マツキヨで販売中のコントレックス(500ml)。SHIHOプロデュースのおまけつき。
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「やせる水」「スリムウォーター」とされるフランスの水「コントレックス」。カリスマモデルSHIHOも愛飲中だ。500mlで牛乳瓶約1本分のカルシウム、アーモンド約9粒分のマグネシウムを含有とされ、ダイエット中の栄養補助目的として、yahoo!、楽天でも売れ筋ランキング上位に入る。だが、やせると思っているのは、下剤が入っているからだ。成分の「サルフェート」は硫酸塩であり、便秘薬にも使用されている硫酸マグネシウム(硫苦)が含まれている。下痢を起こさせる、“見せかけ”の不健康なダイエット水である。
【Digest】
◇カリスマモデルSHIHO愛飲の水
◇小さな文字で「乳幼児の飲用はお控えください」
◇サントリーフーズ「やせることはない」
◇マグネシウム、カルシウムの吸収率は不明
◇下剤「硫酸マグネシウム」入りの水
◇石膏「硫酸カルシウム」入りの水
◇下痢、脱水症状も出る「サルフェート」の安全性
◇カリスマモデルSHIHO愛飲の水
「フランスのやせる水」「スリムウォーター」「ダイエットウォーター」というキャッチで販売されているフランスの水「コントレックス」。
フランスの北東部コントレックス村で採れる、ヴォージュ山脈の天然のこの地下水は、yahoo!ショッピングや楽天でも通販売れ筋ランキングトップに入る商品だ。「現在では世界で第4位、フランス国内で第2位のシェアを誇る水となり、40カ国以上の人々から愛されています。」(コントレックスHPより)ともある。
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Contrex
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CONTREX - マイ スリミング パートナー コントレックス
ネスレが販売権を持つコントレックスは、日本ではサントリーフーズが発売している。並行輸入なので、サントリー以外からもコントレックスは販売されている。
コントレックスの硬度は、1468。水の中にカルシウムとマグネシウムがどれくらい含まれているかを数字で表したのが硬度だ(~100mg/Lは「軟水」、100~300mg/Lが「中硬水」、300mg/L~は「硬水」)。硬水であるevian、Vittelの硬度が約300mg/Lだから、コントレックスは超硬水である。
硬度が高い水の味は、『正しい水の話』の著者である村田徳治氏(循環資源研究所所長)によると「マグネシウムイオンは苦く、カルシウムイオンは渋みと苦みが混ざったようないやな味がする」(『環境技術会誌2002第107号』)という。
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CMに出演しても、愛用しているか定かではないタレントもいるが、SHIHOの場合、コントレックス愛飲者のようだ。
コントレックスは90年代はじめ、池袋西武百貨店で入荷待ち状態で、当時は高価だったがいまや激安商品。1本97円(500ml)の安値で販売しているところもある。コンビニ、ドラッグストアなどの量販店でも手軽に買うことができるようになった。1ケース(1.5Lペットボトル12本入)2000円を切る価格で販売するネットショップも出てきている。
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のどごしが重く、苦みがある水なので、軟水に慣れている日本人には飲みづらいが、カルシウムやマグネシウムなどが豊富に含有されているとPRするため、ダイエット中の栄養補助目的の女性に人気がある。
この「ダイエットに役立つ水」コントレックスを後押しするのが、カリスマモデルのSHIHO。コントレックスのイメージキャラクターとしてCMに出ている彼女を見て、「SHIHOみたいになりたい!」と女性たちは憧れ、「たっぷり飲んで、水分とミネラルを補給してくださいね」と言われて、愛飲している。
◇小さな文字で
「乳幼児の飲用はお控えください」
3歳男児を持つ父親が「コントレックス、家で飲んでいるよ」と言っていたので、「『乳幼児の飲用はお控えください』と虫眼鏡で見ないとわからないような、小さい小さい文字で書いてあるよ。飲んだらだめだよ」と伝えたら、「えーっ、そうなの?」と驚いていた。
この件について、サントリーフーズお客様センター(問い合わせ先:0120-139-320)に聞いてみた。サトウさんが対応。
--乳幼児はどうして飲むといけないんですか?
「ミネラルなどがたくさん含まれている商品でございまして、消化器官が発達していない小さなお子さまの場合、下痢を起こすなどの症状が現れることがございますので、飲んでいただかないようにとおすすめしております。
離乳食などを食べているお子さんの場合は、おやめいただいたほうがよろしいかと存じます。個々発達具合が違いますので、何歳からということはないんですが、2、3歳、4歳くらいまではおやめいただいたほうがよろしいかと存じます」
赤ちゃんには、サントリー「南アルプスの天然水」(硬度30の軟水)をすすめられた。カルシウムを摂ってもらいたい妊婦にもすすめているという。
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小さな小さな文字で「乳幼児の飲用はお控えください」と書かれている。「朝起きたら、まずコップ1杯。また、3度の食事時間や外出時、仕事中、お風呂上りなどなど、こまめに飲むようにします。目安は1日1リットル。」とすすめている。

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ダイエットおたくだったわたしも数年前、愛飲していた。便秘気味のわたしも下痢をすることもしばしばあった。
--下痢とかけっこうするのでは?
「日本の水と違ってミネラルが豊富で、またこういった水に慣れていないこともあって、下痢をされる方もございます」
◇サントリーフーズ「やせることはない」
サントリーはコントレックスを「マイスリムウオーター」と宣伝している。
--これ、やせるんですか?
「あくまで清涼飲料水、お水としてお考えいただきたいのですが。代謝がよくなってということはあるかもしれませんが、やせるということはございません」
--「フランスのやせる水」「スリムウォーター」「ダイエットウォーター」と売られていると、薬事法とかにひっかかりますよね。
「効果・効能はうたえません。やせるということではなくて、いつまでもスリム、美しくいてもらうために、ダイエットのときに、不足がちなマグネシウム、カルシウムを補給していただくという意味からも、そういった名目で書かせていただいています」
--では、「マイスリムウオーター」と言うとマズイですよね?
「薬事法にはひっかかってはいませんけど、貴重な意見をいただきましたので、担当部署にお伝えさせていただきます」
◇マグネシウム、カルシウムの吸収率は不明
コントレックスの成分は以下のように出ている。
■成分(コントレックス1リットルあたりに含まれる主な成分)
ナトリウム 9.4mg
カルシウム 468mg
マグネシウム 74.5mg
カリウム 2.8mg
サルフェート 1121mg
熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物 0
硬度 約1468mg/L(硬水)
ph値 7.4
(注:2007年7月28日現在。サイトによって数値が若干違っている)
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サイトでも「コントレックス500ml中、カルシウム234mg(牛乳瓶約1本分)、マグネシウム37mg(アーモンド約9粒分)。ナチュラルミネラルウオーターだから0カロリー」(普通牛乳200ml中カルシウム227mg、アーモンド11g中マグネシウム34mg【五訂食品成分表より算出】)
と比較しているが、これを見ると、牛乳1本飲むよりも、アーモンド9粒食べるよりも、カロリーゼロのコントレックスを500ml飲む方がよいと受け取れる。
だが、これは吸収率が同じと考えた場合。含有率=吸収率ではなく、率がいい牛乳でも吸収率は40%だ。
--(コントレックスに含まれている)カルシウム、ミネラルはどれくらい体に吸収するんですか? 吸収率は?
「数字までのご案内はしていません。個々、それぞれ違いがあるので、具体的な数値ではご案内できないです。吸収具合で早さも量も違いますので。
カルシウムで成人1日の目安が750mgとなっていますので、コントレックス1・5Lでちょうど720mgが摂取できることになります。妊婦さんにもおすすめしています」とまた妊婦にすすめた。
--全部吸収するんだったらそうですが、吸収するかわからないのに、牛乳やアーモンドと比較するのはおかしいかなと思うのですが。吸収率はざっとわからないですか?
「確認をとらないとわからないです」と言われ、その後、「関係部署に問い合わせたが、数値を持ち合わせていません」ということだった。個体差も理由にしていた。
結局、牛乳やアーモンドと比べ、吸収率が高いのか低いのか不明で、コントレックスが宣伝する効果をそのまま鵜呑みにはできない。
◇下剤「硫酸マグネシウム」入りの水
コントレックスには、「サルフェート1121mg/L」が含まれているとある。この「サルフェート」について、サントリーフーズにまた聞いてみた。
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コントレックスには「サルフェート1121mg/L」が含まれている。日本水道協会『上水試験方法』(2001年版)に掲載されている「硫酸イオン」の項目には、最低致死量、短期暴露、ヒトへの影響、水質基準設定の経過などが記載されている。

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「ヨーロッパの水に比較的多く含まれている成分で、人間の体液にも存在し、体内の老廃物にも深くかかわっているということなんですけども、ミネラル分の一種ですが、ドライフルーツ、ブロッコリー、じゃがいもにも含まれています。ご心配いただくような成分ではございません」とまた、ほかの食べものと比較して説明してくれた。
「サルフェートは硫酸塩ですよ。硫酸マグネシウムは下剤。硫酸カルシウムは石膏です」
こう語るのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「宇宙オープランラボ」のユニットリーダーで、宇宙での飲料水製造に関する技術提案をしている前田芳聰氏。
前出の村田徳治氏もコントレックスについて、「下剤です。あんなまずいのもよく飲みますね。サルフェート(硫酸塩)が入った水がなぜ、そんなにいいのでしょうか」と話す。
サルフェートは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルと硫酸基が結合した硫酸塩のことで、
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