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新銀行東京SLAPP 横山剛さんインタビュー(後編)

情報提供
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09年4月10日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見する横山剛さん。左は横山さんの代理人、松井繁明弁護士。右はForbes誌のTim Kelly記者。横山さんは20分のスピーチと40分の英語での質疑応答を通訳なしでこなした。
 新銀行東京が訴訟制度を利用して元社員の口封じを図った疑いが強い事件は、2008年8月に東京地裁に提訴され、一審が進行中だ。2009年4月10日には東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見が開かれ、国内外のプレスから約40人の記者が参加。国際的な関心の高さをうかがわせた。同じくSLAPPでオリコンと戦う烏賀陽氏が、横山さんにインタビューした後編をお送りする。
Digest
  • より公の場で明らかにしたほうがいい
  • 実名での証言が難しくなってきた
  • 法律の抜け穴を使っている
  • 空気や水のようなものが、ある日突然奪われた
  • きっちりと戦わなければならない
(聞き手は、烏賀陽=うがや=弘道)

※SLAPPとは=Strategic Lawsuit Against Public Participationの略。大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟のこと。米国では約半数の州で法的救済措置がある。
新銀行東京と横山剛氏の訴訟経緯
2008年6月 新銀行東京の実態について、元行員・横山剛氏が『週刊現代』『サンデープロジェクト』などの取材を受け、実名で掲載・放送された。
2008年8月 新銀行東京は、1320万円の損害賠償を求め、横山氏1人だけを対象に提訴。講談社やテレビ朝日は提訴せず。
2008年9月 横山氏は、新銀行東京の元幹部らから会社ぐるみの嫌がらせを受け退職に追い込まれたとして、新銀行東京と元幹部ら6人に対し、約6750万円の損害賠償を求め提訴。
(2009年4月現在、いずれも一審係争中)

インタビュー前編はこちら

より公の場で明らかにしたほうがいい

--08年8月に裁判を起こされて、記者会見でこれを明らかにされたのが同年11月ですね。どうして3ヶ月のタイムラグが空いたのですか?

やはり訴訟を提起されてから、心身ともに疲れ切ってしまったということもあります。それに委縮してしまうというか、縮こまってしまったというか、公に行動すること、発言することは難しいんではないかと、自分の心の中で規制してしまうところもありましたし。

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外国特派員協会での会見には、国内外のプレスから約40人の記者が参加していた。テレビ局はTBS,日本テレビ、MX東京、NHK、テレビ朝日がカメラを回した。特に熱心に質問を重ねていたのは英国の高級経済誌"Economist"誌のKenneth Cukier記者だった。
--それは「下手な動きをすればまた裁判になってしまうかもしれない」という恐怖ですか?

ええ。私が申し上げたことで、正しくても間違っていても、また違った形で攻撃をなされるんではないかといつも頭をよぎるようにはなりました。

--3ヶ月後、都庁記者クラブで会見しようと決心されたきっかけは何だったのですか?

訴訟に対する対応ですので、あくまで窓口は弁護団にお願いしていたのですけれど、非常にメディアの方も含めて社会的問題として捉えていただいている方も多くなっているようでしたので。東京発の言論弾圧裁判についてより公の場で明らかにしたほうがいいのではないかと思ったものですから。弁護団としての訴訟の捉え方ということで会見の場では行っていただきまして。その場では私自身が「どういうふうに法律、憲法の枠組みを踏み外しているのか」「市民社会を破壊するのか」をお伝えしようと思いました。

--訴訟を起こされたことでマスメディアに発言しにくくなった、できなくなった側面はありますか?

私は勇気を持って表立って証言してきた経緯があったのですが、この訴訟をされてからは表立ったこと、発言や行動をする場合にやはりその、迷うというか一歩踏みとどまって考えるとというか、抑制してしまうような効果が実際生じてしまったと思います。

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新銀行東京側が証拠として提出した横山さんのテレビ朝日「サンデープロジェクト」出演時の画面を撮影した写真。同行は「横山氏の証言は守秘義務違反であり、損害を1320万円被った」と主張する。が、テレビ朝日を訴えていないのは矛盾だ。「損害が発生した」のはテレビ朝日が横山さんの証言を放送したからであり、もし新銀行東京が自らの主張を正しいと主張するなら、両者が「不法行為の共同行為者」として訴えられていないと主張として成立しない。しかしこんな訴訟でも「相手を疲弊させる」というSLAPPの目的は達する。
--提訴まではテレビ朝日はじめ大きなマスメディアが取材に来ていたわけですね?提訴された後はメディアの対応は変わりましたか?

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新銀行東京の訴状の2ページ目。「訴訟物の価額」に1320万円とある。「請求の趣旨」の(1)は「別紙資料目録記載の文書及び記憶媒体を返還せよ」とある。が、無限に複製が可能なデジタル記録をどこまで「返還せよ」というのか、請求の趣旨そのものが不可解だ。また、「別紙資料目録記載の文書」とは、報道されて東京都の経営介入が暴露された「ブリーフィングメモ」のことだ、と訴状ははっきり記載している。つまり「暴露されて困る情報だから返せ」と言ってしまっている。

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