イオン 「昇格させない試験」の実態
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Caa 不良企業 【生活重視型】 (仕事1.5、生活3.7、対価2.0) |
『週刊ダイヤモンド』などが毎年特集する給料特集は、実態を表していないことが多い。今年の有価証券報告書にもとづくランキングで、小売業で1位、過去5年上昇率でも全業種2位となったのが、イオン(持ち株会社、平均914万円、44歳)だった。中堅社員が解説する。「むしろ、エラい人を集めてる割に低いくらいです。334人中、100人ほどは、グループ会社の取締役や社長ですから。残りが人事・総務など管理部門の人たちです」
- Digest
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- うまくできている「昇格させない仕組み」
- 最速で30歳550万円
- 社員割引は5%オフだけ
- ほとんど売り場から出ない
- 商品部系は狭き門
- 身につくスキルは「モノさばき」と「ヒトさばき」
- 離職率が低い理由
- 全国型と地域型
- 20日間の連続休暇がホントに消化されている
- サービス残業禁止令
実際の現場社員の給与水準は、14,031人の平均が40.1才、563万円(2008年2月現在)。2年前を最後に非公開になったのは、イオンが2008年8月に純粋持株会社に移行したため。それまでイオンの社員だった約1万4千人は、ほぼ全員がイオンリテール株式会社に転籍となった。
持ち株会社には、一部管理部門の人たちと、傘下のジャスコやマックスバリュをはじめとする事業会社の役員を兼務する人たちだけが残った。その結果、形式的な平均年収が、突然1.5倍になったのである。
うまくできている「昇格させない仕組み」
現場社員に割く人件費の情報が非公表となった裏で、着々と進んでいるのが人件費の抑制である。現場で今、もっともホットな話題となっているのが、毎年5~9月の間に行われる昇格試験。「今年のM2への昇格試験は、合格率2%だったそうです」(中堅社員)
2%しか受からないとは、いったいどういうことなのか。まず、イオンの人事制度では、組合員は、J(ジュニア)とM(ミドル)の2階層に分かれ、それぞれが3段階に分かれている。J1→J2→J3→M1→M2→M3である。
各売り場(鮮魚、畜産、農産…)の管理者が「マネージャー」で、J2かJ3の役割。食品全体の管理者が「統括課長」でM1~M3の役割となる。その上の副店長や店長クラスからが管理職層(シニア=S)となり、S1~S5まで。
J2~M3まで、1つの階層を上げるためには、人事査定に加え、筆記試験と面接を通らなければならない。この試験は毎年、全員が必須で受験する。各階層で合格率は異なり
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イオンリテールのボーナスと基準給与(上:2009年冬、下:2010年夏)
イオンリテールのキャリアパスと報酬
イオンリテールの店舗組織
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読者コメント
人件費を削減して収益を出している訳ですから昇給してしまう昇格なんて無理ですよ。コアのGMS事業で収益が出ない構造不況に陥ってますので望みなし。
この会社に限った話じゃないですが、マスコミやネットで報じられる給与実態との落差が激しいですね。生活そのものは悪くなさそうですが。
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