KDDIケータイ基地局公害事件 ミュージシャンの申し立てを棄却、低周波音と振動で
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演奏中の植松孝夫さん(63歳) |
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- 音を知覚しなければ公害ではない?
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(上右・上左)ケータイ電話基地局のアンテナ部分。(下)基地局の本体で機械が設置されている。従って高周波だけではなくて、低周波や低周波音も問題になる。本文とは関係ありません。![]() |
音と振動の発生源は基地局。厳密に言えば、ビルの屋上に設置されたアンテナとケーブルで繋がった箱状の本体に設置された機械である。機械音と振動が空気を振るわせて伝わり、生活に支障をきたしていることが、公害裁定に踏み切った原因である。
鎌倉市の由比ガ浜4丁目にあるKDDIの保養所(現在は空き家)に基地局ができたのは、2006年3月である。アンテナは3階建ビルの屋上に、本体は庭に設置された。
健康被害を訴えているのは、ジャズ・サックス・プレーヤーの と植松孝夫さんと、ボーカリストの藤間嘉久子さん夫妻である。2人の自宅は、通りをはんでこの保養所の真向かいにある。
2階の窓を開けると、すぐそこにグロテスクな「牙」のようなアンテナが聳えている。それは電磁波の危険性を知る者にとっては、恐ろしい光景である。普通の感覚からすれば、大変な迷惑行為だ。
植松さん夫妻を悩ませているのは、アンテナから発せられる高周波の電磁波だけではない。それよりもより不快に感じているのは、基地局の本体から伝わってくる音と振動である。植松さんが言う。
「高周波はシールド・カーテンを設置すればある程度はカットできますが、音と振動だけはどうすることもできません。夜中になると、ものすごい音に感じます。昨日も耐えられなくなって、かかりつけの医師の所へ行って、点滴を打ってもらったんです。
朝方まで別の場所へ避難することもあります。夜中に救急車で病院へ運んでもらったこともあります。しかし、病院では精神的なものと診断されるのが定番です」
9月21日、わたしは鎌倉市の喫茶店で植松さん夫妻と向き合っていた。3度目の取材だった。
話を重ねるうちにわたしは、プロのミュージシャンが音を聞き分ける能力を命としていることを知った
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植松さんが公調委に提出した主治医の診断書。
藤間さんら基地局周辺の住民3名が鎌倉市へ提出した請願書。健康被害についても言及している。
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読者コメント
>KDDIから巨額の広告費を得るマスコミがこの問題を伝えることはない。
KDDIはそれだけ強大な企業といえるのでしょうか?
秦野市の工業団地付近に居住しています。数十年まえから低周波音で悩まされています。就寝時には耳栓を着用しています。付近住民は難聴の方が多いです。
当方も外環自動車の
東中野換気所の地下タービンの発生する低周波に悩まされマンシヨンを放棄し杉並に引越しました。行政もあてにならず、共産党の議員は中野区と結託しています。首都高速道路 西東京管理局に対応を依頼しましたが何も対応策をとっていません。
マンシヨンノすぐわき50m
の地下要塞があります。一見価値があります。見学はできます。(山手道路沿い東中野駅から3分程度の場所です)
総務省の公害等調整委員会の裁定書は公開されています。この裁定書によれば、携帯基地局の稼働を停止した場合でも、このミュージシャンは同様な症状を訴えていました。これが決定打となって、低周波音や振動とは無関係として、ミュージシャンの訴えを拒否したのでしょう。
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