JR西日本若手社員が過労自殺――10か月連続で残業月100時間超、最大254時間の末うつ病発症
JR西日本社長の真鍋精志氏(就任期間2012年5月1日以降)。写真は同社HPより |
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- 上司、同僚から将来を期待される逸材
- 「昼夜連続勤務」「休日出勤」で残業月254時間、うつ病で投身自殺
- 労災認定直後に1億9144万円求め提訴
- 裁判開始早々に全面降伏で白旗を上げたJR西日本
- 事件を予言するスローガン
- 事件後に対策を取ったか聞くと「発言控える」JR西日本
上司、同僚から将来を期待される逸材
訴状、答弁書によると、亡くなった橘拓也氏(仮名、死亡時28歳)は、都内の私大K大の工学部大学院を09年3月に卒業し、同年4月にJR西日本に総合職として採用された。
その後、福知山支社電気課で勤務し、翌年10年6月からは尼崎市内にある大阪電気工事事務所の設計課で働き、11年6月からは同工事事務所の保安システム工事事務所で保安業務などに従事してきた。
仕事内容は、鉄道、電気設備工事の設計、計画、施工管理業務だった。具体的には、大阪府泉佐野市内にあるJR阪和線とJR関西空港線の分岐する交通の要衝「日根野駅」の「連動装置取替工事」の管理を担当した。「連動装置」とは、次のシステムを指す。
駅には複数の線路が配線されており、列車の進行、停止を指示する「信号機」や、線路の方向を切り変える「ポイント(転轍機)」が設備されている。これらの信号機間、信号機とポイント間を連鎖させて、個々が勝手に操作されないようにして、安全で効率的に制御するシステムを「連動装置」という。(参考文献:「RRR」04年6月号(公益財団法人 鉄道総合技術研究所刊))
この連動装置の取替工事で、橘氏は、多数の施工図面のチェック、工事の竣工検査、体制表・手順書の作成、新旧装置切替に向けた資料作成、安全管理、品質管理、工程管理、運転関係の申請手続、各種試験などの業務に従事した。
橘氏の仕事ぶりは、上司、同僚から、誠実、真面目、責任感が強い、との評価を得ており、社内の人事考課でも高く評価されていた。
だが、その評判の高さの裏で、橘氏は常軌を逸した恒常的な時間外労働を強いられていた。
「昼夜連続勤務」「休日出勤」で残業月254時間、うつ病で投身自殺
橘氏が使用していたパソコンの起動、終了時刻、タイムカード、ICカードの記録、上司、同僚からの聴取などによると、橘氏は以下のような働き方をしていた。
日根野駅。Wikipediaより |
まず、朝9時から休憩を挟んで翌日朝6時45分に至る「不規則夜勤」
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大阪地方裁判所
過労自殺事件を予言するかのようなスローガンを掲げていた。(JR西日本CSRREPORT2012(企業考動報告書)より)
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読者コメント
西日本旅客鉄道株式会社本社でもうつ病にかかった。なぜ、こんなにうつ病は多いのか疑問に思う!命令行為がなしに、超勤をしている習慣が続いていたからか?
やはりブラック企業だったのか。
最近は終了時間の前に超勤予定を報告し、翌日必ず、実績報告をするように義務ずけられてきましたが、いつまで続くやら疑問に思っています
俺も9年前過密労働で本社でうつ病を経験したが妻の早期発見により無休で6か月の通院治療で奇跡的に回復した。過密労働をすると誰でもうつ病になることを、今でも衛生管理者の資格があるので、伝え続けています。
もしかして神戸大学からの採用社員?
天王寺保線区の社員では!!
JR西日本さんのことではないですが、経営者は労働者と株主にビジョンとロードマップを示します。概して”競争(価格)”、”ライバル企業”、”収支と目標”を力説しています。しかし、それが同時に”犠牲者を生むことは仕方がないという空気”が作られていたとしたらどうでしょうか?そう思えてしまう経営者が多いです。この記事の遺族の方にはしっかり補償がされて、会社には健康を考慮した労務管理をしてほしい。
ご冥福をお祈りします。しかしマイニュースジャパンでも報じた他企業のトヨタ、ユニクロ、メガバンク、証券、ワタミなどの過労死と比べると衝撃が少ない。渡邉正裕編集長の書籍(10年後に食える仕事、食えない仕事)を読んだ影響なのか国際競争にさらされてない鉄道事業社の従業員に対して同情がわかんのですよ。これなら転職先が見つからないルネサスの5000人のリストラ対象者の方が悲劇的にすら感じる。
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