【こだわりグルメ】そば粉十割、丹沢天然水の「生粉打ち」 くりはら(そば/神奈川・秦野)
そば「くりはら」(神奈川・秦野)店主の栗原孝司さん。 |
◇そばの専門用語「生粉打ち」「二八そば」「外一そば」
そばの世界には
小麦粉などのつなぎを一切使わず、そば粉だけで作る打ち方を生粉打ちという。そば粉の配合の割合が十割なので「十割そば」ともいう。
そばの実やそば粉の管理が悪く品質が落ちると、そば粉のたんぱく質の粘り気のあるグルテンが劣化し短くなったり、切れやすくなったりして、細く長いそばの麺は作りにくくなる。
生粉打ちで作るには品質の高いそば粉を使うが、技術も必要なので生粉打ちのそばは少ないのが現状だ。
そして、コストや作りやすさから小麦粉や長芋などをつなぎとしてそば粉に混ぜて作っているそばが多い。二八そばとは、そば粉8割で小麦粉2割の割合で配合した粉を打って作ったそばのことだ。
また、外一そばとはそば粉10に対して、小麦粉を1加えた割合で配合した粉を打って作ったそば。小麦粉の割合は1割の10%ではなく、9.09%だ。そば粉9割で小麦粉1割にして、一九そばとでも言えばよいと思うが、そばの世界ではなぜこのような言い方をするのかは不明だ。
◇探し当てた生粉打ちで天然水のそば
こだわりグルメで紹介するレストランの条件として、5つの項目を挙げているが、「そば屋については、上記5条件のほかに生粉打ちで地下水や湧き水などの天然水を使用していること」としている。
この条件を満たすそば屋は信州や東北など地方にはあるだろうが、東京や神奈川には見当たらなかったので探していた。生粉打ちのそばがあるそば屋は最近増えてきたが、生粉打ちと二八そばなどのつなぎを入れたそばを出している店が多く、生粉打ちのみのそば屋は少ない。
くりはら ◆住所:神奈川県秦野市渋沢2098 ◆TEL・FAX:0463-881070 ◆営業時間: 火曜日~日曜日:昼11時30分~15時、夜17時30分~20時(夜は金土のみ) ◆定休日:月曜日、第3火曜日(祝日の場合は翌休) ◆アクセス:小田急小田原線渋沢駅より徒歩20分 全席禁煙 ◆メニュー&料金: 手挽き十割せいろ 900円 電動石臼挽きせいろ 840円 鴨せいろ 1,500円 かけそば 840円 てんぷらせいろ 1,600円 てんぷらそば 1,600円 そばがき 900円 にしんそば 1,400円 にしん旨煮 600円 すくい豆腐 350円 胡麻豆腐 400円 地酒いづみ橋 600円など |
東名高速道路の秦野中インターから車で約15分、小田急小田原線渋沢駅から歩くと約20分だ。昭和20年頃(1945年)に建てられた古い民家だが、まわりの緑豊かな丘陵と清らかな小川の自然にとけ込んでおり違和感はなく、趣のある建物だ。
店主の栗原孝司さんは「わたしのおじいさんとおばあさんが住んでいた家で親戚の人たちに手伝ってもらい、リフォームしました。化学物質をほとんど使っていない建材を使いたいと思い、壁には植物プランクトンの珪藻が化石化した
さらに栗原さんはそばを碾く石臼までも自分で作っていた。
「修行先のそば屋の店主が石臼を手作りしていたので、そば屋を開業する時は自分で石臼を作りたいと思っていました。石臼の本体は作ってもらい、臼のらせん状の溝を修行先の店主に指導してもらいながら、自分で作りました」と栗原さん。
食べた生粉打ちのそばはそばそのものの香りと味が引き立っていた。そばを食べた後に出されたそば湯にはとろみがあった。通常そば湯はさらさらしておりお湯にちょっとそばの風味があるくらいで、そば湯だけを飲んでも美味しいものではなく、そばつゆに入れて飲んでいた。
しかし、このそば湯はそば湯だけを飲んでも美味しいのだ。
そばを打っている栗原さんと手作りの石臼(写真下) |
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生粉打ち(十割)せいろとそば湯(写真下)
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■「こだわりグルメ」5つの条件(1)美味しいこと(2)化学調味料を一切使ってないこと(3)食材の内容の情報をできるだけ公開できること(4)適正価格であること(5)効果、効能を謳わないこと
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