過去の例からも、確実に。」

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エゴ丸出しの申請書。15社のうち1社でも異議があると出席できないというご都合主義で、報じたら掲載紙を送れ、などと指示。勘違いも甚だしい。そうしたければ、勝手に自分らでお金を払って、外の施設を借りてやればよい。
--ああ、そう。あなたがたのルールに従うつもりはないですけど。そのルールって、明文化したものがあるのなら見てみたいんですが。

「申請があった人だけに渡すんですよ。具体的な会見が特定されない限り、渡せません。個別に対応しているので」

--それを受けたら、どうなるんですか?

「加盟社全員にアナウンスされて、1社でも異議があったら参加させません」

--オリコン会見のときは。

「5人から申請があって、異議がなかったから、全員、参加させたんですよ」

--そんなの嘘ですね。私はその場にいたから分かりますが、知っている人だけでも10人は外部の人がいて、20個の席はほとんどフリーの人たちで埋まってましたから。

「私はその場にいませんでしたから、分かりませんよ!」

利権だけは主張するが、会見にも出ず、記事も書かない。5人というのは、形式的に利権を守るためのアリバイ工作だろう。国民の「知る権利」に応えるつもりがないのだから税金(会見場及びブース)の無駄遣い。有害無益である。その後、質問する私に対してタケダは、「時間がない」と言いだし、不機嫌そうに話を切った。そもそも月曜に自分から電話してきたくせに、すごい態度だ。

挙句、「私はデスクだ、もっと丁寧な言葉を使え」などと言い出した。どうやらデスクは自分をエラいと思っているらしい。これには本当に笑ってしまった。私も新聞社にいたので社会部系の人間はだいたい想像がつくが、ヤツらは一般人には想像がつかないほどの世間知らずだ。一歩会社の外に出るとフリーターも勤まらないレベルなので、会社の利権を守ることに必死になっている。

「占拠は認めていない」と裁判所

最後に、確認のため、裁判所にも聞いた。東京地裁の総務課に尋ねると、「高裁の総務課が地裁のほうも一括して管理している」という。連絡先(03-3581-1335)を聞いて、かけなおす。

高裁広報係のイトウ氏が対応した。

--クラブ加盟社が記者室を占拠していますね、何か明文化された法的根拠があるなら教えて欲しいのですが。

「特にないと思いますが、念のため調べてみますので少々、お待ち下さい。しばらくして、かけ直してもらえますか」

 数時間後、かけなおした。

「契約書や使用要領といったものは、特にありません。なぜあの場所を使用させているのかというと、迅速で正確な裁判報道をしてもらう、という目的のためです」

--つまり、明確な法的根拠はないんですよね。何か契約書のようなものや、使用権が明記されたものがあるなら知りたいと思ったんですが。

「そういったものは何もありません。裁判報道のために、便宜をはかっている、ということです」

--報道目的で会見場に入ろうとするフリージャーナリストなどを勝手なルールで出入り禁止だとか言っていて、困っています。そもそも裁判所は、独占的にあのスペースを利用する権利を彼らに与えているのでしょうか。

「特定の社に、あの部屋の占拠を認めているわけではありません」

--でも実際に、ブースと記者会見場について、自分らの勝手なルールをつくって占領してますけど。なぜ彼らは、記者室の管理者のような態度をとっているのでしょうか。

「管理者は、我々裁判所です。運営を、記者クラブにお任せしているだけです」

--何か、委託契約書のようなものがあるのなら、見せて欲しいのですが。国民の税金で作られた国有財産を利用するのだから、法律に則って、平等に運営されないとおかしいですよね。

「契約書のようなものはありません。クラブ室の管理は、高裁がやっています。それとは別に、迅速で正確な裁判報道のために、運営を記者クラブにお任せしています」

--要するに、慣例的にそうなっているだけですよね。明文化された根拠は何もない、と。大手マスコミだけが加盟しているクラブに勝手な運営ルールをつくらせたら、当然、自分らに都合のいいルールをつくりますよね。

「ええ」

--新聞、テレビ以外にも、月刊誌、週刊誌、ネット新聞やブログとか、他のメディアがあって、ライバルとして戦っている訳ですよ。新聞やテレビは、ネットに先に書かれたら困るから、当然、ネットの記者を排除するルールを作りますよね、勝つために。

「ライバルですか、そうですね」

--そうですよ、当然。だから、クラブのルールに従ってたら勝ち目はないですよね。だからそんなライバルが作った不公正なルールに我々が従うわけないじゃないですか。だから私は必要があれば記者室に入りますよ、正確で迅速な報道のために。

「うん、なるほど」

このように、普通に論理的に話せば、よほど狂った人でない限り、記者クラブを占拠したうえで勝手に作った都合のよいルールで「出入り禁止だ」などとほざいている利権団体が、いかに利己主義的なとんでもない存在なのかは、理解できる。

記者クラブが会見を主催したいならば、自分らで然るべき料金を負担して、外部で会見場のスペースを借りればよい。そうすれば当然、自分らのルールで出入りする人を決められる。だが、裁判報道を目的に設置されている国有財産は、すべての表現者に平等なルールで運営されるのが当然なので、特定の利権団体が都合のよいルールを他者に押し付けることは絶対にできない。

日本だけの異常なシステム

 記者クラブは、国際問題となっており、「国境なき記者団」(本部・パリ)は昨年10月、世界168カ国における報道の自由度で日本を51位とした具体的な理由について、記者クラブの閉鎖性をあげた
 Rising nationalism and the system of exclusive press clubs (kishas) threatened democratic gains in Japan, which fell 14 places to 51st.

記者クラブは民主主義を脅かしている、と明確に指摘している。2002年12月には日本政府に対し、記者クラブ制度の廃止を求める声明を発表している。

2002年10月には、EUが規制改革勧告における報告書(10月)のなかで、記者クラブが「情報の自由貿易における効果的な規制となっている」「単一ソースに依存し過ぎることで多くの人達にとって利用品質が下がっている」などと批判した。

韓国でも記者クラブは存在したが、Ohmynewsが中心となって解体させた。韓国Ohmynews記事(2001年7月27日付)などを自動翻訳サイトで日本語に訳し、その経緯をまとめたものが、下記である。

2001年2月29日、韓国の新しい空港「仁川国際空港」の開港を翌日に控え、仁川空港管理公団は記者室でブリーフィングを実施。この際、「オーマイニュース」のチェ・キョンジュ記者は、仁川空港記者クラブに登録されていないという理由で、記者クラブ幹事から無理やり退去させられ、ブリーフィングを聞けず、報道資料も貰えなかった。

オーマイニュース社は、弁護士とともに、司法に訴えることを決断した。市民団体「参与連帯」のキム・チルジュン弁護士は同年4月10日、「記者室出入り妨害禁止 仮処分申請書を一緒に出しましょう」と同紙上において公開提案し、「ネティズン」の意見を集約。5人の弁護士が作成した申請書は、200字詰め原稿用紙325枚分に。対象は、仁川空港出入り記者クラブと記者クラブ幹事社である「連合ニュース」記者など所属記者20人、そして仁川国際空港公社代表理事カン・ドンソク氏などだった。

同申請書では▼仁川国際空港出入り記者クラブは、出入り記者室を排他的に占有したり使用する権利がなく、▼不当に競争相手を排する行為であり ▼憲法に保障された言論の自由と国民の知る権利を侵す行為、と指摘。「出入り記者クラブは、仁川国際空港公私と契約によって独占的な使用権を申し受けた事実がないから、オーマイニュースのチェ・キョンジュ記者に記者室から退去を求める権利はない」として、同年5月4日、仁川地方裁判所に提出した。

7月24日、仁川地方裁判所第3民事部は、この「出入り及び取材妨害を禁ずる仮処分申請」に対し、「記者室に出入りするのを妨げたり、取材するのを妨げてはいけない」との仮処分を決定した。

 裁判所の決定に対し、キム・チルジュン弁護士は、「これまで記者室が政府機関が提供する情報に対し独占的地位を享受し、言論の自由と国民の知る権利を侵して来たから開放しなければならない、という主張を受け入れた」と述べ、「記者クラブに所属されていないという理由で取材過程で相当な制約を受ける不当な慣行と決別し、自由に取材できる権利を保障してくれる橋渡し役になるという点で意義は大きい」としている。

その後、空港の記者室出入りは自由となり、韓国全土で、記者室の自由化が進んだ。

不当な圧力には屈しないこと

そして、世界中で、このおかしな記者クラブが残っているのは、日本だけとなった。日本で自由化されたのは、田中康夫氏が長野県知事時代の2001年5月に発表し実施した「脱・記者クラブ宣言」くらいで、極めて部分的なものにとどまっている。

「脱・記者クラブ宣言」は極めて常識的なことを述べたものだが、田中氏の落選後、県庁の公式ページから削除されてしまった。以下が、そうなることを予想してコピーしておいた全文だ。

  →脱・記者クラブ宣言

記者クラブとは、ゼネコンの談合と同じようなもので、いまどき、これほど議論の余地なく100%有害なものは珍しい。報道の自由と民主主義を成熟させていくために、断固として、その存在を許してはならない。

フリージャーナリストや雑誌記者、ブロガーなどは、今後、司法記者室で会見がある場合、堂々と参加しよう。もし何か申請書を出せといってきたら、「あなたがこの部屋の正当な管理者である証明をしてください」という。

 「オレが幹事だ、そういうルールなんだよ!」とヤクザ風の中年男が威圧的に因縁をつけてくるだろうが、「不当な圧力には屈しません。私には表現者として、この公共のスペースに出入りする権利がある」とはっきり言おう。

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名無しさん2014/06/27 23:21
みやけ2011/01/18 17:11
ちょう2008/02/01 02:51
業界紙記者2008/02/01 02:51
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持田一成2008/02/01 02:50
しかし、にしても2008/02/01 02:50
尚、マスコミの方には2008/02/01 02:50
官公庁が提供する2008/02/01 02:50
官業癒着形利権産業2008/02/01 02:50
関係者2008/02/01 02:50
解決案2008/02/01 02:50
マーフィーの法則2008/02/01 02:50
役所の怠慢及び恣意性2008/02/01 02:50
改めて考えてみると2008/02/01 02:50
改めて考えてみると2008/02/01 02:50
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村社会の遺物2008/02/01 02:50
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同感です。2008/02/01 02:50
読者2008/02/01 02:50
読者2008/02/01 02:50
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■オリコン訴訟の詳細は、うがやジャーナル
■第2回口頭弁論期日:2007年4月3日(火)午後1時30分~。東京地裁709号法廷。