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01/02 2014
 正月も普通に仕事しています。12月は過去最高の21本も更新して、苦しみつつ2千人規模に到達しました。会員収入で売上を立てるサイトは、以下グラフの通り、一気に増やすことは難しいのです(逆に一気に減るようなこともありません)。

 →MyNewsJapan、会員2千人に

 一般的な広告収入に依存するニュースサイトは、お客さんが広告主(スポンサー企業)だから、ちょっと景気が悪くなったりすると簡単に「広告宣伝費一律3割カットね」みたいにトップダウンで決まって、切り捨てられる運命にあるわけですが、ウチのお客さんは広告主ではなくて有料定期購読者100%なので、非常に安定しています。

 もともと会員が5百人もいればそこそこ続けられるビジネスモデルなわけですが(記事は減りますけど)、2006年に1千人を超えてから一度も1千人を割ったことはありません。読者のコミットメントは強く、会員の皆さんに感謝するばかりであります。

 そもそも、ニュースサイトのお客さんが読者じゃないって、おかしなことです。これは、ファッション誌なんかだとそんなにおかしくないのですが、ニュースの場合、読者と広告主の利害は、絶対に一致しないからです。

 広告主(トヨタ、ユニクロ、政府機関…)にとって都合の悪い情報は、読者にとっては、もっとも有用な情報です。トヨタに入社して命を落とすユニクロに入社して精神を病んで職場復帰できなくなる自衛隊に入隊して自殺する…そういった事実と背景を知っていれば、人生において貴重な武器になります。

 武器どころか、知らなかったがために人生を棒に振ることが起きますから、その情報の価値たるや、人の命にも等しい場合もある。人の命はお金で買えませんが、裁判的に言うと、7~8千万円が相場です(20代過労死の賠償金)。そう考えると、1800円なんて安いものだと思いませんか?

 プロフェッショナルというのは元々、神の前でProfess(告白)する、顧客のため、クライアントのために忠誠を誓います、と宣言する、というのが語源です。だから、顧客が2人も3人もいたらプロは成立しない。プロ=顧客志向です。読者と広告主のような利害が相反する顧客を同時に持つ行為は、プロとして失格なわけです。

■プロのジャーナリズム
 僕は、プロのジャーナリストが活躍できる場を創りたかった。日本にそういう場がないからです。僕が昔いた日経新聞は、広告主と読者という2つの顧客を持ってしまったアマチュア集団で、プロの仕事ができる場では全くなかったので、とてもプライドを保てなかった。もう、自分で創るしかなかったのです。

 有料メルマガも悪くないのですが、僕はもともと政治に興味があって総合政策学部を卒業して新聞社に行った経緯があり、コントロール動機というか、支配動機、影響欲が強い。だから、自分以外のジャーナリストも含めてプロの仕事を実践できる「場」を創り、プロ集団を育て、社会により大きな影響を与えたかった。だからネット新聞なのです。

 ジャーナリズムという機能は民主主義国に不可欠だ。プロのジャーナリストにとっての「場」を創りたい。ジャーナリズムを実践する場がないといけない。それを、地に足が着いた形で、持続可能なものとして運営しなければならない。そう思いながら10年、やってきました。

 2千人というのはまだ大した数字ではありませんが、有料メルマガの3倍の単価と考えると、有料メルマガで会員6千人というのは、まだホリエモンの半分に届かないくらいかもしれないけど、けっこうな規模です。

■ジャーナリズムとコマーシャリズムの両立
 ジャーナリズムにはカネがかかります。評論やキュレーションとはワケが違う。6千字の記事を書くには、膨大な準備と取材と後整理と執筆、裏取り、推敲の時間がかかります。

 だから、ビジネスモデルと購読者数は重要なのです。日本版オーマイニュースにしてもJANJANにしても、理念は悪くないのですが、続かなかった。商業的にビジネスモデルが優れていなかったからです。

 理念だけでは飯は食えない。ジャーナリズムとコマーシャリズムは、両立させてはじめて意味がある。言い換えれば、ロマンとソロバンの両立。優しさと強さの両立。

 もともと儲かりにくいビジネスであるジャーナリズムだけに、この両立問題は決定的に重要です。持続可能なジャーナリズム。その一定のメドは、つけられたと思っています。

■個人が生活できる「職業」に
 持続可能と言う場合には、個々のジャーナリストが、ちゃんと飯を食えないといけません。ボランティアでは続かない。人はパンのみにて生くる者に非ず、ですが、パンがなければ生きていけません。

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会員の年齢分布(2013年12月時点、以下同じ)
 そのためには、記事1本につき10万円が1つのメドで、15~20万円は必要だと思っています。現在の謝礼は、6~10万円前後で、これは継続的な貢献度と個別記事の成果(アクセス数、続報望むポイント、facebookおススメ数、tweet数…)に応じて自動的に決まる合理的なものですが、このベースを、まずは早期に1.5倍に引き上げたいと思っています。

 現在でも、うちに週1本書いて月30万円強を稼いでいるジャーナリストは実績ベースでいますし、フリーだから他で自由に書けるし、単行本を出して印税収入を得てもいいので、ちゃんと市場を見て精力的に活動し、自己ブランディングとキャリアを磨くことを怠らなければ、月50万円くらいの収入は確保できるわけです。

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会員の入会からの年数分布
 もちろん、ウチから払われる原資は、お金を払って支えてくれている会員によるものです。1.5倍に引き上げるためにも、会員増が必要です。まさに会員の存在こそが、すべてのカギを握るわけです。以下、統計処理した会員データをもとに、どのようなかたが会員になっているのか、感謝の気持ちを込めて、この機会にまとめてみました。会員ログインのうえ、ご覧ください。

■会員像 .....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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会員の都道府県別比率
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会員の就労形態別分布

 
20:04 01/02 2014 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(5393)


08/15 2013
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永遠のゼロ

 

 

 僕は常時寝不足なので、買った小説の8割がたは100ページ前後で眠くなり、二度と手に取ることなく捨ててしまう。そんななか、カフェをはしごして8時間ほどで最後まで一気読みしてしまったのが、カミカゼアタック(神風特別攻撃隊)の当事者を主人公として当時の国や家族模様を描いた本書である。小説では『手紙』(東野圭吾)以来の当たりだった。

 本作がデビュー作だった百田氏は、持ち込みに際し、大手出版社が軒並み却下し、最後に畑違い(サブカル系メイン)の太田出版が出してくれてダブルミリオン(200万部)突破、というだけでも読む価値がある。大手出版社の文芸編集者がいかに新人を無視し、作品の中身を見る眼が欠落しているか、がよくわかるエピソードだ。

 僕がいいと思う小説は、正面から「カ・ド・コンシアンス問題」(悩みに悩んでも正解が得られない問題)をメインテーマとして扱っているもの。サンデル教授の白熱教室のように、答えのない問題を読者に深く考えさせる。自然と人間、環境破壊と開発をテーマとする『ナウシカ』『もののけ姫』も同じ理由でよいフィクションである。

 こういう小説は、スカッとしたとか、痛快だったとか、面白かったとか、そういうその場限りの読後感にはならない。心の奥底の(個人的・集合的)無意識に深く残り、人生観に影響を与え、人間を成長・変化させる。


 本書のテーマは特攻隊員の心の葛藤であり、著者自身が「涙を流しながら書いていた」と述べているが、それがどこなのかは、筆致の走りっぷりや感情移入っぷりから、太字になってたりはしないのに、分かってしまう。特攻隊の生き残りに語らせている部分である。そのくらい、著者がこの作品・このテーマに魂を込めていることは伝わってくる。

 そこが現代の日本人の心に響き、考えさせ、かつ重要なことなのに何も国が知る機会を与えてこなかったから、需要と供給が一致し、ミリオンセラーなのだろう。何しろカミカゼは、つい60年前、我々のたった2世代前に実際に起きた事実であり、8千人~1万4千人とも数えられる自爆テロ作戦(民間人相手かどうかはどうでもよろしい、同じ人間だ)を仕掛けたのは、世界中で日本人だけという重い現実がある。

 911テロなどで自爆攻撃死した実行犯などせいぜい10人といったレベルであり、神国日本に比べたら本当にかわいいもの。その点でこの世界記録が破られることはないだろう。「永遠のテロ」である。


 日本は現在、戦時体制が続いている。『1940年体制』(野口悠紀雄)に詳しいが、税の天引きはじめ現在の社会制度の多くは戦中に考案された。『永遠のゼロ』を読むと、精神構造としても、戦前戦中の軍隊思想が日本中に引き継がれていることが感じとれる。ブラック国家も、ブラック企業も、組織のために人間を使い捨てる点で、根は同じだ。

 人命軽視の思想や、赤紙1枚でいくらでも補充がきく兵隊は、ユニクロやワタミで使い捨てられる社員そのもの。たとえば以下は、特攻隊への志願を尋ねる場面だが、「飛行学生」を「ワタミ社員」に置き換えても何ら違和感はない。

 飛行学生たちは全員「志願する」を選びました。しかし後に、当初、何人かは「志願しない」としたらしいと聞きました。志願しないと書いた人たちは、上官に個別に呼ばれ、説得を受けたようです。当時の日本の軍隊における上官の説得というのは、これはもうほとんど命令と同じです。これに逆らうことは不可能でしょう。私たちを意気地なしと思いますか。しかしこれは今日の自由な空気に育った人には理解できないでしょう。

 記事でも書いたように、ワタミの社員は「ボランティア」の名目で全員がNPO会費を「自発的」に3項目も、給与から天引きされている。入社時に申込みを拒否すると、本社のエラい人から説得を受けるのだという。戦中の軍隊と全く同じである。

 「志願する者は一歩前へ出ろ!」副長の横にいた士官が大声で言った。しかし誰も動かなかった。はい、そうですかと動けるものではない。「今ここで、死ぬ者は名乗りを上げよ」と言われて、はい、そうですかと動けるものではない。いかに死を覚悟していようと、そのこととは別だ。「行くのか、行かないのか!」1人の士官が声を張り上げた。その瞬間、何人かが一歩前に進んだ。つられるように全員が一歩前に進んだ。わしも気が付けば皆に合わせていた。戦後になって、この時の状況が書かれた本を読んだ。士官の言葉に搭乗員たちが我先に「行かせてください」と進み出たことになっていたが、大嘘だ!そう、あれは命令ではない命令だった。考えて判断する暇など与えてくれなかった。

 僕のなかで、この士官は、勝手に柳井社長を想像して読んでいた。一見すると「自発的」にみえる志願を、実のところ脅迫しているあたりが、「半年で店長になりたくないのか!」「世界で生き残れないぞ!」「泳げない者は溺れればいい」と言っている姿にダブるのだ。

 「戦争に行った人の話を聞いてると、本当に兵士たちは使い捨てられたって気がする」ぼくは頷いた。「赤紙1枚でいくらでも補充がつくと思っていたのね。昔の兵隊さんは、上官に、お前たちより馬の方が大事なんだって言われたって。お前たちなんか一銭5厘でいくらでも代わりがあるって」「一銭5厘って?」「赤紙、つまりハガキ1枚の値段よ。つまり、陸軍の兵士も海軍の兵士も、そしてパイロットも、軍の上層部にとっては、わずか一銭5厘のハガキ代でいくらでも集められるものだったのよ」「それでもみんな国のために勇敢に戦ったんだね」

 ユニクロの社員は精神的に病んで辞めるケースが多いが、辞めたらまた採用すればいいだけ。「それでもみんなユニクロのために勇敢に戦ったんだね」という感じである。


 桜花(人間ミサイル)、回天(人間魚雷)、ゼロ戦や訓練機によるカミカゼアタック…。近代国家で、自国民をミサイル代わりとした武器を次々と考案し、数千人規模で実行したのは日本国だけだ。日本人は「十死零生」の自爆攻撃を、人類史上ダントツの規模で組織的に行った、世界一自国民の命を軽く扱う、危険な民族だったということを、われわれは事実として知っておく必要がある。その同じ血は今も流れ、日本ならではの「Karoshi」やブラック企業を生み出していると考えられるからだ。

 これだけのことをしておきながら国は反省せず、この特攻の状況を詳しく国民に教えてはいない。僕も学校の授業で議論したこともなければ、事実関係を詳しく学んだ覚えもない。本書は、義務教育課程(中学1年くらい)で教材として使用すべきである。様々な参考文献から史実を部分的に引っ張ってきて、つぎはぎしつつ架空の人物にからめているので、全員が読んで議論するのに、かっこうのテーマである。

 たとえば本書の文章を、「史実と言える部分」「事実関係で議論が分かれているor証拠不十分な部分」「フィクションの部分」に色分けさせることで、歴史リテラシーの向上も図れる。日本史の現代史、特に戦前から戦中にかけては、現在の日本のかたちの基礎となっているわけで、実際に人材を使い捨てる「ブラック企業」経営者の発想は、全く同じ根からきている。時間を割いて深く理解すべきなのである。


 プロット自体はシンプルで無駄に複雑にしておらず、疲れない。登場人物も無駄に多くない。各生き残り人物に1人称で語らせる構成もいいと思った。あえて改善点を述べると以下2点。①若干、前半が冗長なので、もっと短くしても同じ内容は伝えられる(608ページはやはり分厚すぎる)②フィクションとはいえ、あまりに登場人物を美化しすぎ。著者は「人間の綺麗なところを描きたい」と述べているが、綺麗すぎて現実感が減耗しており、結末に意外性もなく、予定調和であった。

 ノンフィクションでは伝えきれない本質を効果的に伝える手法として、小説はジャーナリズムの一形態とも考えられる。50歳までにこうした小説を書けるようになりたい、と思った次第である。

 
17:02 01/02 2014 | 固定リンク | コメント(5) | アクセス数(11485)


07/16 2013
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左上のエリアにいる党の政策だと財政破綻一直線確定。
 小室淑恵氏がスズカンのネット番組で対談しただけで参院選中のNHK出演禁止処分となったように、日本は民主国家のはずが、誰かを支持していると疑われるだけで仕事を剥奪されるため、こずるい評論家らは中立を装って誰への支持も表明せず、結果、ネット選挙が解禁されたのにネット上の議論が盛り上がらない。

 言論人なのに政治意思を表明できない人は、何も考えてないか、中立を装って世論誘導を図る卑怯者だ。日米の新聞の違いもそこにあり、日本の新聞はありもしない公正中立原則を掲げ、誰も応援していないふりをするため、何を言ってるのか意味不明な無価値の論説が並ぶ。一方、米国の新聞は社説等で支持政党を明確にする。

 私は前回(2007年参院選)は「東京選挙区は川田龍平へ 比例は民主党」と表明したが、今回も川田氏が入党したみんなの党を応援したい。

■既存政党は終わっている
 いつもの枠組み(右上図)で説明すると、旧来の政党は、全て財政破綻ゾーン(左半分ぜんぶ)へまっしぐらである。

 安倍政権はTPP参加など経済活性化の必要性は理解しているが、「第3の矢」は何と薬のネット販売といったほとんどマクロ経済には影響ない微小なものにとどまり、不発。農業・医療・電力など巨大マーケットは既得権に敗北し斬り込めなかった。一方で、国土強靭化の美名のもと、支出を減らすつもりは毛頭なく、キックバックを得た(=収賄)。今後も、左上のゾーンへと引っ張られていくはずだ。

 縦軸は、再分配の度合を示す。上が大きな政府、下が小さな政府。安倍政権を真ん中(約40兆円の税収で約90兆円の歳出)とすると、社民・共産の「正社員既得権はそのままで、非正規は全員正社員に」は単純な総人件費アップなので、その分、企業利益が減り、法人税収が減り、企業が海外移転するので失業率も上がり、所得税は減り…と負のスパイラルが止まらない。

 さらに該当者全員を生活保護で甘やかしたいらしいので(そんな余裕はどこにもないのに…)、社会保障費もガンガン上がり、3年後には税収が30兆ほどに落ち、歳出は120兆くらいに膨らみ、財政破綻→大増税&ハイパーインフレで国民の大半が貧困に陥る社会となる。

 政権をとったあとに「事業仕分け」で国民の目をごまかしつつバラマキで歳出を増やし続けた民主党も、旧田中派を中心とする自民党族議員系(農水族、土建族、厚生族…)も、伝統的にバラマキ大好きな公明党も、基本的に同じ結末に国を導く。その蓄積が現在の「国の借金1000兆円」なのだ。

■改革政党は維新西軍とみんなの党
 維新の西軍(橋下代表)は歳出カットや規制改革をよく分かっていて期待できるが、現状、東軍(石原代表)の幹部(=片山虎之助、平沼赳夫…)がグローバル化や規制改革を全く理解できておらず、むしろ反対であり、橋下氏は国会議員でないため機関決定できる立場にもない。

 よって維新全体としては左下のゾーンに収まり、歳出は自己責任論から生活保護費カット、社会保障費カットなどで80兆くらいに減らせても、歳入のほうも経済縮小で30兆くらいに減るため、やはり借金が増え続ける縮小スパイラルコースで、近々の財政破たんという結末は同じである。

 期待できるのは、維新西軍とみんなの党で、どちらも農業既得権に斬り込むTPPに賛成しており、「安倍政権の第3の矢では規制改革が全く足りない」「行革も社会保障改革も、ぜんぜん足りない」という、至極真っ当な政策を主張している。10年以上先の日本を心配する若手・中堅ビジネスマンのほとんどは、維新西軍かみんなの、いずれかを支持するのが、当り前すぎる結論だ。

 内政では一致する両党だが、維新西軍は外交問題(従軍慰安婦)で暴走し、みんなの党が選挙協力を解消した。現在の国民の期待は外交ではなく経済にあるだけに非常に残念である。

 みんなの党は「電力、農業、医療という3つの規制改革」という極めてわかりやすく正しい政策を繰り返し発信している。こうした改革で経済規模を拡大し、GDPと税収を増やし、一方で行政をスリムな体質にして、財政再建しつつ、余裕が出てきたら道州制へ、そして総額として再配分が強化される方向へ、というのが私の考えなので(緑矢印)、今回は意見が完全に一致する「みんなの党」を支持したい。

■選挙区は難しい
 僕は東京選挙区なので、みんなの党だと、桐島ローランド氏が候補者である。演説や政見放送を見たが、これは失敗だと感じた。自己PRも志望動機も曖昧で、企業の採用面接なら一次落ちだろう。

 なぜ政治家にならねばならないのか、いくら聞いても理由が伝わってこない。川田龍平氏が医療行政を変えたいという動機は心底からよくわかったが、ローランド氏が政治家にならねばならない必然性は、彼の経歴から、どこにも見当たらない。

 みんなの党としては、これ以上、論客を増やしてしまうと収拾がつかなくなるので門外漢のイエスマンが欲しかった、という事情もあると思うが(党内上層部もそうまとまりがよくないらしい)、特別な実績があるわけでもない写真家を、親の7光による芸能人的な知名度から擁立するというのは、明らかに失敗だ。

 おそらく現職の人たちも、内心は「違うんじゃないのか…」と思いながら、組織人として応援に借り出されていて、ツラそうに見える。

■選挙区は山本太郎、比例区は川田龍平
 僕は経済成長の点からTPP賛成なので、その点では山本太郎候補を全く支持できないが、「反原発の人はなぜかセットで反TPP」という残念な傾向があることから、知識のない分野に周囲から吹き込まれただけだろう。

 一方、原発については、僕は早期撤退・発電自由化促進なので、自民の監視役としてもっとも適任な山本太郎氏を推したい。俳優を事実上廃業してまで活動する姿勢が、川田龍平氏とダブって、ホンモノに見えるからだ。あの活動は、演技ではできない。

 民主党政権がSPEEDIの情報を隠ぺいした件についても、山本太郎氏が現場にいたら、役人的な手続きを無視して、職を辞してでも住民に公開しただろう。吉田所長が本店の指令を無視して海水注入を続けたのも同様であるが、そうした国民を守るための行動力、決断力が、政治家にとっての重要な資質なのである。

 結論として、参院選投票先の1枚目は、やや消極的な支持ながら、山本太郎。2枚目は、積極的な支持で、川田龍平(みんなの党)ということになる。

■雇用・労働政策の答え
 僕は雇用・労働分野を取材しているため、以下の政策が必要だと思っている。これらを実現すると、ブラック企業問題や非正規の格差問題は解消される。みんなの党と維新の公約は、これらに近く、違和感はない。

①同一労働同一賃金法(雇用安定性、社会保障、時間給での、正規・非正規間差別禁止)により、フェアな労働市場にする。

②従業員100人超の会社に対し、労働環境に関する情報開示(3年離職率、残業時間実績、休日取得実績、有休消化率、全労災認定案件、休職者人数と理由、36協定、平均賃金)を義務付け、WEBで公開。

③解雇時の労働者の権利を保証する(整理解雇時の割増金を勤務年数によって決め、重い罰則をつけ中小企業にも均しく守らせる=2年以上勤務で年収1年分割増、5年以上で2年分割増など)。

 これらの政策は予算措置も不要でやる気さえあればできるが、真っ向から反対するのは、正社員既得権の死守を掲げる連合である。

 民主党政権の3年間でわかったことは、労働分野に関しては、最大の既得権団体である連合がバックについた政党には、何1つ本質的な改革は不可能である、ということだ。僕は、連合を支持母体とする政党には、もう二度と投票しないだろう。日本を救うのは非自民・非連合の政治力だ。みなさんも、これを肝に銘じて投票に臨んでいただきたい。

 
22:28 07/16 2013 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(3275)


07/01 2013
 ニュースサイト告知キャンペーンの一環として、バナーとアイコンを募集します。ウェブデザイン関係のお仕事をされているかた、ぜひご応募くださいませ。また、興味もちそうなかたがいらっしゃいましたら、ご友人等にお知らせください。

■以下2つを作成下さい

ユニクロ企画トップページのバナー(赤線で囲ったところ)

トップ画面企画欄のユニクロ企画のアイコン(グレー枠の正方形のやつ)

■採用分謝礼
 現金1万円 +無料会員ID 3年分(34020円相当)

■次点謝礼
 現金5千円 +無料会員ID 1年分(15876円相当)

■期間
 7月14日まで(応募が少なすぎたら延長します)

■応募先
 MyNewsJapan本部: headquarter@mynewsjapan.com まで画像添付してください。

 企画趣旨に、より適合したものを、私が独断で選定します。よろしくお願いいたします。

 
04:53 07/01 2013 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1975)


01/28 2013
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なんと中高大と10年間SFCに通ったという加藤さんに写真を拝借。
 25日のOB会にて、SFC創業メンバーのキーパーソンで総合政策学部の二代目学部長を務めた井関利明さんの、SFC創業に至る物語を、じっくり聞いた。

 僕は第一志望でSFCだったし、SFCが鳴り物入りで創設され、まだ卒業生も輩出していなかった時代の3期生だから、アツい思いで入学した世代。思い入れも強い。

 そのSFCがイマイチ結果を出せていないと私は感じており、その原因は何なのか、先進的であるはずのSFCがダメなら日本の大学は全て絶望的で国としてもヤバいだろう、というのが私の関心事であった。

 私の仮説は、リーダー教育の欠落と、教員側のぬるま湯体質を温存した結果、活躍する人材を生み出せていないのでは、というもので、それは、井関さんの話を聞いて、より強まった。もちろんSFCは大学改革の先導者であり、他大学は概して、レジャーランドに過ぎない。私の分析はすべて「当初の期待値に比べて」という意味である。

◇卒業生の活躍
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 まず、教育機関としての大学は、卒業生の活躍度合によってしか評価されえない。それ以外に、どれだけ理念がすばらしかろうが、国や社会から見たら、自己満足にすぎない。

 1~5期生の人たちは、もうみんな35歳以上で、キャリアという点では結果が出ていなければいけない年齢。客観的に、シビアに評価できる時期にきてしまっている。卒業生の活躍という点で見ると、左記のとおりだ。

■国会議員は、世襲以外の実力では1人も出ていない(小沢塾幹事で選挙活動ゼロで名簿当選した相原さんを例外として)。他大では41歳で大臣になっている者(細野氏)もいるのに、なりそうな者すらいないのだ。

 官僚でも40歳前後は課長補佐クラスで第一線でバリバリ働いてる年代だが、特段、他大学出身者と異なる動きをしている人の話は聞かないし、ドロップアウトして何か特異な取り組みを始めたという話も聞かない。

■ベンチャーで上場まで行ったのは4~5期生の3社だけ(クックバッド、ネットプライス、フリービット)。1期~3期ではゼロだ。これは他大学と比べ、多くも少なくもない。twitter,facebook,gree, Lineといろんなサービスが世間でブレイクするなか、SFC卒業生は、それらにほとんど絡んでいない。日本発の独自サービスが世界標準に名乗りをあげられていないのは、最先端の環境を有したSFC卒業生が創れていない以上、当然の結果ともいえる。

■NPOや社会起業家系では、9~10期生前後に何人か有名な人が集中しており、これは「問題を発見し、解決する」というSFCの理念をモロに体現しており、素晴らしい成果といえる。マザーハウス山口さん、フローレンス駒崎さんなどだ。

 昨今では、2010年度の卒業生の就職先で、一番多いのが楽天と野村総研とのこと(いずれも2ケタ)。ほとんどITの専門学校に大卒の資格を与えたような実態になっている模様である。

 ようは、総じて日本社会に大きなインパクトを与えるには至っておらず、良いスパイスを与えてはいるが、社会が抱える「問題を発見して解決する」勢力に、当初のもくろみに比して、なりえていない、というのが、事実認定としては正しかろう。

 こうしたなか、特に1期生~3期生の不振が目立つ。入試の倍率も今の2倍くらい高く、一般入試の応募者は両学部とも6千人~9千人もいた。優秀で志の高い人も多かったと思うし、教員側も創業メンバーばかりで、ダイレクトに理念を共有し伝授できる環境にあったわけだが、どうして結果が出ていないのか?

 私はもっと出てくると思っていたので、正直、不満である。

◇リーダー不要論と「目標はいらない」
 そもそも、SFCには「問題を発見して解決する」という理念は明確だったが、リーダーを育成するという理念は存在していなかった。実際、SFCのカリキュラムには、リーダーシップのリの字もなく、座学ですらその重要性を学ぶ機会はなかった。

 今となっては、問題を解決する上でリーダーは不可欠であり、そこに議論の余地はないと考えているのだが、どうしてなかったのか。井関さんの講演を聞いて、その理由が、やっとわかった。

 なんと、「リーダー不要論」をとくとくと話し出したのである。井関さんによると、リーダーとフォロワーという関係は古い概念であり、これからの社会で必要なのは、カタリスト(触媒)やコーディネーターだ、というのだ。

 SFCが目指したのがリーダーの育成ではなく、カタリストであったというのは、なるほど、と思う話だった。なぜなら、それでSFCの初期の卒業生に「ナンバー2&名参謀」が多いことを説明できるからだ。楽天創業時のナンバー2~4やサイバーエージェントの創業時ナンバー2はSFC卒業生である。ゴスペラーズの北山さん(3期生)もリーダーではない。

 さらに井関さんは、「目標はいらない」とも断言した。「目標があると、それ以上はやらなくなり、予測不可能な成長を阻害するため」だという。そして、ノーベル賞を受賞した山中教授を例に、環境の相互作用で成功に導かれていくものなのだ、目標があったわけではないのだ、といった話をしていた。

 これで、SFC初期の卒業生が現実世界でリーダーとして活躍していない理由を理解できた。そのような視点で学生を採用もしていなかったし、そのような教育もしていなかった、というわけだ。

◇問題を解決するのはリーダーである
 「リーダー不要論&目標はいらない」は、現代思想論のような学問の世界でなら、概念的には理解できる。だが、それは実学を重視し、問題を発見して解決するというSFCの理念を体現するうえで、明らかにバッティングするどころか、有害であることは明らかだろう。問題を解決するのは、間違いなく高い目標を掲げたリーダーなのだから。

 新しい大学を作るなら、どの分野にどういう人材を、何年後に何人輩出したいのか、という具体的な目標があるべきだと思う。たとえば、20年後に国会議員10人、地方議員30人、ベンチャー上場社長20人、ベストセラー作家10人、30年後までにノーベル賞受賞者輩出、などである。

 目標があって、目標にコミットしてはじめて、どんな学生を採用するかの方針が決まり、教育内容のカリキュラムが決まるわけで、これは民間の組織運営としては当然のことである。カルロス・ゴーンのいう、コミットメント経営だ。民間で働いたことがない学者には、そのあたりが理解できないのだと思う。

 卒業生に結果が出ていないことについては、「そんな厳しいことを言わせないでよ」とのお答えで、井関さんも僕も、認識は同じだった。ただ、その原因について、私はリーダー教育や目標設定の欠落が問題だと思うのに対して、井関さんはそうは考えていない、というのが違いである。

◇教授側に競争がない
 井関さんには、もう1つ質問をした。成果が出ていない理由をリーダー教育以外に挙げると、SFCが教員サイドの既得権を改革せず温存しすぎたことが問題だと思っている、という件である。

 去年、准教授や教授を匿名を条件にインタビュー取材したが、海外でテニュアといわれる終身教授の権利が、SFCだと30代で専任講師や准教授になった段階で持ててしまい、65歳まで特段、顕著な教育・研究成果がなくても、雇用が安泰なのだ。これはひどい。「ぬるま湯」である。

 去年、竹中教授が講演で言っていたのは、日本の大学の問題は、教員の間で競争がなさすぎること、だという。教員が競争してないのに、そこで学んだ学生が社会に出て厳しい競争で勝てるわけないのである。

 これは私もベンチャーやってるし、物書きをやってるから実感しているところであるが、民間は成果がなければ消える厳しさがある。だがSFCは、教員の雇用制度に、何も手をつけなかった。

 なかでも、少なくとも授業評価の結果を教員の査定に結びつければよかったのに、それさえもやらなかった。高橋潤次郎さんが慶應病院の病床から説得して、やっと形式的な授業評価が導入されただけ。これは教員の査定とは未だに無関係なので、形骸化している、というのが学生と教員の共通認識である。

 いったい、誰が抵抗勢力だったのか?井関さんの答えは、「当時、どこも授業評価を導入している大学はなかったという環境下で、導入することだけでも、大変なことだった。だって、評価シートに、本当に心ないことを書いてくる学生がいるんですよ…」。

 まあそんなところだろうが、日本の大学がグローバルで評価される存在になりえないのは、このように教員の既得権を優先して、ダメな授業や教員が淘汰されず、授業の質が上がらないことに原因があると思う。

 学生と先生の関係を、福沢諭吉の理念である「半教半学」だと言うなら、相互評価は必須であるはずだった。学生の評価能力を過少評価し、怯え、既得権を守った結果、大学の教員サイドの「ぬるま湯」はSFCにおいてさえ、改革されなかった。

◇学際的な知識の融合だけでは問題は解決しない
 リーダー教育を掲げ、そういった素質を持った人材を高校から集め、カリキュラムにリーダーシップ教育を導入し、教員側とも相互に評価しあっていくような大学であれば、「問題を発見し解決する」という理念を体現したリーダーを、SFCは、もっと生み出せたはずである。

 理念や知識だけはすばらしかった民主党政権が何もできなかった事実をみれば明らかなように、実行力がないと、リーダーシップがないと、現実社会の問題を発見して解決するには至らない。

 学際的な知識の融合だけでは、社会の問題を発見し解決するリーダーを輩出できないのだ、ということを、SFCの20年は教えてくれたのである。

 
19:58 01/28 2013 | 固定リンク | コメント(6) | アクセス数(21870)


11/13 2012
 プロと考える仕事の未来という対談の連載が始まった。これは『10年後に食える仕事とは何か』をさらに徹底的に突き詰めて考えていくという目的があり、ミッションは明確。また、私がやるということは、すなわち「ぶっちゃけ本音対談シリーズ」にしかならないわけで、編集長インタビューにありがちな、うだうだしゃべくったものを文字にしてみました、というなぁなぁの対談モノとは全く違ったものにするので、ご期待いただきたい。

 1回目は、藤原和博さん。65冊も本を書いているので全てではないが、主要な本の大半を読んだうえで臨んだ。それでも、今回出てきた話は本に書いていないことばかりで、情報編集アップデート力の高さを実感した。

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藤原和博(ふじはら・かずひろ) 杉並区立和田中学校・前校長  東京学芸大学客員教授 1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。
2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。
08~11年、橋下大阪府知事ならびに府教委の教育政策特別顧問。

 

 

 今後、グローバル化が進んでいくと、グローバルエリート:コミュニティ貢献者が1:99になる――という藤原さんの見通しは、方向として、その通りだと思う。去年、「We are 99%」デモが日本以外の先進各国では盛んだったが、日本にも当然、やってくる。藤原さんの言うグローバルエリートとは、すなわち無国籍ジャングルで戦う人たちだ。

 僕は『35歳までに読むキャリアの教科書』では、それでも親世代の生活水準を維持するために個人としてどうすべきか、という往生際の悪い話を展開したのだが、国民の大半にとって重要なのは、むしろどうやって普通の99%の人たちが仕事を得て食べていくのか、という話であろう。

 いま、急速にグローバル化を進めるユニクロは、「1:99の世界」の象徴といえる。トップの柳井社長はもちろんグローバルエリートであるが、106億ドル(8400億円)の資産家で、被災地にポンと10億円寄付できる余裕がある。その一方、ナンバー2以下の雇われ役員たちはその1千分の1の資産もなく、明日クビにされるかもわからない。

 末端の店長や社員たちは年収400~500万円で入社2年後には半分が激務から辞めざるをえないほど働きづくめ。その下の年収200~300万円のパート社員も含め、人間の使い捨て状態にある。そしてトップだけがますます潤っていく。1:99どころか、1:9999の世界が、ユニクロの現実である。似たようなことが楽天でもグリーでも進んでいる。10年後は、そういう労働社会が加速する。

 問題は、「死ぬほど働かされて500万円」くらいの人たちが精神を病んでドロップアウトしても、日本国内には「次の仕事」がなくなっていくことだ。現在7割を占める左下の「重力の世界」の仕事群は、中国・インド・ミャンマーといった国外に出て行かざるを得ないからだ。今後、失業率は徐々に上がっていく。

 ではどうするか、ということだが、藤原さんはコミュニティー(地域社会)で吸収する仕組みを作るしかない、という。それは何かというと、たとえば藤原さんが実践してきた学校を中心とする地域本部(学校支援本部)での仕事。ドテラ(土曜寺子屋)は、地域の大学生や社会人がナナメの関係で中学生を教えるかわりに、1回数千円のフィーを得る。また、その事務局業務を行う。年収300万円くらいの準教員、準公務員を増やしていくのだ。

 民間でも、ネットインフラを活用して、ある専門領域(たとえばネット上の花屋)で200万くらい稼ぎつつ、あとは有償ボランティアで被災地コミュニティーに貢献する、といったコントリビューターを増やす。そのために、有償ボランティアを根付かせる。これら地域貢献に寄する仕事は年収200万円くらいで、ワークシェアのようなものだ。

 今後、住居費が、ある段階でガクっと下がり、200万×夫婦でも生活が成り立つ社会の前提条件が揃ってくる。あとは、それでも必要となるであろう、国が出す原資だ。

 僕は柳井社長などの資産家に資産課税をかけるべきだと考えているが、藤原さんも、1500兆円の個人金融資産の1%でもとること、さらに宗教法人の活動と課税を変えること、など様々なアイデアを持っている。それらは、連載の次回以降で、議論される。

 これから顕在化してくる現象は、1:99の社会になっていくスピードに比して、既存の制度の変革が追い付かないことから来る社会の様々な軋みであろう。既得権者(既存の公務員など)の抵抗は計り知れず、変革は進まない。

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競争と分配のポジショニングマップ(これは古いバージョンなのでマップの軸だけみてほしい)。残念なことに、右上を志向する政治団体が存在していない(現在では維新の会が近いと思われる)
 政治に必要なのは、懐古趣味で「3丁目の夕日よ、もう一度」と、東京スカイツリーを作るのではなく、ファンタジーから抜け出し、まずは現状を認識し、確度の高い未来予想図に合ったヴィジョンと制度を提供することだ。

 野田首相が「分厚い中間層の復活」を掲げてきたのは、無知な国民を相手にする選挙戦術としてはわかるのだが、実際にはそんなものは既になく、一部の勝ち組を除いて、全体が下がりつつある。

 そういう身も蓋もない現実を認識し、我々はどこを目指すのかを明確に国民に提示する時期にきている。藤原さんは、私と同様、左記図の右上を目指すべきだ、という考え(競争はさせる、資産家からはとる)である。

 
06:56 11/13 2012 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(5934)


10/11 2012
 忘備録代わりに最近読んで良かったと思う本を紹介しておこう。僕は、異常に忙しいなかでも食事中はだいたい本を読んでいるので、自動消化されていく。特に、自分と経歴や年代が近い人や、目標とすべき人が書いてる本は、だいたい買って読んでいる。

■『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(東野圭吾)
 「黙祷はビートルズで」の章では、ビートルズの曲(今回はLet it be)をモチーフにして、手紙のやりとりを通して、「同じ光景でも、人の心の状態如何で違って感じられる」といった答えのない問題(カ・ド・コンシャス=あれも正しい、こちらも正しい…)を描き、考えさせる。東野作品のなかの超名作『手紙 (文春文庫)』と、ウリ2つの手法だ。

 この“三題話”(①モチーフとなる何か、②訴えたいテーマ、③手紙を通した心情表現)は、空手の「型」みたいなもので、僕が理想とする小説の教科書として認定させて貰った。

 こういう得意な型をいくつ持っているか、が小説家の実力なんだと思う。ほかの作品も、きっとパターン化された型が頭の中に無数にあって、そのワザの組合せなんだと思うが、素人の僕には気づけない。型を知れば、複数のワザを組合せ、仕事をショートカットできる。東野氏が作品を量産できる秘訣はそこにあるに違いない。

■『「一生食べていける力」がつく 大前家の子育て』(大前研一)
 これは編集者の企画力の勝利。読みどころは、大前研一氏が書いた前半の「きれいごと」ではなく、後ろのほうの、長男・次男へのインタビューだ。

 寝ている長男を夜遅く帰ってきて叩き起こし殴り倒すというDV親父ぶりや、休日なのに家族旅行にも猛烈に細かいスケジュールをこなすことに巻き込むため疲れてしまい、「(大前研一抜きで)家族だけでもう一度旅行しようか」と言わしめる異常なエネルギー親父ぶり。

 ミスをするレストランのスタッフやCAを所かまわず大声で叱りだしたりするロジカルなカイゼン親父ぶり。友人に海外旅行に行くなどと言えばイジメられるから本音はあまり行きたくないし、子供にも用事があるのに、「俺は世界で一番忙しいんだから俺に合わせろ」と無理やり夏休みの家族全員の予定を決めてしまうリーダーシップ親父ぶり。

 そして、長男も次男も学校をドロップアウトして紆余曲折のキャリアへ…。当然、親父の本なので子供らも編集者もすごく気を使ってセーブしてるはずなのに、それでもこれだから、実際はスゴかったんだろうな、と。この兄弟と同世代の私としては、かなり楽しめた。「子供たちのことを本気で考えてくれていたのは確かだと思う」という最後のほうのコメントは本音だろうし、ホントだと思う。まあ羨ましいものである。

■一連の『武器』本×3冊(瀧本哲史)
僕は君たちに武器を配りたい
武器としての決断思考
武器としての交渉思考
 いずれも主張に一貫性、論理性があって、典型的なコンサル系著者の本だな、と思った。「武器」というインパクトのあるブランディングとマーケティング力も含め、読後に、なるほど感が異様に強く残る。外資系コンサルの上位層はこういうタイプであるべきだし、また、そうでないとやっていけない世界だと思う。

 『僕は君たちに武器を配りたい』では、投資家的な考え方と、そのために必要となる一般教養(リベラル・アーツ)の重要性を説いている。

 リベラル・アーツが人間を自由にするための学問であるならば、その逆に、本書で述べた「英語・IT・会計知識」の勉強というのは、あくまで「人に使われるための知識」であり、きつい言葉でいえば、「奴隷の学問」なのである。

 これは全くその通りだ。英語という手段を使って何を成し遂げたいのか(目的)、その目的は、投資家的にみて、リターンを見込める正しいリスクといえるのか。安定などありえない時代になったからこそ、本書の主張はますます正しいと思うのである。

■『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』(田中裕輔)
 ベールに包まれていたプロジェクトの内容や、入社試験からの一連の流れがリアルに分かる。これはマッキンゼー的にはまずい。「見えないもの」をいかにも高いかのように装って売っている会社だけに、隠しておくことによって、ミステリアスな幻想によって付加価値(すごい訓練を受けた天才ぞろいに違いない、みたいな)をつけて、高いフィーを吹っかけているところが多分にあるからだ。

 BCGでは快く協力してくれる人もいるのに、マッキンゼーの人たちには、もう4~5人取材を断られていて、その理由として「社外に給料の話をするとマズい、(仕事内容に比して?)高すぎることがクライアントにバレてしまう」という輩もいて、その後ろめたい気持ちはよくわかるとはいえ、もっと正々堂々と開示したらどうか、人に言えない汚いカネなのか?と思うわけである。

 実際、本書を読むと、業界内では噂でよく聞くとおりだった。コンサル業界では、同じクライアントから過去のMckの成果物を見せて貰うことがよくあるが、フィーがバカ高い割に全然たいしたことないよね、というのが定説で、さすがだ、バリュー出てる、とても真似できない、などという話は一度たりとも聞いたことがない。

 それだけに、その点において、著者の意図とは異なるであろうが、期せずして、この本はなかなかのバリューが出ている。クライアント企業担当者というより、コンサル志望者の若者は、特に読んだほうがいい。

■『ライフ・イズ・ベジタブル―オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』(高島宏平)
 モノ売りの商売って資金繰りが大変なんだな、と改めて思った。それでもやり遂げようとする動機は、いったいどこから湧いてくるのか?この種のタイプの起業家は、僕にとっては非常に不思議な存在である。

 特段、野菜をやらなければならない経歴はなく(たとえば僕は既存の新聞社を批判して辞めて自分が考えるジャーナリズムを貫いている)、とにかく独立したい、何かを成し遂げたい、という達成動機のようなものを持つタイプ。実際、そういう人が成功を収めるパターンが多い。

 楽天の三木谷氏も、サイバーの藤田晋氏、ライフネット岩瀬大輔氏も、事業を始める5年前から沸々とした芽があったわけではさらさらなく、「さて、事業内容は何でもいいが、何をやってやろうか、なんでもいいから自分のリーダーシップで何かを成し遂げて成功してやる、ビックになるのだ」という、“ビック動機”からスタートしている。この場合、「こだわり」がない分、柔軟に事業運営できるため成功しやすい。だから、やりたいことがない人は、こういう人を参考にすればよい。

 高島氏のオイシックスは、そこそこ成功を収めた今でも、五反田駅前の築40年のオンボロビルでやってるあたりが、好感を持てる。また、競合他社の社名を一文字として出さず、批判も賛意も示さないあたり、狭い業界内で気を遣って大変そうだな、と思った。

■『社長のテスト』(山崎将志)
 残念な人シリーズで大ヒットを飛ばした山崎氏の企業小説。内容はかなり面白くて読ませる。それぞれの立場で章立てし主語も変わる構成は、物語を重層的に見せる手法として、参考になる。だが、版元(日経)が新聞社の盲腸的存在である出版部門が独立した組織なので、プロの編集ではまったくないのが致命的だ。この内容で380ページは無駄に長い。3~4割カットできる。

 おそらく新聞記者出身で「一丁あがり」の編集者が担当しているのだと思う。本来、本の編集者と新聞記者は全く異なるスキルセットが必要なのであって、雇用対策で編集局に飛ばされたような元記者集団に良い本が作れるはずがない、と言っておこう。中身が十分イケてるし、もっと読まれるはずだっただけに、もったいない。他社から出す次回作に大いに期待したい。

■『坂の上の坂』(藤原和博)
 これまでは坂を上れば、50代以降、下るしかなかった。だが、「坂の上の雲」の時代に比べ、日本人の寿命は劇的に伸びた。だから、30代には3つ、40代には4つ、50代には5つの、プチ専門領域を持ち、次の坂を登ることで人生を充実させよ、ということ。このコンセプトは、成熟社会&人生80年時代に、重要度がどんどん増していくと思う。著者は、元橋下氏の顧問だが、5年後には民間から文部科学大臣として入閣し、辣腕を振るってほしい。

■『さびない生き方』(藤原和博)
 藤原さんと『10年後に食える仕事、食えない仕事』をテーマに対談することになったので、これまで読んでなかった本を片端から読んだのであるが、これは一番、藤原流のキャリア論が凝縮されていておススメである。

 ようは、20代のうちに5年間は腰を落ち着け、1万時間を費やし、勝負スキルを身につけよ。それは競争が激しくない特定のニッチ分野が望ましく、そのなかで一番といえるレベルにまで磨き、マーケットバリューを上げよ、ということ。

 20代、30代では、どんな練習を1万時間積むのか、これをはっきりさせたほうがいいでしょう。…わたしの場合で言えば、それは「営業」と「プレゼン」でした。…一流の人々の中ではもちろんですが、二流の一番を目指す場合でも、現在そうしたポジションでユニークな仕事をしているビジネスパーソンに、20代、30代でポンポン転職を繰り返した人は見当たりません。…20代の後半までに、「ここで勝負!」と見切りをつけて、5年間やってみること。

■『私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日』(安田佳生)
 一時はメディアでもてはやされた、ワイキューブの創業社長にして自己破産した安田氏。この人の魅力は、すがすがしいまでの正直さだろう。リスクをとって、自分の人生を生きるとは、こういうことなのではないか。

 創業の動機のくだりが面白い。「これこそが『できるビジネスマン』の象徴だと思った。シャンパンを飲むときにはイチゴをかじる。私もよく真似したものだ。…とにかく私はリチャード・ギアのようになりたくて、将来は社長になると決めたのだ。…のちに東京・市谷のワイキューブ本社の5階に、福利厚生のためにバーをつくったときには、そのバーで『プリティーウーマン』をみんなで観る会というのもした。私と小川さんにとっては起業の原点でもあり、思い入れのある映画だ。」

 仕事をする、会社を作る、その動機なんて、このくらい単純でいいんだと思う。若い人には、もっと気楽に「サラリーマン道」からそれてほしい。

 
03:29 10/12 2012 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(7804)


06/09 2012
 来週(6/16土)、資格の学校「TAC」で講演をすることになった。対象は大学1,2年生と、その保護者(親)である。日本では子が職に就かないからといって家から放り出すことが社会的に容認されていないため、子がニート化すると、親のスネをかじられ続け、破産しかねない。つまり、子の就職は親自身の問題でもある。

実社会で通用する「強み」の見つけ方 育て方 世界の中で考える日本の若者のキャリア

キャリア(仕事人生)の成功ルールが変わる!右肩上がりの経済成長が止まった日本。企業には『成果主義』が導入され、昇格・昇給が絞られる。さらにグローバル化・IT化の波は、雇用の場を襲う。今、親御さんの時代の就活とは、事情が全く違っています。お子さんを『就活』難民にしないために必要な事、それは親子で『キャリア』を考えることから始まります。ジャーナリストであり、キャリア・雇用・労働問題をテーマに執筆を行っている渡邉正裕氏が、日本の若者のこれからのキャリア形成について講演を行います。
 資格だけでは食えない時代となり、その結果として、その支援を生業とするTAC自身も生き残りをかけて構造改革(リストラ)に着手している。

 すべての資格がコモディティー化するなか、資格取得のための勉強は相対的に効率の悪い投資先になった。これは国の政策としては正しいが、個人にとってはしんどい時代になった。

 コモディティー化とは、近年の薄型テレビや半導体を思い浮かべていただければわかりやすい。ソニーもシャープも、みんな現場は懸命に努力はしているわけだが、韓国勢に圧倒的に負けて赤字続き、リストラを余儀なくされている。デジタル製品は差別化が難しく価格の叩き合いになる運命にある。

 資格の取得も同様で、すべての資格には色がついておらず、同じ資格を持つ者同士での叩き合いになる。みんな懸命に努力をして資格を目指してきたわけだが、報われない。ロースクールに通って弁護士になってもスクール代すら回収できない。借金だけ抱えたワーキングプア歯科医も多い。


 確かに、「学歴」と同様、シグナリングの機能は残る。採用活動において、山ほどいる候補者のなかから、限られた時間のなかで選別しなければならない際に、「わかりやすさ」は重要だ。

 「コミュニケーション能力がある」ことを伝えるのは難しいが、「英語を聞く能力がある」ことはTOEICの点数でそれなりに伝えることができる。また、「ある基準に向かって努力し、習得し、ラインをクリアする」という目標達成能力の証明にはなる。

 ただ、それ以上のものにはならない。自分は何をしたいのか、という「コア動機」という根幹がまずあって、その動機を満たす仕事を見つけて、その仕事に就くために必要な能力がたとえば3つあって、そのうちの1つが資格の取得であったりする。

 しかもその仕事は、コモディティー(たとえばコンビニのレジ打ち)であってはならず、他者ができる仕事とは差別化されていなければならない。そのためには、「コア能力」、すなわち才能にひもづいていない限り勝ち目はない。

 「薄型テレビ」みたいな<努力しても報われない>人材にならないために、学生時代から何をしなければならないのか?親には何ができるのか?

 申し込みはこちらから。

 
16:05 06/09 2012 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(6516)


05/11 2012
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『週刊朝日』1997年5月2日号より

 

 

 

 「新型うつ」や「入社3年以内で精神疾患で労災認定、過労自殺」などNHKが連日、若者の労働問題を特集している。僕は、なんでも社会(親や会社を含む)が悪いと考える派だ。自分自身を振り返っても、ずっとそう思ってきた。政治や政策を大学で学ぼうと思ったのも、社会が悪いから自分が変えたいと思ったのである。

 <やめようと思ったことはない。(上司を)やめさせてやろうと思ったことは何度もある>

 「会社をやめようと思ったことはあるか」という質問に対して、私は入社2年目に、こう答えている。そして、そのまま実名入りで『週刊朝日』に掲載された(左下)。朝日の市川裕一という記者が「匿名にしましょうか」と電話で弱気なことを言ってきたので、「実名で構わないですよ、何も後ろめたいことはないですから」と告げたためである。

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これは大学の講演で「SFC生はどう見られているのか」という事前リクエストがあったので作成した資料である
 実際、何が悪いのだ。新聞記者が寄って立つところの言論の自由とは、堂々と皆の前で実名で意見を表明できることにある。そういう社会がよい社会だと今でも思っている。この記事では社名すら出ていないので会社に不利益は一切ない。

 ところが、本社から連絡を受けた部長は、記事に出ていた私のHPの閉鎖を命じ、この問題の処理を誤った結果(私にウェブ利用の規定を作ると言っておきながら作らなかった)、2年後に再び発見して、裁判闘争になった。会社に僕の才能を活かそうという発想がないことが分かったので、活かすためにさっさと転職した。会社に残っていたら、ベストセラー作家どころか、本の一冊も出せなかっただろう。

 僕は自分のサイトを閉鎖するつもりは当時から毛頭なかったので更新を続け、今ではこのMyNewsJapanで自由に書きたいことを書き、日経の役員よりもずっと稼いでいる。もし会社の言いなりになって社畜になっていたら、今の私はない。信念を曲げてはならず、会社の言うことを聞いてはいけない、というよい見本である。

 ところが最近報道される新入社員は、精神的に参ってしまうらしい。NHKなどを見ていて思うのは、社会が、親が、会社が、正社員という型にはめこもうとし過ぎ、若者の側も、それをまに受けてしまっている、ということだ。

 会社の言うことが正しい、上司が正しい、正社員として働き続けるのが正しい、それに従えない人、付いて来れない人は間違っている…。そんなわけが、ないのである。ワタミも、ユニクロも、労基法を守れない違法企業であることは考えればすぐわかる。

 自分の頭で考える教育が日本の義務教育にはないので、優等生的な日本人は、答えは1つしかないと洗脳されている。だが、今でも僕は、会社(日経)は時代遅れで間違っていたと思っているし、上司の対応は間違っていたと思うし、それに盲目的に従おうとした親はバカそのものだと思っているし、正社員などというポジションに居座るのも間違っていると思っている。だからぜんぶ逆のことをやって、今の自分がある。

 ぜんぶ、社会が悪いのだ。でも、だからと言って何もしなくていい理由にはならない。思考停止してはいけない。自分のほうが正しいのだから、間違ったことをしてる奴らより成功して当然だ、と考える。お天道様は必ず見ている。悪い奴らには天罰が下る。そう思って反対の道で頑張ればいい。

 「自分が間違っている、会社についていけない自分が悪い」などと思うから鬱になるのである。まずは正しいのは自分だ、という信念を持とう。日本の教育も、親も、会社も、正社員の既得権を守る国も、間違いなくぜんぶ間違っているのだから、そんな間違ったものに自分を合わせようとしたら、まともな人間である限り、精神的におかしくなって当然なのだ。

 自分の頭で考えて、自分のほうが正しい、社会が間違っている、と思えばラクになる。そして、正しいことを実践する。社会のせいにして、他人のせいにして、怠けろ、と言っているのではない。

 若いうちは失敗してもやり直しが利くのだから、試行錯誤を続けるのだ。豊かな社会になって食うに困ることはない。若者はもっと、社会的洗脳から解き放たれて、「なんとなく正しいことだと思わされている嘘」とは反対の道を突き進んでほしい。

 
08:58 05/11 2012 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(8397)


05/09 2012
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『21世紀のキャリア論』(高橋俊介著)

 

 

 最近、熟読した一冊。この分野の第一人者である高橋俊介氏のキャリア論は異論がなく、もっとも参考になるのでコンプリートしている。ここ数年は軽い本が連発されていたが、今回は内容が濃かった。

 アカデミックな世界から出ず、鉛筆一本売ったことがない人のキャリア論は想像の世界に過ぎず、地に足が付いていないが、第一線で稼いできた高橋氏は説得力が違う(外資エグジット組の1人)。

 面白いのは、キャリパーの調査結果だ。中国、インド、日本、アメリカの動機調査結果が比較されている(左下図参照)。

 ややもすると、「主張力」は弱いが「感応力」が強い日本人が中国に行って、「主張力」は強いが「感応力」が弱い中国人に指示命令をしなければいけないという場面がビジネスでは出てくるわけで、これは非常に厳しい状況になってしまう。中国人には何度もいわないと伝わらない。相手のことを理解するより、自分が主張したいのだから。
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 これは実際に中国・インドを旅したり現地の人と働いたりした人には納得の結果だと思う。歴史的背景から、日本人とは「動機」が違う人たちなのだ。
 日本人が中国人より圧倒的に強い動機要因は、「感謝欲」と「徹底性」である。人に感謝されたいという「感謝欲」はおもてなしに、手を抜かないという「徹底性」はものづくりに向いた特性である。これを海外でどう伝え、どう再現するのか。日本人とは違う動機要因の環境でうまく再現するには、派遣されるリーダーに十分な支援が必要だろう。
 僕は『10年後に食える仕事食えない仕事』のなかで、インド・中国の特徴として以下5点を挙げた。
・日本など全く話にならないほどの「超・格差社会」の容認。

・人材の流動性が異常なほど高く半年~数年で転職するのが当り前の「短視眼的キャリア」。

・男女の差なく向上心もハングリー精神も旺盛な「超キャリアアップ志向」。

・チームワークが苦手でチームワークに意義を見出さない「超・個人主義」。

・顧客サービスの概念がほぼ存在しない「身分&階層社会」(中国の共産党支配や戸籍制度、インドのカースト制度)。

 そのうえで、
 したがって、インド人・中国人に共通する「弱み」の部分で、かつ日本人にとっての「強み」の部分にフォーカスをあてて伸ばせば、それがすなわち、「日本人メリット」になる。上記のなかでそれを見出すと、最後の2つ、すなわち、「チームワーク力」と、「顧客サービス力」である。

としたが、それを裏付けるような調査結果と言える。チームワーク力=ものづくり(徹底性)、顧客サービス力=おもてなし(感謝欲)、である。

 このように、中国インドとは違うわけだが、本書によると、実は、日本と欧米とは、歴史的な背景や原因は違えど「仕事観」が似ているのだという。

 文明の生態史観からいうと、日本と欧米はむしろ「仕事観」は似通っていて、その間にある新興国が異質世界である。キャリパーの四か国比較のグラフを見ても、実は日本とアメリカは近く、中国やインドとの違いのほうが目立つ。日本と欧米という見方をよくするが、新興国に出ていくときに重要なのは、日本や欧米のいわゆる旧大陸の両側の価値観でできあがった社会と、新興国の社会は違うという認識である。
 この仕事観についての論考はかなり面白かった。原因の違いは、ヨーロッパではカルバニズム(死後の世界で神に救われるには、神から与えられた仕事を一生懸命やって勤勉と貯蓄に励め)であり、日本では儒教(儒教のなかの朱子学が江戸時代に政治主導で導入され、「孝」=家庭より「忠」=会社という本来の儒教とは逆転した価値観が根付いた)だったことだ。

 ヨーロッパと日本はこの仕事観において近く、インド中国の新興国の人たちは日本から遠い。この仕事観の違いは、今後の労働市場グローバル化の流れを考える際に、インド中国インパクトから我々日本人がどうやって参入障壁を築くか、「彼らの弱みで、かつ日本人の強みは何なのか」を考える際に参考になるので、私の本と併せて是非お読みいただきたい。

 
06:59 05/09 2012 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(3286)



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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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