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アベノミクス下の就職・転職 「不況下のインフレ」を前提に選べ

情報提供
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『アベノミクス これを知らなきゃ大損する 就職・転職』(2013年2月27日付)
 安倍政権が少なくとも数年は続くとみられるなか、今後、就職・転職を考えるなら、どの業界、企業がいいのか、どのような視点で判断すべきなのか。安倍政権の経済政策はわかりやすいので、予測も簡単だ。この政権は、せいぜい数年間の話なので、その期間を短期(2~5年以内)、それ以降を中長期とわけて考えよう。なお、本稿では、動機(やりたいこと)や能力(できること)といったパーソナリティーに依存する要素および企業カルチャーとのフィッティングは完全無視しており、そちらに興味があるかたは別途、書籍のほうに目を通されたい。(※『日刊現代』2013/2/27のインタビュー詳細版)
Digest
  • 成長戦略は今回も無理
  • 短期では「アベノミクス銘柄」と同じ
  • 国内/財閥系よりも、外資/非財閥系
  • 中長期では「不況下のインフレ」を前提に選べ
  • 「輸出型メーカー」「アナログ」
  • 「日本人、日本語」職種
――アベノミクス関連の連載をしており、「今後、転職・就職するならどの業界、企業がいいのか」についてのインタビューを企画しております。そこで、5年後、10年後、伸びる業界や逆に落ちていく業界について、渡邉さまにご意見をいただきたく思っております。

成長戦略は今回も無理

まず、アベノミクスの三本の矢(①金融、②財政、③成長戦略)の行方であるが、金融(①)と財政(②)は特に障害がないため、すんなりと進む。一方で、成長戦略(③)は、自民党政権にはできないことが歴史からほぼ証明されきっており、今回も、何も成果を生まないとみてよい。

これは、成長戦略の柱が規制撤廃にあり、しかるに自民党の支持基盤は規制に守られた既得権層(農協、日本医師会、全国郵便局長会、エネルギー業界団体、商店街…)である、という本質的問題による。自民党は改革ができない政党なのである。

唯一、「変人」と言われ、国民の支持を得て既得権と戦い改革できそうに見えた小泉時代の郵政民営化でさえ、結局、もとに戻されてしまった。あのカリスマ人気の首相でさえ実現しなかったものが、普通の保守政治家である安倍政権で実現できる理由は1つもない。

金融と財政については、既に方向性が見えている。

金融は、短期では、日銀・黒田総裁が3か月ごとに経済財政諮問会議に呼び出されてプレッシャーをかけられるため、2%物価目標の達成にむけ、金融緩和を続けるのは確実。2%は難しいと見られているため、かなり継続的な緩和となり、円安要因になる。

財政については、歴代自民党政権がさんざんやってきたことの繰り返しであり、これは国民(未来の納税者=子供たち含む)から集めた(または借金した)税金を支持基盤にバラ撒くだけなので、どんなに無能な政治家でも簡単にできる超安易な政策といえる。

短期では「アベノミクス銘柄」と同じ

そこで、就職先、転職先として見ると、どうなのか。短期で働く場としては、基本は、株の投資先(いわゆるアベノミクス銘柄)と同じ考えでよい。

金融要因でいえば、企業の想定為替レート以上の円安基調が続くため、輸出比率が高い企業ほど、業績を上方修正する。

海外販売比率が高く、かつ国内生産比率も高い会社が、円安で儲かる。トヨタ(海外販売70%)、ホンダ(81%)、キヤノン(81%)、コマツ(80%)、信越化学(65%)、日本電産(62%)、村田製作所(86%)、任天堂(81%)などだ。なお、生産の現地化が進んでいるため、マブチモーターのように、海外販売89%でも国内生産ゼロ(全量海外生産)だと円安の恩恵はない。

現実のマーケットは「円安=株高」であり、取引高が増えれば儲かるのが証券会社である。また、2%インフレ目標を実現しようと日銀が金融緩和すると、人為的に資産バブルが起こるのは確実だ。所有する不動産の価格が高騰し、売買も活発化するデベロッパーは当然、儲かる。

製造業と証券業、不動産関連業が一時的に儲かる流れは、2003年~2007年の小泉政権時代の再現とみてよい。

財政要因で言えば、公共事業関連のゼネコン・土建屋の仕事が増えるため、短期的には人材を確保して受注しなければならないことから、地域によっては、給与相場も上がるだろう。

国内/財閥系よりも、外資/非財閥系

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ここで重要なのは、報酬支払いの形態である。製造業は、会社が儲かったところで、それが社員に回ってくるわけではない。若干ボーナスが増えるくらいで、それは一般社員なら、数十万円程度のものにとどまる。物価上昇分を相殺すればほとんどトントンだろう。

証券業界は、手数料の○%など、個人単位でコミッション制が導入されているのが普通で、特に外資の法人向け営業だと、一気に稼げる。ただしリスクをとるため、リーマンブラザーズ証券がそうであったように、会社が破綻したり、部署ごとリストラ対象になることも多い。その前に、稼ぎ切る瞬発力が重要だ。

不動産業界は、財閥系(三井、三菱、住友、東建)は好不況の波と関係なく安定した給与が支払われるため、製造業と同様、若干ボーナスが増える程度。

一方、コミッション比率の高い非財閥系のデベロッパーや不動産ファンド(ケネディクス、ダヴィンチ…)だと、リアルタイムの成果主義が当り前なので、組成されたファンドや投資案件ごとの成果報酬となるため、資産バブルの恩恵を受けやすい。仲介手数料がコミッション式になっている不動産仲介会社の社員も同様だ。

“片仮名系”のデベロッパー(スルガコーポレーション、ゼファー…)がリーマンショック後に続々と経営破たんしたように

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島崎丈太2013/03/10 13:36会員
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