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朝日新聞出版「同一労働三重賃金」の闇(2)

情報提供
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C 不良企業
    【対価犠牲型】
(仕事3.0、生活2.7、対価1.6)
 今年5月、「朝日新聞がボーナス4割カット」の情報が流れたが、もちろん朝日労組としても、大人しく受け入れたわけではない。経営側の40%カット通告→18%カットにとどめよ(組合)→33%カットだ(経営)→受け入れない、スト権確立(組合)→29%カットで決着、という経過をたどることになった。朝日新聞出版のなかでは、約170人中、本体に籍を置いたまま出向している135人ほどが、29%カットということになる。とはいえ年収の6.2%減に過ぎず、半分の報酬で働くプロパー社員との格差に比べればたいしたインパクトはない。
Digest
  • 「ボーナス4割カット」報道、29%カットで決着
  • 33%減受け入れず、スト権確立
  • カットしなければ51億円の営業赤字だった
  • 朝日村でしか言えない話
  • 記者は実質年収6.2%減だけ

「ボーナス4割カット」報道、29%カットで決着

13年ぶりのスト実施になりかけた労使対立の発端は、急激な業績悪化だった。朝日は2009年3月期決算で、1919年の株式会社以降、初の営業赤字(単体で▲10億円)に転落したのだ。

経営陣は、年間一時金の前年比4割カットを朝日新聞労組に通告した。その理由は「今期の黒字予算を組むため」。昨年は組合員平均40歳モデルで夏季165万円(3.2ヶ月分)だったものを、100万円にしたい、というものだった。

【朝日新聞社2009年3月期決算】

売上高 3442億円(▲8.7%)
営業損益 ▲10億円(-)
最終損益 27億円(▲51.1%)

朝日労組は怒った。ボーナスが昨年度の業績に連動する「業績連動」についてならまだしも、まだ始まったばかりの今期決算を黒字化するために4割カットするという「業績見通し連動」という、一般産業界でも聞いたことがないロジックを持ち出してきたからだ。

成果主義でもなく、年功序列でもなく、まだチャレンジすらしていない「見通し」に連動させてボーナスを予めカットしようという、摩訶不思議な給与制度。これが可能なら、経営者はいらない。

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朝日新聞本体の「40歳モデル賃金」推移

33%減受け入れず、スト権確立

4割カット通告に対し、朝日労組は「闘争宣言」し、独自の要求を掲げた。経営側の4割減、夏季100万円(40歳モデル)に対して、前年比18%減にとどめる134万円を提案。営業赤字をかんがみ、4割は無理だが2割弱なら呑もう、と妥協したわけだ。

この提案に対して6月8日に経営側が出した数字は、前年比33%減の110万円だった。いわゆる基本給の、2.1か月分にあたり、冬季一時金もこの水準だと、基本年収が前年比9%(111万円)減る。赤字会社なのだから2ヶ月分もボーナスが出るだけましだが、組合はこれに飽き足らず、スト権行使の可否を諮る全組合員の投票も実施した。

【ストの可否を問う「年収」カット率】

社長 45%カット
常務 30%カット
平取 25%カット
役員待遇20%カット
幹部社員10~20%カット
一般社員9%カット

カットしなければ51億円の営業赤字だった

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画像3:全投用紙。下の50代まで上がり続ける年功序列賃金に注目。

結局、スト権の行使には至らぬまま、33%→29%に押し戻して妥結した

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カットしなければ昨年度決算は「51億円の営業赤字」だった

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