KDDI まったりしたい人向けの「ソフトな京セラ」
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Ba 普通の企業 【生活安定型】 (仕事2.0、生活4.3、対価3.8) |
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- リストラなし、課長と課長補佐に余剰感
- 役人体質のKDD+体育会系のDDI
- 京セラ同様の「KDDIフィロソフィー」
- 最大配属先は「コンシューマ営業」
- 最初の配属で広がる格差
- 異動の自由度は低い
- 上が詰まって、課長になれるのは「よくて半分くらい」
- 独身3万、家族持ち5万の家賃補助
- まったりしたい人に向いてる会社
- 言われたことはやる、というタイプが多い
リストラなし、課長と課長補佐に余剰感
平均年収は899万円(2010年3月)と、トップシェアのNTTドコモ(803万円)より約100万円も高く、家賃補助などの福利厚生も充実。合併を繰り返してきたにもかかわらず、筆頭株主(約13%)である京セラ・稲盛会長の方針でリストラはしない。規制業種のインフラ産業で市場の競争環境がぬるいため、それでも何とかやっていけている。
だが、逆に4社も5社も合併して氷河期世代は少ないため、40代以上の課長補佐クラス以上に、明らかな余剰感がある。課長や課長補佐が余っているので、その下の主任が、課長補佐に昇格できない。45歳を超えると、課長試験の受験資格も失う。出世しにくく、権限もない。希望部署に異動する仕組みもなく、やりがいを持てない。
のんびり、まったりと仕事をしたい人にとってはいい会社だ。全社員に対する離職率は年1%ほどにとどまり、若手に限っても3年で1割も辞めないのだという。
役人体質のKDD+体育会系のDDI
なぜこういった環境になったのかは、KDDIの成立過程が影響している。KDDIは、もとは、長距離電話のDDI(第二電電)が母体となって、国際電話のKDD、ケータイ電話のIDO(日本移動通信)を吸収合併してスタートした。
2000年の合併時、計1万人弱の社員数の内訳は、ざっくり言うと、KDD6割、DDI3割、IDO1割。大別すると、KDDとDDIの2種類のカルチャーが混在していると考えてよい。(その後、さらに2001年にAU合併、2005年にツーカー3社を合併)
規模でいうと過半を占めたKDDは、合併前の筆頭株主が郵政省共済組合(約9%)、次いで日本電信電話(NTT)とトヨタ自動車が8%ずつ。したがって、役人体質でノンビリしていた。
一方のDDIは、京セラの稲盛会長が創業した会社。京セラ出身者中心の泥臭い体育会系の会社で、90年代の商社不況の時期に兼松など商社から転職してきた人も目立つ。現在の小野寺正社長はDDIの出身である。
両者は水と油だ。2000年の合併後に入社した社員は、どちらの部長にあたるかが最初の運だめしだった。「コンシューマ部門(au)はDDI系上司が多いのですが、イケイケの体育会系で、飲まされます。仕事命、というかんじ。KDD系のほうは、もともと日本電信電話から分かれた会社なので、官僚気質」(若手社員)
合併時にDDIが母体だったため、役職はDDI出身者のほうが全般的に上で、DDI出身の40歳部長の下にKDD出身の45歳課長がいる、といった部署も目立つものの、全体の人数ではKDD上司のほうが多い。よって、会社全体がイケイケな社風に染まることはなく、まったり、のんびりとした社風のほうに収まっている。
京セラ同様の「KDDIフィロソフィー」
小野寺社長が10年間社長を続けているのは、DDI副社長まで務めた経緯もあり、筆頭株主である京セラ・稲盛会長の覚えがめでたいからだ。稲盛氏の影響は、随所に見られる。まず、「大家族主義」をうたう京セラ同様、リストラはやらない。
「京セラフィロソフィー」とほぼ同様の「KDDIフィロソフィー」があり、社員全員に冊子が配られ、なくしたら始末書だ。役員の講話でも、フィロソフィーの話題が必ず出る。このフィロソフィーとは、「自ら燃える」「強烈な願望を心に抱く」「成果をあげるための方程式は能力×熱意×考え方」といったもので、自己啓発的な精神論が中心。
月1で6~7人グループでテーマを決めて自由に話し合う「ピーコック活動」も、フィロソフィーに基づいてテーマを決めることになっている。こうした業務外の活動は、「京セラコンパ」に似ている。
ただし、京セラのように、本社に巨大なコンパルームを作ったり、若手社員の評価の半分をフィロソフィー理解度にしたり、稲盛氏の著書を半強制購入させたり、といった徹底性までは見られない。いわば、「ソフトな京セラ」
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KDDIの現場組織
キャリアパスと報酬
KDDIの賃金構成と賃金テーブル、住宅手当の額
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KDDIは2019年3月30日までに、社員4613人に対して未払いの残業代が計6億7千万円あったことが発覚し、平成29年11月に未払い分を支払っていたと明らかにした。平成27年9月に当時入社2年目だった20代社員が自殺し、労基署が29年9月に長時間労働やサービス残業を是正するよう勧告していた。勧告を受け、社内調査したことで判明した。
KDDIは7月から9月にかけ、夏の節電対策として、早朝から半日は職場で働き、午後は在宅勤務とする独自のサマータイム制を導入する。終日在宅の勤務も併用し、国内約1万2千人の社員のうち、4割が午後は在宅勤務をする。(2011年6月1日)
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