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電通、新たなコネ入社「体育会枠」強化――理系&デジタルシフト打ち出すも離職者増え、振り切れず
デジタル広告強化のため、コネや体育会を除く数少ない“一般枠”を中心に理系採用に注力。2016年4月入社では理系出身者が25%と、あえて採用サイト上で公表し、理系人材の強化を明確に示した

 「社長1人の引責辞任で済む話ではない」と塩崎恭久厚労相が威勢よく会見で述べ(2017年1月6日)、社員約7千人全員の過去1年分の労務データを、厚労省のブラック企業対策専門組織「かとく」に調査させていた、電通の組織的な労基法違反容疑。だが実際には、昨年末に石井直社長が辞任を表明したことで一気にトーンダウンして「済んだ話」となってしまい、本来、責任を負うべき本社の役員クラスは誰1人として立件されず、あっけない終結を迎えた。石井社長も罪には問われていないため、上層部の責任者一同、誰1人として法的責任をとらぬままだ(遺族と、法人としての電通の間で、示談が成立)。過労死を容認してきた日本という国のカタチが、よく表れた事件だった。

【Digest】
◇大山鳴動して鼠4匹、役員は無罪逃げ切り
◇採用・配属のデジタルシフトは緩やか
◇5段階に制度化されたコネ入社
◇台頭する新しいコネ「体育会は忠誠心で辞めない」
◇ボスキャリで2桁採用
◇“一般枠”は3割程度
◇経団連ルール無視の大学3年インターン採用
◇面接「部長クラスがいいと思えばいい」論理
◇大きく3つに分かれる機能
◇若手はデジタル広告事業に集中配属
◇単純作業を気合でこなす!電通の美学
◇一部で白熱する富士山登山研修
◇どんどん外に出されるクリエイティブのキャリア
◇営業――同じ業界の企業は離れた部署に
◇プランニング――コンペ勝率、売上数値も追う
◇デジタル分野の仕事内容――目利きがおらず中途採用苦戦
◇デジタル広告は、個人別最適化&自動化へ
◇海外赴任の2パターン
◇入社8年目までに1回異動
◇入社2年目で交通事故死、30歳で過労死…
◇やりがいとジレンマ――不正指摘はできないカルチャー

◇大山鳴動して鼠4匹、役員は無罪で逃げ切り
 厚労省は2016年11月、電通の東京本社(東京)、中部支社(名古屋市)、京都支社(京都市)、関西支社(大阪市)を強制捜査。12月に過労自殺した高橋まつりさんの上司と法人としての電通を労基法違反の疑いで書類送検した。その後、年をまたいで全社員7千人の1年分の労務データの調査を行うと徹底捜査を表明。だが2017年4月25日に支社の幹部3人を書類送検し、各拠点で法人としての電通を書類送検しただけで、捜査は終結。本社の役員クラスは立件できなかった。5つの子会社は「是正勧告」にとどまり書類送検もされなかった。

 大山鳴動して鼠一匹、いや4匹。計4人の下っ端管理職が書類送検されたが、過去の同様の事例(ABCマート、ドン・キホーテ等)から、個人は不起訴となる可能性が高い。法人としても、労基法違反が「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」とごく形式的な罰則規定となっているため、ほぼ無傷。国が労基法違反を、たいした罪だと考えていないことがわかる。

 国会で厳罰化の動きもないため、歯止めとなる法令は存在せず、社員による残業代の請求権も時効が2年と、他の債権(例:過払い金は10年)に比べ短いまま放置されている。また、過労死が労災認定されても企業名の情報公開は拒否され(最高裁判例で確定)、国がかくまう。国家ぐるみなので、過労死がなくなる気配はない。

 電通の労基法違反は、労使協定(36協定)の上限を超える違法な残業を社員にさせていた(残業時間を実際より少なく会社に申告させていた)、という容疑だ。サービス残業が高橋さん1人の問題ではなく、全社的・組織的なものだったということは、今回の一連の取材でも、数々の証言から裏付けられている。

 だが、反省して、社員に対して未払い残業代が支払われたのかというと、もちろん支払われていない。結局、社内では、高橋さんの周辺だけの問題として片付けられ、本社社員で未払い残業代や賠償金の支払いを受けたのも高橋さんの遺族だけという、かなり矮小化された格好で終わってしまった。企業は、ダメージがないと反省しない。このままでは再発のおそれが十分にある。


◇採用・配属のデジタルシフトは緩やか
 新入社員が過労死した2015年12月。ちょうどその頃、何も知らない大学生を対象に調査が行われていた「就職人気企業ランキング」(2017年卒対象、調査は2015年10月22日~2016年3月実施、楽天による発表)で、電通は2年連続の1位を獲得していた。学生が、いかに働く現場の実態に無知であるかがわかる(過労死が報道された翌年は23位に転落)。

 その「何も知らなかった2017年卒の大学生」144人が、この4月に電通に入社した。過労死や虚偽請求の舞台となった「電通デジタル」をはじめデジタル広告部門には、計32人と、まずまずの人数が配属された(電通デジタル、デジタルプラットフォームセンター、データテクノロジーセンターの合算、詳細を組織図内に明記)。この人数はここ5年ほどの傾向どおりで、デジタルシフトは緩やかだ。

 検討段階では半数(70人規模)を配属するという話も出ていたため、かなり後退した印象である。経営不在、戦略がない、振り切れない、といった従来の電通の姿そのままにも見えるし、特定部門出身ではないバランス型の山本新社長らしさ、にも見える。

 続いて、昨年から再開された営業局への配属が、計24人。ラジオテレビ局が22人、クリエーティブが計19人と続き、残りは1ケタずつである(4つめの画像=組織図内に、秋入社分も含む計152人分の配属先を赤字で記載)。採用活動の段階で社長でなかったこともあるが、結局、配属において山本色は何も打ち出せなかった。

 全体の採用人数は、リーマンショック前の数年間(2006~2008年ごろ)が一番多く年200人規模だったが、昨今は100~150人ほどに落ち着いている。去年(2016年4月)は今年より4人少ない140人だった。女性は2割程度を占める年が多く、コネ入社が多めだ。

 出身大学は例年、慶応が一番多くて30~40人。次が東大または早稲田で、それぞれ20人ほど。あとは、京大をはじめ旧帝大や上智が続き、MARCHが合計で10~15人、といったところだ。この比率や大学別の順位は年によってあまり変わらないため、あらかじめ大枠が決まっていると考えてよい。山本敏博社長は最大派閥・慶応出身で、1981年経済学部卒、もちろん新卒入社組だ。

 出身大学とコネは、相関がある。「日東駒専以下だと、だいたいコネ。それ以外に、コネは慶応幼稚舎あがりや慶応NY高出身だったりと、慶応でもそれなりにいます。昨今ではデジタル広告事業強化のために理系採用を増やしていて、大学でプログラミングを学んだ人や、SFC出身者も目立ちました。一番弱いコネから採るくらいなら、『デジタル』か『学歴』で採る感じになっている、と人事からも聞きました」(元社員)

理系人材の強化のため、あえて採用サイト上でデータを公表
 デジタル広告強化という命題のもと、理系の採用に関してだけは会社も公言しており、電通にしては珍しくデータを開示し、採用に躍起になっている。

 2016年入社では、4人に1人が理系、と開示している(冒頭画像、同社採用ページより)。

◇5段階に制度化されたコネ入社
 電通のコネ採用は、もちろん非公表だが、社内では制度化されており、強さに応じて5段階に分かれている。「5(一番強いコネ)は、サッカー協会理事の息子などで、目を見て普通に会話ができれば内定。逆に1(一番弱いコネ)だと、全員が入社できるわけではなく、選別されます。入社半年前くらいにメディア側の部署に通わせて指導し、そこでダメだとみなされたら落としている」(若手社員)

 もっとも強力なコネは、大口クライアントのオーナー(または独裁的な長期支配者)の子供か、広告枠を握るメディア企業役員の子供だ。

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(2001年から現在までずっと会長)を叔父に持つ竹田恒昭氏(明治天皇の玄孫)は、2006年に電通に入社。電通はその後のオリンピック招致活動で東京都から随契で仕事を得るなどJOC関係はビッグクライアント筋であり、客観的にみてコネ入社である。

 この竹田氏は2015年7月、六本木で、大麻所持容疑で現行犯逮捕され、同年9月に東京地裁で懲役6か月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。電通にコネ入社→大麻所持逮捕コースは、衆議院議員・中西啓介氏の息子の例もあり、過労死と並んで電通らしさの一角を示している。

 ただ近年は、かつてに比べてコネ採用は減らしている、と多くの社員が口を揃える。

 ここ10年以内に入社した若手社員によると、「昔よりコネは減らしていて、自分の新卒同期で、全体の3分の1くらい。一番多いのはメディア側からで、テレビ会社プロデューサーの子供、フジテレビ常務(大多亮)の息子など。クライアント側は減っていますが、永谷園の創業一族の娘など。どういう関係が不明ですが、俳優・竹中直人の娘もいます」(若手社員)

 フジからは、常務だけでなく亀山千広社長(※2017年6月に退任後、BSフジ社長に就任予定)の息子も電通にコネ入社しており、とても上場企業とは思えない露骨にアンフェアな採用が公然と行われている。『47ニュース』を運営する株式会社全国新聞ネットの役員の息子もいるという。

 一方のクライアント側は、電通が得意とするスポーツ協会理事がらみに加え、大企業役員の子供(味の素の役員の娘など)、オーナー企業一族の子供、宗教法人の跡取り(住職の息子)といった、確実に売上に貢献する“人質”を採用している。

 1人あたりの生涯人件費(福利厚生等含む)は5億円を超えるが、それ以上のメリットがあると判断されれば、取引先の弱みを握れるため、身柄を引き取る。電通としては、子供の存在を通じて取引先の社員たちを忖度させ、有利に取引を進めることができる。つまり、フジテレビ社長が、息子の就職という個人的な利益のために、フジの株主利益を私的に流用している構図でもある。

 「クライアント側は、ライオンの宣伝担当役員の息子など、役員以上でないとコネになりません。オーナー企業系は人事異動や派閥争いで消えたりしない堅いコネなので採ります。変わったところでは、靖国神社の宮司の息子、というのもいます」(ベテラン社員)。政治家系では、平沼赳夫(自民党に復党)の息子、亀井静香の息子(退職済み)など。自民党は、選挙活動や政策PRにおいて、電通の重要なクライアントでもある。

 こうして採用されたコネ入社の人たちは、特別な部署に収容されるのかというと、そうではないという。

 「最初の配属先は、コネ入社だからといって特に特徴は見られません。家柄の良さで良い教育を受けてきた人も多いため、戦力になる人も普通にいるからです。ただ、その後の人事に表れる場合があり、拓殖大学出身の、拓大総長の孫が入社して新聞局に最初に配属になったあと、最初の5年ほどで6~7回といった頻度で部署を異動し、結局バックオフィス系に行ったので、何らかの問題があったとは推測されます」(若手社員)

 電通の仕事には、クリエイティブを除けば、特別な才能やスキルが必要な業務はない。電通の名刺や看板があれば、やる気さえあれば誰でも、気合と根性と体力次第で、何とかこなせる仕事ばかりだ。

 それでもぬるま湯で育ったボンボンにはキツいため、クライアント企業やメディア企業といった取引先とは接することなく過ごせる、対社内向け業務を行うバックオフィス系へと収まっていく道も用意されている。「会社に在籍すること」が仕事なので、犯罪に手を染めるようなことをしなければよいのである。

◇台頭する新しいコネ「体育会は忠誠心で辞めない」
 「ざっくり、計3割がコネで、うち1割がガチコネ、1割が緩いコネ、残り1割がその中間。さらに別途、体育会系が平均2割はいて、野球、サッカー、ラグビーが多い。これは、先輩が社内で要職についていて引っ張るのと、面接対策をしっかりやってあげるから、通りやすいんだと思います」(中堅社員)

 コネ入社に続き、その軍隊的な社風に馴染みやすい、体育会出身者が多いのも、電通の特徴である。体育会系の採用人数は、若手社員によると、「同期で明らかなのは20人くらいでしたが、ここ数年は30人ほどに増やしています。正確な人数はともかく、増えているのは間違いありません」

 なぜ増やしているのか。背景については、以下のように解説する。

 「電通は、ブラックボックスで稼ぐのが得意技ですが、市場が成長しているデジタル広告はオープンな世界なので、うちの看板が役に立たない。能力が高い若手は、ウチにいる意味がないので、辞めてしまう。たとえば2013年入社組は、僕が知る限り、デジタル広告関連部署に10人配属されて、4年目までに7人辞めました。辞めた人のなかには、ボスキャリ(後述)採用の人もいた。だから、とにかく忠誠心を持っている人をとる方針への揺り戻しがあった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



「当社の新卒採用選考とは一切関係ありません」と記されているのは嘘で、コンプライアンス上、問題である。新卒採用に直結している「電通インターンシップ2016」。
電通の組織図と、各部門の新入社員152人の配属先(=赤字)。4月入社144人(会社発表分)との差は、ボスキャリ等の秋入社組とみられる。(末尾にてPDFダウンロード可)
電通の現場組織とその人員構成(末尾にてPDFダウンロード可)
中小企業庁の創業補助金事業(平成28年度)を、電通が窓口となって実施。第15営業局案件の1つ。

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編集部追記  12:27 06/11 2017
会員
2017年4月入社では、櫻井翔の弟が慶應ラグビー部出身、ラジオテレビ局配属。新たなコネ「体育会枠」を象徴するコネ入社となっている。
第三者が  09:10 06/04 2017
そもそも過労死、過労自殺した方の検死は行われているのだろうか?そもそも遺族の同意があれば第三者の医師ら(産業医は中立性が担保されていないから除く)が過労度やうつの有無などを調べるなどの制度はありましたでしょうか?聞いたことがないからそんな制度や仕組みが無いのかもしれない。こういう仕組みでは悲劇は減らないのではないでしょうか?残念だ。
   01:07 06/04 2017
高橋まつりさんの無念を多少ははらすことが出来たのかもしれない。しかし責任者はこいつというのを特定しないといけない。最終的な責任を取るトップがいない組織は不幸だとしか言えない。