「レストラン日水土」の河名秀郎代表(右)と、浅川勇人シェフ。
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「なぜ人間が口にする野菜は、自然の草木のように枯れないで、腐ってしまうのか?」と疑問を持った河名秀郎代表は、その腐らせる原因が、人間が施す肥料や農薬だとつきとめた。ナチュラル&ハーモニック銀座にあるレストラン「日・水・土」(ひみずつち)では、「枯れていく野菜や米を食べてもらいたい」と、農薬だけでなく肥料さえ使わない「自然栽培」にこだわった旬の料理を提供中だ。独自に商品開発した味噌、酢、醤油などを使うほか、ほとんど市場に出回らない蔵つき天然麹菌日本酒、天然酵母ワインも堪能できる(食材仕入先リスト付)。
【Digest】
◇昭和初期の店で味わう自然栽培の野菜
◇食べられるもの食べられないもの
◇自然栽培、有機栽培、一般栽培の腐敗実験
◇衣食住のトータルな学び
◇昭和初期の店で味わう自然栽培の野菜
今時、東京の銀座にこんな古い建物があるのかと思うような店だ。戦災を奇跡的に逃れた、昭和4年の建築物。銀座の人通りのやや少ない場所とはいえ、木造三階建ての建物が残っていたとは驚きである。その建物を、自然素材にこだわって改装し、店舗とレストランをオープンさせたのが、ナチュラル&ハーモニック銀座店。
お隣の炭やの75歳になるおじさんの話によれば、今はひっそりとたたずむこの裏銀座あたりも、当時は粋な人たちの集まりでたいそう賑やかだったそうだ。
レストラン「日・水・土(ひみずつち)」の料理の特徴は、何と言っても無肥料無農薬の自然栽培の米や野菜などを使っていることだ。
運営している
ナチュラル・ハーモニーは、自然栽培の農産物を生産している農家に栽培方法を指導し、流通、小売を行っている。レストランで使用している食材は、1Fの自然食品店「結市場」でも販売している。
どんなに安全性にこだわった食材を使っていても、建材から化学物質が揮発して食材を汚染したのでは意味がない。リフォームは、なるべく無垢材を使い、出来るだけ化学物質の少ない自然建材を使っている。
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レストラン日水土
◆住所:東京都中央区銀座1-21-13 ナチュラル&ハーモニック銀座2F
◆TEL:03-3562-7720 FAX:03-3562-6620
◆E-mail:ginza@naturalharmony.co.jp
◆営業時間:
ランチ 11:30~14:30(LO14:00)
ディナー 18:00~23:00(LO22:00)
◆定休日:日曜
◆アクセス:銀座駅A13番出口(銀座松屋正面)より徒歩5分
東銀座駅3番出口(歌舞伎座正面)より徒歩5分
◆料金:
ランチセット
季節野菜の lunch set 1,500 円
季節野菜と天然魚介、またはフランス産ブレス鶏の lunch set 2,000 円
*+ 600円で食後のデザート・drinkセットつき
シェフおすすめ本日のlunch コース 3,500円
*ごはん・お味噌汁のお代わり自由
ディナー
季節野菜の日・水・土 dinner 2,500円
+ 600円で食後のデザート・drinkセットつき
シェフおすすめ 本日のdinner コース 6,000円
+1,000円でお魚とお肉、両方も食べれる。
そのほかアラカルト料理あり
■自然栽培野菜とこだわりの食材
ナチュラル雑貨・ケーキ工房「結市場」
◆営業時間:11:00~21:00
◆TEL:03-3562-7719
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ナチュラルハーモニーの河名秀郎代表は、著書
『日・水・土』(自費出版)の中で次のように述べている。
どうしてあなたはこの仕事を選んだのですか? よく聞かれる質問です。実は私には四つ上の姉がいました。大好きだったその姉が二十歳の時、それも誕生日の日にその生涯を閉じました。十六歳の私にはあまりにも衝撃的でした。骨肉腫という骨の癌でした。発病して五年もの間、病院、自宅、そしてまた病院と入退院を繰り返し、身体は手術の痕で傷だらけ。そして何より彼女の痛みを耐える生々しい姿は、私の人生観を大きく変えるきっかけとしては十分すぎるものでした。
また、河名代表は「植物は本来枯れるものなのに、どうして人間が口にする植物(やさい)は枯れないで腐ってしまうの? その疑問を解決してくれたのが「自然栽培」です。腐らせる原因は人間が施していた肥料や農薬のせいだったのです。
枯れていく野菜や米を食べていただきたい。
そんな思いで、当店の野菜や穀類は、私たちが20年来培ってきた生産者ネットワークをベースに肥料の力に頼らずに育った無肥料、無農薬の自然栽培のものを中心に旬の要素を十分に生かしきった料理を提供しています」と言っている。
◇食べられるもの食べられないもの
私は医者である。今から20年ほど前のことだが、73歳の男性で胃ガンの末期の患者さんがいた。農薬や化学肥料を使った化学農法の米では食べてもすぐに吐いてしまうが、無農薬、無肥料の自然栽培の米であれば食べてもまったく吐かなかった。
しかしたとえ無農薬でも、有機肥料を使った米では吐いてしまった。
その当時は、自然栽培の農産物はほとんど販売されていなかったので、直接農家に行って米や野菜を分けていただき、患者さんに食べてもらった。
このとき初めて無肥料の自然栽培の農産物は、医学や栄養学では解明できない不思議な生命力を持っているものだと強く実感した。
その後、ガンなどの末期の患者さんでは同じような症例があったが、末期でない患者さんや健康な人ではこのようなことはなかった。
ところが、数年前から化学物質過敏症の重症の患者さんに同じような症状が現われはじめた。症状としては食べた物を吐くようなことはほとんどなかったが、化学農法や有機栽培の農産物を食べると頭痛、めまい、湿疹、吐き気など様々な化学物質過敏症の症状が現われたのである。
化学物質過敏症の人たちは、食べる前にあらかじめ肥料を使っているとかいないとか、農薬を使っているとかいないとか、わかって食べているのではない。
以前「有機認証のあるホウレン草を食べたが、農薬を使った野菜を食べたときと同じような反応が出た」と言われた。そこで有機認証制度を調べてみると、一部の化学合成農薬や化学肥料や食品添加物を認めているのだ。たとえ有機認証のある農産物でも、
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■時間が証明する食べもの
野菜や果物、米を瓶に入れてしばらくの期間放置すると、「発酵するまたは枯れる」ものと「腐敗する」ものとにわかれる。瓶のふたは撮影のため開けている。
写真上から
◆炊いた米を瓶に入れ、10日間放置した状態
有機栽培(左)と自然栽培(右)
有機栽培の米は腐敗して悪臭がするが、自然栽培のものは発酵してお酒の甘い香りがする。
◆スライスしたきゅうりを瓶に入れ、10日間放置した状態
自然栽培(左)と農薬使用の有機栽培(中)と一般栽培(右)
◆スライスしたにんじんを瓶に入れ、2週間放置した状態
自然栽培(左)と農薬不使用の有機栽培(中)と動物性肥料不使用の無農薬栽培(右)
有機栽培のものでも、使用した肥料成分の量と質によって溶けて腐っていくことがわかる。自然栽培のものは、漬け物のような香りがして発酵している。
◆カットした柿を瓶に入れ、10日間放置した状態
有機栽培(左)と自然栽培(右)
一般栽培の柿はカビが生えている。自然栽培のものは発酵して甘い香りを漂わせた後、柿酢になる。
◆自然栽培のりんご
1年後(左)と2年後(右)
自然栽培のりんごはアップルパイのような味わいになり、その後ドライフルーツになる。

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■「シェフおすすめ 本日のdinnerコース」6,000円
真ん中がお魚料理、
右上のコーヒーから、時計回りに、
たっぷり季節の温野菜とアンチョビバターソース
お米料理
味噌汁
先付け
冷製オードブルの盛り合わせ
スープ
温製オードブルの盛り合わせ
デザート
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