通産出身の道知事、泊原発運転を容認のワケ 北海道電力役員からの一斉献金、計371万円也
定期点検中だった泊原発3号炉の運転再開を認めた北海道の高橋はるみ知事。元経産省北海道経済局長。2003年の初当選以来、一貫して北電役員から献金をふくむ選挙協力を得てきた。ニトリとも縁が深い(高橋はるみ氏のHPより)。 |
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- 北海道電力→高橋知事献金リスト1
- 北海道電力→高橋知事献金リスト2
- 北海道電力→高橋知事献金リスト3
- 高橋知事の選挙参謀・大和田元北電常務に聞く
- 「北海道電力という企業として高橋氏を応援した」
- 「北電献金問題追及の祖」真下議員と政官財記者クラブ団子
◇経産OB高橋知事と政治団体「萌春会」
高橋はるみ氏は一橋大学経済学部を卒業後、1976年に当時の通産省に入省。北海道経済局長を経て退職し、2003年4月の北海道知事選に出馬して初当選した。無所属だが実質的には自民党の支援を得た選挙だった。
その際、政治資金の受け皿として政治団体が作られた。北海道選挙管理委員会に届け出がされた高橋はるみ知事の政治団体は二つ。「萌春会(ほうしゅんかい・高橋はるみ代表)」と「北海道を愛するみんなの会(山口博司代表)」だ。山口博司氏は道幹部 OBである。
真下紀子道議から献金の概要を聞いた後、筆者は寄付の実態をこの目で直接確認すべく調査にとりかかった。手順はこうだ。
まず北海道選管を訪れて、この二つの政治団体の政治資金収支報告書を閲覧・コピーした。収支報告書に書かれた寄付者の氏名や金額を知るためである。ただ選管が保管している収支報告書は2007年~2009年分の3年分だけだった。高橋はるみ氏が知事になったのは2003年4月で、それ以降2006年までの報告書もほしかった。だが選管はすでに廃棄したという。
なんとか調べる方法はないものか。選管事務局と相談した結果、手がかりが出てきた。概要をまとめた冊子があるという。収支報告書の内容すべてが書かれているわけではないが、参考にはなる。概要のうち2003年~2006年分の該当部分をコピーしてもらった。
それでも概要だけではまだ足りないところがあった。収支報告書に記載されている寄付者のうち、5万円以下の寄付者については概要では省かれていたからだ。
政治資金規正法の規定によれば、寄付者の氏名・額の記載義務があるのは原則5万円を超えた場合のみ。5万円以下は書かなくてもよいことになっている。ただ、5万円以下の寄付であっても税金の控除を受ける場合は、氏名・住所・職業が収支報告書に記載される。したがって、「5万円以下」の寄付も収支報告書に記載されている可能性がある。それについては、やはり収支報告書を見ないとわからない。
幸い、古い政治資金収支報告書を真下議員が保管しており、提供してもらえた。一部足りない部分は残ったものの、2003年~2009年までの高橋はるみ氏に関連する政治資金収支報告書などの資料が、ほぼそろった。
献金リストには北海道電力の経営トップが名を連ねる。戸田一夫会長もそのひとり(北海道電力社史より)。 |
北海道電力→高橋知事献金リスト1
これらの資料をもとに、寄付者の氏名と北海道電力の役員を逐一つきあわせる作業にとりかかった。結果は、以下のとおりとなった。真下議員が見落としていたものも新たに見つかった。
〈〈〈北海道電力の高橋はるみ知事に対する寄付の状況〉〉〉(カッコ内の肩書きは当時・推定、順番は報告書記載に従った)
【2003年】
(5万円以下については不明)
「萌春会」
・ 泉誠二 10万円(会長)
・ 戸田一夫 10万円(元会長)
「北海道を愛するみんなの会」
・ 常田幹 10万円(副社長)
・ 南山英雄 10万円(社長)
・ 戸田一夫 20万円
・ 泉誠二 20万円
・ 岡部三雄 10万円(常務)
・ 瀬山孝二 7万円(常務)
(小計 97万円)
2003年は高橋知事が初当選した年である。献金額も大きい。役員の献金は翌年からも続く。
【2004年】「萌春会」
・菅伸之 2万円 7月9日(常務取締役 泊原子力事務所長)
・戸田一夫 10万円 7月21日(元会長)
・大和田勲 2万円 7月21日(常務)
・南山英雄 10万円 7月21日(社長)
・森岡輝男 3万円 7月21日(副社長・発電本部長)
・近藤龍夫 5万円 7月21日(副社長)
・松藤哲夫 3万円 7月21日(副社長・お客さま本部長)
・伊藤三雄 2万円 7月21日(常任監査役)
・吉川照一 2万円 7月21日(取締役工務部長)
・得能毅 2万円 7月21日(常務)
・矢野義尚 2万円 7月21日(常務)
・熊谷直孝 2万円 7月21日(常務・札幌支店長)
・濱田賢一 2万円 7月21日(常務・企画部長)
・佐野研 3万円 7月21日(副社長・企画本部長)
・ 市村三樹男 1万円 7月21日(取締役・釧路支店長)
(小計 51万円)
日付はみな同じ、社長10万円、副社長5万円、常務2万円、ヒラ取締役1万円――と役職によって金額が変わっているのが興味深い。
高橋知事に献金をしたひとり、泉誠二会長(北海道電力社史より) |
北海道電力→高橋知事献金リスト2
引き続き2005年も続々と献金がなされる。この年は6月7日、株主総会の直前である。
【2005年】「萌春会」
・泉誠二 1万円 6月7日(元会長)
・岡部三男 1万円 6月7日(元常務)
・大和田勲 2万円 6月7日(常務)
・ 戸田一夫 10万円 6月7日(元会長)
・ 佐野正 1万円 6月7日(常勤監査役)
・ 南山英雄 10万円 6月7日(会長)
・ 森岡輝男 3万円 6月7日(副社長・発電本部長)
・ 西村求 1万円 6月7日(取締役・旭川支店長)
・ 近藤龍夫 5万円 6月7日(社長)
・ 松藤哲夫 3万円 6月7日((取締役・お客さま本部長)
・ 伊藤三雄 2万円 6月7日(常任監査役)
・ 吉川照一 2万円 6月7日(常務・流通本部長)
・ 得能毅 2万円 6月7日(常務)
・ 矢野義尚 2万円 6月7日(常務・ビジネスサポート本部長)
・ 熊谷直孝 2万円 6月7日(常務・札幌支店長)
・ 濱田賢一 2万円 6月7日(常務)
・ 菅伸之 2万円 6月7日(常務・泊原子力事務所長)
・ 佐野研 3万円 6月7日(常務・企画本部長)
・ 市村三樹男 1万円 6月7日(常務・お客さま本部長)
・ 大内全 1万円 6月7日(取締役・原子力部長)
・ 矢島泰司 1万円 6月7日(取締役・室蘭支店長)
(小計 57万円)
2006年も同様だが、やや献金時期にばらつきがある。
【2006年】「萌春会」
・ 森岡輝男 2万円 3月17日(元副社長)
・ 泉誠二 1万円 6月12日(元会長)
・ 岡部三男 1万円 6月12日(元常務)
・ 南山英雄 10万円 6月12日(会長)
・ 西村求 2万円 6月12日(常務)
・ 近藤龍夫 5万円 6月12日(社長)
・ 伊藤三雄 2万円 6月12日(常任監査役)
・ 吉川照一 2万円 6月12日(常務・流通本部長)
・ 得能穀 2万円 6月12日(常務・ビジネスサポート本部長)
・ 矢野義尚 3万円 6月12日(副社長・コーポレートコミュニケーション本部長)
・ 濱田賢一 3万円 6月12日(副社長・企画本部長)
・ 菅伸之 2万円 6月12日(常務・発電本部長)
・ 市村三樹男 2万円 6月12日(常務・お客さま本部長)
・ 大内全 2万円 6月12日(常務・泊原子力事務所長)
・ 矢島泰司 2万円 6月12日(常務・札幌支店長)
・ 戸田一夫 10万円 6月30日 (元会長)(元会長)
(小計51万円)
北海道電力会長を務めた南山英雄氏は、現在、高橋はるみ氏が代表をする政治団体「萌春会」の会長をしている(上は北海道電力本社、下は社長時代の南山氏=北海道電力社史より)。 |
北海道電力→高橋知事献金リスト3
2007年は知事選挙の年だった。高橋はるみ氏は再選を果たす。恒例の「北電役員献金」は、当選した後になされている。
【2007年】「萌春会」
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泊原発の定期点検の様子。北海道電力は1999年に、原発に関する説明会の「やらせ未遂」事件が発覚した過去がある。地元住民の同社への不信日増しに強まっている(北海道電力社史より)。
北海道電力と高橋知事の政治献金問題を最初に告発した、真下紀子北海道議会議員(共産)。自民党が主導権を握る議会も問題意識は低く、記者クラブメディアも扱いは小さかったという。結果、知事と北電の癒着は切れることなく今も続いている。
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→政治資金収支報告書から
運転再開を認めた高橋はるみ北海道知事(旧通産省OB)の政治団体に、北海道電力の役員多数が、延べ100回以上、計371万円もの献金をしている
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妙に早く原発再開となりましたが、裏にはこんなからくりが有ったとは、はるみ知事は就任期間が終わったら北海道とは関係無く地元はどうでも良いと考えてるのでは?
北海道の人、立ち上がって欲しい!リコールして北海道を守ろう!道庁に電話したりしてるけど、やっぱり地元民が動いてくれないとどうにも出来ない。もっとこの事実を広めて欲しい。
ひでえもんだ。
みんなやってるわけだぜ。どこもかしこも!!
百円玉握って、かーちゃんにピーピー怒鳴られながらやりくりする貧乏人には、知れば知るほど頭に来ることばかりだ。
ほんと!!
いい加減にさらせ!
予想される、他の停止中原発再起動を許可する立場の他県の知事に対するプレッシャーとしても、高橋知事に対するリコール運動が有効と思います.このままで済ませてはいけない.
こういう地を這う調査って本物のジャーナリストの仕事だよね。
調査にはさぞ骨が折れたでしょう。
ご苦労様。
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