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『十勝毎日』『山陽』『南日本』…地方紙で敗訴続く新聞の部数偽装

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読売VS週刊新潮の「押し紙」裁判で、司法は読売に「押し紙」が存在しないことを認定した。とすれば写真の新聞は何かを判決文に記述すべきではないか。
 販売店主としての地位保全が認められ、2007年年12月に勝訴が確定した「第1次真村訴訟」の福岡高裁判決のあと、『十勝毎日新聞』『山陽新聞』『南日本新聞』といった地方紙では、新聞社側が販売店との「押し紙」などをめぐる争いで、立て続けに敗訴し、偽装部数の実態に司法のメスが入り始めた。これ自体はこれまでにない画期的な出来事だったが、7連敗していた読売がどういうわけか今年3月より連勝に転じ、息を吹き返し始めている。地方紙と全国紙とで、どうして司法判断はこうも異なるのか。その背景を探った。(第1次真村訴訟の福岡高裁判決全文つき)
Digest
  • 「力」の読売は健在
  • 地方紙には司法のメスが
  • 地位保全で88万円の慰謝料認定の「十勝毎日新聞」
  • 376万円の賠償を命じられた『山陽新聞』
  • 販売店に3千万円支払う勝訴的和解の『南日本新聞』
  • 読売の体質を露呈した真村事件
  • 司法が認定した販売政策の異常
  • 記者クラブと裁判官
  • 記者が取材で裁判官に接近

去る7月8日、東京・港区の「グランドプリンスホテル新高輪」に、全国から読売の販売を担う「戦士」たちが集まってきた。YC店主で構成する「読売七日会」と「東京読売会」の合同総会の日である。ステージの背景には、臨戦体制を連想させる標語が並ぶ。

「復興元年1000万部」

「読売魂で反転攻勢」

「ブーメラン作戦遂行」

「力」の読売は健在

読売は東日本大震災の影響で新聞の発行部数1000万部を割り込んだ。津波でおびただしい数の家屋が流され、購読世帯を失ったことがその大きな要因と言われている。

そこで奮起して、ギネスブックにも登録されている「読売1000万部」を、ヤマト魂ならぬ「読売魂」と「ブーメラン作戦」で奪還しようというのだ。

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(上)販売店の裏庭に積まれた毎日新聞の「押し紙」。(下)店舗の壁に沿って積み上げられた朝日新聞の「押し紙」。

渡邊恒雄会長は、読売の好調な経営状態などを説明した後、最後に主治医の診断書を読み上げて、みずからの健康をPRした。

「もっとも素晴らしいことは、八十五歳と高齢であるにもかかわらず、脳に萎縮が全く見られないことです。人間にとって肝心な脳、心臓、腎臓、肝臓が全て六十歳代と思えるほどの若々しさです」(『新聞研究往来』7月18日)

かつて渡邊氏は、政界の「大連立」構想で陰の工作人を演じて物議を呼んだことがあるが、今回、自身の健康をあえてPRしたことも業界内で話題になった。

脳に萎縮がないことを宣言することで、依然として、みずからが読売の最高指導者であり、読売の手綱を握る資質を有しているとほのめかしているとも受け取れる。

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第2次真村訴訟の舞台になっている福岡地裁・福岡高裁。

実際、渡邊体制下の読売は粘り強い。九州で崖っぷちに追い込まれていた販売店訴訟でも、今は劣勢から攻勢に転じている。その転換点となったのは、今年の3月15日に福岡地裁で言い渡された、第2次真村訴訟(後述)における読売の勝訴だった。

それまで読売は、YC広川の元店主・真村久三氏に対して、7連敗(仮処分申立の判決や地裁、高裁、最高裁の判決を含める)を喫していた

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山陽新聞の販売会社の裏口付近に積まれた「押し紙」。司法が「押し紙」そのものを認定したのは初めて。

真村事件の全容を綴った『新聞販売の闇と戦う』(真村久三・江上武幸共著花伝社)

読売七日会・東京読売会の合同総会における渡邊会長のあいさつ。『新聞研究往来』より引用。

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