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PASMO Suica 過剰料金は乗客負担に! JRの「提供者の論理」に引きずられた私鉄

情報提供
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いつ料金を過剰徴収されるか分からないSuicaの改札。
 SuicaとPASMOの相互利用で便利になった関東の交通網。だがその反面、運賃精算は複雑になった。細かいルールを見ると、全体的に先行していたJRのSuicaのシステムにPASMOが従った格好。だが乗客軽視のJR側ルールに引きずられたため、乗ってもいない運賃の過剰請求が正当化されてしまったり、パスネットでは認められていた振替輸送がPASMOでは認められなくなったなど、乗客へのサービスはことごとく悪化したのが実態だ。
Digest
  • 続々起きる運賃過剰引き落とし
  • 乗車履歴を管理しよう!
  • 「ピッ」と「ピピッ」の違いは?
  • 乗っていない運賃を勝手に徴収
  • お客様相談センターも間違えた料金設定のメチャクチャさ
  • JRにあわせて顧客サービスが低下した私鉄・地下鉄

続々起きる運賃過剰引き落とし

3月18日、PASMOのサービス開始の朝、小田急線藤沢駅のJR連絡改札口で運賃の二重引き落としが起きていた。改札のカード読み取り部に2回タッチしたため、二回目のタッチで実際には乗車していない1,750円分が引き落とされたというもの。

本来ならば連続して二回以上タッチすると受付を拒否してゲートが閉まる。しかしその設定が行われていなかったことが原因とのこと。

 気になるのは、その事件は「お客様からの指摘で判明したものです」とあることだ。  このケースはPASMOに始めて対応した小田急線でのことだが、実はSuicaの改札では過去に、何回も同様の料金過剰徴収が起きている。2002年8月には東京モノレールで、今回と同様の2度タッチでの二重徴収していた。

2002年10月~11月には、同様の2度タッチでの過剰徴収が3つの改札で発見された。また新宿駅東南口の改札では電子回路基盤の故障が原因で、定期区間内なのに期限切れと、機械が勝手に判断して料金を引き落としていた。(産経新聞2002年11月12日)

また最近でも2006年8月に中央線八王子駅で、電子基盤の故障で、定期区間内なのに運賃を引き落としているケースが発覚。が暑すぎて、機械が誤作動を起こしたのだという。(東京新聞2006年8月15日)

いずれも乗客が、不審に思い申し出たことで発覚した。

乗車履歴を管理しよう!

となると、やはり乗車履歴をこまめにチェックした方がよさそうだ。昔の磁気式のイオカードやパスネットのときは、改札を通るたびに使用履歴が裏に印字されていたので簡単だった。Suicaではどのように乗車履歴がわかるのだろうか?

そんなことはすでにご存知の方が多いかもしれない。実は、私自身は基本的に電磁波を利用したSuicaというシステムが気に入らないため、日ごろはあまり使わない。持っているカードも最初期のSuicaカード(キオスクなどでは使えないやつ)だ。

これまで乗車履歴をチェックできるということも知らなかった。

知らなかったので、JRの改札では結構嫌な思いをしていた。たとえば混雑時などは、改札のディスプレーに表示されているデータが、前の人のものなのか自分のものなのか分からないケースって結構ないだろうか?自分のデータが出てくるまで止まって待っていようとしても、後ろからもどんどん人が来るので、止まっていられない。

またカードをかざすとピッとかピピッとか、たまにはピピピピッなんてなったり、前の人が原因でゲートが閉まってしまい、後ろの私が原因みたいに見られたり、果たして自分のカードがきちんと処理されているのかどうか不安になることもしょっちゅうだ。

多分今のはきちんと読み取ってないなと思いながら、降車駅の改札でカードをかざすと案の定、ゲートが開かない。仕方なく駅員のいる改札に行いくと、駅員がカードをパソコンで読み込ませながらも、画面がこっちからが見えないようにして、「どこから乗車されました?」なんて尋問口調で聞いてくるなんてこともたまにあり、嫌な気分になっていた。

そこで乗車記録についてだが、念のためお知らせしておくと、駅の券売機などにカードを入れると過去最大20件まで利用履歴の表示ができる。印刷はPASMOは20件、Suicaは50件まで可能。PASMOの場合は「記名PASMO」という名前や住所を登録するカードの場合、自宅などでもインターネットを通じてPASMOのホームページから利用履歴が確認できる。

SUICAには、記名カードでもそういうサービスはなく、携帯電話と一緒になったモバイルスイカにしない限りいつでも閲覧できるということはできない。その意味でPASMOがサービスで一歩先を行っている。

「ピッ」と「ピピッ」の違いは?

ちなみに、改札でのピッやピピッという音の違いにもちゃんと意味があることも、実は知らなかった。知っている人にはご面倒だが、多分知らない人もいると思うので一応説明しておこう。

 JR東日本の説明によれば ・「ピッ」は定期券として利用している場合の音。 ・ 「ピピッ」はSF(電子マネー)部分を利用している場合の音 ・ 「ピー」は定期券の期限切れ、またはSF(電子マネー)の残額不足などの場合の音で、ディスプレイにメッセージが表示される。 ・ 「ピピピピピ」はうまく読み取れない場合の音。もう一度タッチしなおす必要がある。

 しかも、定期の場合には定期期間などののお知らせサービスというのがあり、それを設定すると、
・「ピッピッ」定期券有効期限が14日以内
・「ピピピッ」残額が1000円以内
という音が加わるのだという。

乗っていない運賃を勝手に徴収

さて、本題に戻ろう。使用履歴をチェックしておかしいと思ったところがあれば、申し出て調査してもらおう。機械に故障があった場合には払い戻しの対象となる。

そこで問題となるのが、明らかな機械の故障ではないが、そもそもの料金精算がおかしいという場合だ。PASMOとSuicaのどちらでもJR、私鉄、地下鉄などが利用できるようになったことで、料金精算が複雑になった。JR東日本ではいち早く「運賃の計算方法」「というチラシやホームページでの案内などを作って説明している。

もっとも問題になるのは、JRが地下鉄や私鉄と直通列車などで相互乗り入れをしていて改札を通らないで相手の区間にまで行ってしまう場合だ。基本ルールはいくつかのルートが考えられる場合、「最も安価となる経路の運賃で清算します」(ルール3)とある。

 しかし、たくさん例外があり、たとえば三鷹津田沼間では、JR線の間に中野西船橋間を東京メトロにすると620円(通しの切符ではさらに割引がついて590円)なのに、勝手にJRを通ったとして780円引かれる。

 注)通常の場合は、中野で東京メトロに乗り換えたら、西船橋駅でJRに乗り換える際に改札を通るのでそこできちんと清算される。問題になるのは、朝夕の時間だけに運行している中野西船橋間を経由する相互直通列車の場合だ。西船橋や中野駅を通過してしまうので、Suicaの記録だけではJR線を使ったのか、東京メトロを使ったのか区別が付かないという。

この点についてはマスコミの報道は、問題として指摘する意識はあまり感じられない。「JR線と他社路線を乗り継ぐ区間の一部では、これらカードで改札を通ると、通常の運賃よりも割高な金額が引き落とされる。JR東日本は、こうした「二重運賃」について注意を呼びかけ始めた」というだけ。

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三鷹駅で配置されているチラシ。
料金の過剰徴収に対するお詫びの言葉は一言もない。

では、JRがどのような注意をしているかというと、インターネットの料金の案内でも、三鷹駅で配られているチラシでも「ICカード(Suica・PASMO)ご利用の場合、連絡切符(磁気乗車券)でのご利用と比べて、計算方法が異なる為、一部区間で運賃が異なることがあります」と書いてあるだけ。露骨には書いていないが、だからしょうがないあきらめてください、または、その区間はSuicaではなくて、これまでの切符を買ってくださいというものだ。

でもそもそも、本当に地下鉄東西線を使って移動しているのに、なんで割高なJR線の料金を払わなければならないのか?システムの処理能力の関係で対応できないとは言え、明らかに過剰徴収ではないか?

読売新聞の記事によると、JRはこうした問題は1年以上前から認識していたものの「現行のシステムに、こうした複雑な運賃体系のすべてを対応させるのは、時間的にも技術的にも間に合わなかった」と話している。

JRが注意しているように、通しの切符を買えばすむことじゃないかと思う人もいるかもしれない。たしかにSuicaなどのICカードしか使えないというわけではないので乗客は自分が注意することによって、料金を過剰に取られることを予防することはできる。

しかし、これは新聞記事でもJRが認めているようにSuicaのシステムの整備が間に合わないために起こっている過剰徴収なのだから、少なくともJRはお詫びの一言をつけて、さらに間違ってSUICAで乗ってしまった場合などは、当然その分の差額は払い戻しをすべきではないか。

お客様相談センターも間違えた料金設定のメチャクチャさ

そこでJRの首都圏ICカード相互利用 お客さまお問合せセンター(050-2016-2614)に電話して問い合わせた。対応したKさんとのやり取りは以下のようなものだ

--なぜ、本当に地下鉄東西線の中野西船橋間を通った場合でも、全線JR線を使ったとして割高な料金を払わなければならないのか?

Kさん「ICカードというはタッチをしてタッチで出るのが原則なんですね。東西線の場合、朝と夕は直通電車があって、津田沼からきた電車が中野から改札を通らないでJRに乗り上げているんですね。それでタッチできないんですよ。昼間は、西船橋駅に新しく設置した改札を通らざるを得ないんでメトロを使ったという証拠になるんですよね。機械的に、こちらはまだICカードの成長段階でお客様には大変ご迷惑おかけすることになるんですが、直通電車で来てしまった場合は、メトロを経由したという証拠がないので、全線JRで来たと判断してしまうということなんですよ」

--そもそもルールでは「最も安価な経路で計算」とて言っているのに、なんでここだけ例外になるのか?ここでの最も安価な経路は590円じゃないですか?

「メトロさんとの契約だと思うんですね。JRだけで決めているわけではないんで」

--この場合は、メトロにとっては明らかに損じゃないですか。JRの方が主張したわけでしょ。

「はあ」

--この場合、問題になるのは朝夕の直通列車だけですよね。昼間は西船橋で乗り換えなくちゃならないんだから。ということは問題になる時間帯が限られるわけじゃないですか。

「そうですね」

--だったらせめてですね、知らずにSuicaで乗車して、本当に東西線経由の直通電車に乗った場合ですよ、Suicaの改札では780円精算されてしまうわけですが、窓口で申し出た人に対しては、差額の190円を払い戻しをするということはできないのでしょうか?

「はい、それはします」

--えつ、してくれるの?

「はい、それはしております」

--それは証明できなくても良いの?

「証明というか、お客様の記録に津田沼から載って三鷹で降りたということが記録されていますので、その場合は、お客様のお申し出でこちらは対応しております」

--言えば返してくれるけど、黙っていたら取られるということなんですか?

「はあ、そのとおりです。そうです、お客様のおっしゃるとおりです」

--だったら、それは案内に明示しなくちゃいけないでしょう。

「そうですね。お客様の声として上の方に上げさせていただきます。どうも貴重なご意見ありがとうございました」 (ガチャンと切れる)

お客様センターでは、「これから対応します」ではなくて、「すでに対応しています」という対応だった。

しかし、翌日にその対応がウソだったことが判明する。念のため、JR東日本のICカード乗車券取扱規則をチェックしてみたところ、そこでは、返金するなんて一言も書いていない。

そこで、再度お客様センターに問い合わせたところ、同じKさんらしき人が対応にでた。その時私の方はKさんの名前を忘れていたが声を覚えていた。Kさんの方は、昨日の私の電話に対応したことを覚えていないようで、同じ質問を再度したところ、昨日とは違い「Suicaを利用された場合は、Suicaの料金になり差額の返金はできません。PASMOの場合も同様です」と答えてきた。

だったら、昨日言ったことはその場限りの嘘八百ということになる。

そこで「昨日対応したのは、あなたでしょう?」と問い詰めたところ、「私ではない」と否定する。「だったら誰がそんなウソをいったのか、責任の所在をはっきりさせて連絡するように」と伝えて電話を切った。

すると、一時間も経たない間に、その本人から再度電話があり、「昨日対応したのは私でした」と全面的に謝ってきた。

 何でそんなすぐばれるようなウソをついたのかとたずねたところ、  
 「昨日の話でお客様とお話をしていて、実際に地下鉄を利用しているのに、割高なJR線の料金を取られてしまうということで、自分でも変だなと思って、当然料金はお返しするべきだろうと思ったことで、勝手に勘違いして回答してしまいました。本当に申し訳ありませんでした」  
とのこと。

本当にお客様窓口のJRの職員が私の話に同感したのか、それともクレーマーだと思って適当にその場限りの対応をしたのかは確かめる手段はない。しかし一つ明らかなことは、JRの専門の担当の職員ですら、お客に対してきちんと説明できないほど、JRの料金ルールはメチャクチャだということだ。

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西日暮里駅で対応するJRスタッフ(黄色のジャケット)
しかしすでにSUICAで乗車して料金が高い場合の払い戻しはできない。

中野-西船橋の東西線経由以外でも、JRの「運賃の計算方法」の中では、いくつか例外となる問題が示されている。一番問題が多いのは、

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三鷹駅券売機上の注意表示すべての駅にこうした表示があるわけではなく、JRのサービスに一貫性のない証拠

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たかお2015/06/02 02:01
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事実関係に誤りがありましたので、訂正してお詫びいたします。カッコ内が、訂正箇所です(4月12日)。
そこで乗車記録についてだが、念のためお知らせしておくと、駅の券売機などにカードを入れると過去最大20件まで利用履歴の(表示ができる。印刷はPASMOは20件、Suicaは50件まで可能)。
本文:全約7,800字のうち約1,800字が
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