国境なき記者団調査、日本は報道自由度51位 「毎日」は記者クラブ問題を隠匿
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毎日新聞は2006年10月25日東京朝刊で、
日本は「ナショナリズムの隆盛が目立つ」との理由で前年より14位下がって51位と厳しい評価となった。
と報じたが、原文は、
Rising nationalism and the system of exclusive press clubs (kishas) threatened democratic gains in Japan, which fell 14 places to 51st.
となっている。
つまり、「ナショナリズムの興隆と閉鎖的な記者クラブ」が理由であるが、自らの既得権である記者クラブ問題については、まるで指摘がなかったかのように隠した。自主規制だ。これがまさに「51位」の体質といえる。
なお、国境なき記者団は、かつて、2002年12月10日付で、日本政府に対して記者クラブ制度の廃止を求める声明を発表している。
→Reform of Kisha Clubs demanded to end press freedom threat
今回の報告書では、日本について、The newspaper Nihon Keizai was firebombed and several journalists phsyically attacked by far-right activists (uyoku).
と、右翼による暴力的行為を、民主主義の驚異として挙げた。
調査は、各国の記者(駐在員含む)に、共通の50項目の質問(迫害、検閲、タブーの有無…)を行う方法をとり、日本では、外国人を含めた120人に調査票が配られ、うち40人から回答があり、「記事を自主規制したことがある」と答えた記者もいたという。
最高位はフィンランド・アイルランド・アイスランド・オランダの4カ国で、最低位は北朝鮮・トルクメニスタン・エリトリアの3カ国だった。
肝心の質問内容は、下記の通り。私は95年に47番に該当する行為(ウェブサイト閉鎖による言論弾圧)を日経新聞から受け、これは後に、東京地裁によって違法認定され、確定している。これは判例なので、判決文(平成14年3月25日)の一部を、改めて掲載しておく。
同部長の原告に対する前記業務命令は、削除すべき部分を特定することなく、就業規則上何らの問題のない文書を含むHP全体を閉鎖するよう命じたものであって、到底許されないもので、これに従わなかった原告の行為をもって「責任者の命に従わなかった」ものであるとして懲戒処分の対象とすることは許されないのである。17番は、 ノンフィクション作家の溝口敦氏の息子が今年1月、暴力団関係者とみられる男に襲われた件 が該当する。
武富士がフリージャーナリストに対し、 批判封じ目的で億単位の高額訴訟を仕掛けたり、ジャーナリスト宅を盗聴したりする行為が日本では数年前に実際に起きているが、これはどれに該当するのだろうか…。
一見、民主国家でありながらも51位という低さは、妥当なのかもしれない。
Questionnaire for compiling a 2006 world press freedom indexThe period runs from 1 September 2005 to 1 September 2006
During this time, how many journalists:
1. Were murdered?
2. Were murdered, with the state involved?
3. Were arrested or sent to prison (for however long)?
4. Are currently in jail and serving a heavy sentence (more than a year) for a media-related offence?
5. Were threatened?
6. Were physically attacked or injured?
7. Fled the country?
Were any journalists (yes/no):
8. Illegally imprisoned (no arrest warrant, in violation of maximum period of detention without trial or court appearance)?
9. Tortured or ill-treated?
10. Kidnapped or taken hostage?
11. Did any journalists disappear?
Over the period, was/were there (yes/no):
12. Armed militias or secret organisations targeting journalists?
13. Terrorist action against journalists or media firms?
14. Improper use of fines, summonses or legal action against journalists or media outlets?
15. Routine failure to prosecute those responsible for seriously violating press freedom?
16. Prison terms imposed for media-related offences defined by law?
17. Attacks or threats against family, friends or colleagues of journalists?
18. Surveillance of journalists (phone-tapping, being followed etc)?
19. Problems of access to public or official information (refusal by officials, selection of information provided according to the media’s editorial line etc)?
20. Restricted physical or reporting access to any regions of the country (official ban, strict official control etc)?
21. Media outlets censored, seized or ransacked? (how many?)
22. Searches of media premises or homes of journalists?
23. Surveillance of foreign journalists working in the country?
24. Foreign journalists deported?
25. Problems getting journalist visas (undue delay, demand to know names of people to be interviewed etc)?
26. Censorship or seizure of foreign newspapers?
27. Jamming of foreign broadcasts or regulating who can have satellite dishes?
28. Independent or opposition news media?
29. An official prior censorship body systematically checking all media content?
30. Routine self-censorship in the privately-owned media?
31. Subjects that are taboo (the armed forces, government corruption, religion, the opposition, demands of separatists, human rights etc)?
32. A state monopoly of TV?
33. A state monopoly of radio?
34. A state monopoly of printing or distribution facilities?
35. Government control of state-owned media’s editorial line?
36. Improper sackings of journalists in the state-owned media?
37. Journalists forced to stop working through harassment or threats?
38. Opposition access to state-owned media?
39. Strictly-controlled access to journalistic profession (compulsory certificate or training, membership of journalists’ institute etc.)?
40. Use of withdrawal of advertising (government stops buying space in some papers or pressures private firms to boycott media outlets)?
41. Undue restriction of foreign investment in the media?
42. Licence needed to start up a newspaper or magazine?
43. Cases of violating privacy of journalistic sources?
44. Serious threats to news diversity, including narrow ownership of media outlets?
45. A state monopoly of Internet service providers (ISPs)?
46. ISPs forced to filter access to websites?
47. Websites shut down over the period?
48. ISPs legally responsible for the content of websites they host?
49. Cyber-dissidents or bloggers imprisoned (how many?)
50. Cyber-dissidents or bloggers harassed or physically attacked (how many?)
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「各国の記者(駐在員含む)に、共通の50項目の質問(迫害、検閲、タブーの有無…)を行う方法をとり、日本では、外国人を含めた120人に調査票が配られ.」 国境なき記者団調査、日本は報道自由度51位 「毎日」は記者ク
”「ナショナリズムの興隆と閉鎖的な記者クラブ」が理由であるが、自らの既得権である記者クラブ問題については、まるで指摘がなかったかのように隠した。自主規制だ。これがまさに「51位」の体質”
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読者コメント
日本の記者クラブに詰めるのが報道システムになっている日本は、持ちつ持たれつ部分が大きく本当はもっと下ではないでしょうか、
全くその通り。官僚政府しだいの日本マスコミは、いまだに鎖国のものすごい島国状態であることを私たちが意識しないといけない。
アメリカも報道の自由が乏しいことはイラク戦争といい、強く感じますが、日本よりも順位が低いことに驚きです。
マスコミに就職したら、私も適当に取材して、皆が叩き出した権力には、刃向かうでしょうね残念ですが、フリーの人に頑張って貰いましょう。
>正しいことを主張したいなら、自らが道義的にも正しくないと人の共感を得ることはできませんで、そういう指摘が「東」という人間の「道義的正しさ」を何か証明しているんですかね。
南さんへ。報道してませんでしたね。勘違いでした。すみません。ただ、矮小化のくだりは同意できません。正しいことを主張したいなら、自らが道義的にも正しくないと人の共感を得ることはできません。矮小化については、「沖縄密約事件参考資料」でぐぐってみてください。最初に出てくるサイトの記事と私は同意見です。
経済界に付いて言えば、ホリエモンの様な小者なら躊躇なく逮捕し、どうでも言い事まで報道しまくるくせに、財界で力を持っている者には、警察も手を出さなければ、報道機関も何もしませんね。
BOXさん、印象操作?部落問題や在日問題くらいの圧力に屈してる日本のマスコミなら、自公政権と、官僚と財界の共益トライアングルは記者クラブ同様にもっと強圧で病理。前者と後者と日本の民主主義に取って、どっちが大きな脅威でしょうか?日本の右傾化は民主主義にとって脅威ですが、中身は他愛のない19世紀的時代遅れです。幼児的観念論=「ナルシス幻想史観」です。操作と言うより、世界の良識が蔑むのは当然。
東さんへ。当時毎日新聞の西山記者は、外務事務官から入手した「沖縄返還秘密協定」の大スクープを、毎日が怖じ気づいて掲載してません。だから社会党の横路代議士が国会で問題にしたのです。しかし日本政府は今だに「密約はない」と言い張るしまつ。西山さんの逮捕は女性官僚をそそのかして不当に入手したらからと、いつもの矮小化。日本の報道の自由とは、昔から幻想で、強いものには弱い体質は今はもっと進行中だからです。
『古くは「沖縄秘密協定」を毎日新聞が報道しなかった』って?沖縄秘密協定の存在を示す文書がアメリカで発表されたんでしょ。それに報道したから、逮捕に至った。この記事でこのコメントは・・・。
メディアが文字通り「マス・コミ」としては機能しても、重要情報の多くは隠蔽され報道されない。古くは「沖縄秘密協定」を毎日新聞が報道しなかった事がアメリカの外交文書の公開で確認されてます。きっと今も報道されない事実が無数に進行中なのでしょう。この国では民主主義の看板のウラで「報道のタブー」が多過ぎです。長過ぎる自民党政権と、官僚と財界の共益トライアングルが民主主義をすっかり形骸化させ、腐乱させている。
部落・在日・核、どれもアンタッチャブルだったものが右傾化によってむしろ自由に議論できるようになったってのが本当だろうに、印象操作してるのがいるんだろうねぇ。
日本の記者クラブが閉鎖的であるのは判るが、右傾化していると云う表現がちょっと引っかかりますね。傍から見れば右傾化した社会に見えるのかしら・・・。右傾化と言うより閉鎖的・排他的と言ったところでしょうか・・朝日や毎日を見る限り思想的には左派的な記者が多い様にも見える。(しかし、記者クラブでも判るとおり政府の御用記事も目立つ)・・・・んんん、よく判りません。
記者クラブといえば落選した前長野県知事の田中康夫さんが、知事就任後一番にした改革が長野県庁舎にあった記者クラブの廃止でした。その為もあって田中前知事はマスコミから厳しい敵視報道に遭い、前回の知事選でまさかの敗北を喫したのです。これ一つ取っても日本の報道がいかに既得権益化しているのかよくわかりますね。
イーホームズの藤田社長が記者クラブの存在を罵倒しているが、やはり問題の多い体質を備えてるのですか。誰がどのように運営してるものやら?
”報道の自由”や”表現の自由”を錦の御旗に掲げて権利を主張しつつ自意識過剰に振る舞っているように見える割には実際には”自ら規制される事”を好み、”「仲良しクラブ」の中で世間的価値観から乖離した無菌パックの空間の中で無責任な姿勢で「言論的自慰」に耽って生きたい”という本音・矛盾が透けて見えます。 口先だけのメディアには反吐が出ます。
大マスコミの力の大きさを思い知らされる話です。言論の自由なくして、民主主義なしです。こんなマスコミ支配を打破しなければ。いつか来た道とならないためにも。
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