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読売、ファミレス&ホテルで配布のPR紙を「即売部数」に計上 それでも1千万部割れ

情報提供
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 読売新聞の無料試読キャンペーンのシール。個人情報を販売促進キャンペーンのダイレクト・メールなどに利用することを明記している。
 震災を契機に、ついに1千万部割れが公式発表された読売新聞。だが実態はもっと悪い。なぜなら、部数を偽装するための様々な新しい手口が明らかになってきたからだ。従来の戸別訪問による新聞拡販が行き詰るなか読売新聞社がここ4~5年で採用してきたのが、ファミレスやホテルに数十部ずつ搬入し、PR紙扱いでフロアで無料配布する手口である。これらの新聞は、売れていないのに「即売部数」としてABC部数に計上されるカラクリになっていることが分かった。ABC部数の信頼性を失墜させるど同時に、新聞のフリーペーパー化を進め定期購読も不要なものにする行為だ。新聞社は出口を失いつつある。
Digest
  • ファミレスに新聞を搬入
  • PR紙もABC部数に計上
  • 東横インにも無料の読売新聞
  • 電車内で新聞読者調査
  • 警察OBも販売政策に理解
  • 係争中を口実に読売は回答を拒否

「即売」という日本語は「即、売る」と書くが、なぜか売れていなくても、ファミレスやホテルのロビーでラックに入れてドサっと置いておくだけで(ゴミになっても)、すべて「即売部数」に入れてしまうのが、最近の新たな部数偽装のカラクリである。過去6年ほどで13万部超も伸ばした読売の即売部数は、こうした手口によってかさ上げされ、偽装されていると考えてよい。

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(上)読売新聞東京本社。(下)渡辺恒雄会長。91年の社長就任時には、販売第1主義を打ち出した。

5月に入って読売新聞のABC部数が1000万部の大台を割り込んだというニュースが流れた。4月の段階で995万部。メディア「王国」の崩壊が始まったのかも知れない。

もっともABC部数は、実配部数ではなくて、発行部数の集計であるから、もともと1000万部の新聞が読者の手に渡っていたかどうかは疑問の余地がある。まして新聞業界で、偽装部数(「押し紙」、「残紙」、「積み紙」の総称)やABC部数の信頼度が大きな話題になっている時勢である。

いずれにしても、渡邊恒雄会長の厳命と言われてきた「読売1000万部」の看板は、大震災の余波の中で消滅したのである。

そうしたなか、ある奇妙な現象が取り沙汰されている。注意深くABC部数の中身を解析してみると、読売の即売部数(駅のキオスクやコンビニなど、宅配と郵送以外の目的で搬入される部数)は、低落傾向どころか逆にここ数年のうちに急上昇しているのだ。しかも、その躍進ぶりは中途半端ではない。快挙と表現するにふさわしい。

たとえば2005年1月の読売新聞(朝刊)の即売部数は全国で2万2135部だったが、6年後の2011年3月には、15万9090部になっている。実に13万6955部も増えているのである。6年間で約7倍増。

今年3月の前月比でも読売は実に+1万2035部の増部数だった。

 「読売1000万部」の死守に貢献してきた即売部数は、具体的にどこへ搬入されてきたのだろうか?

ちなみに他紙を含む即売部数の変動は、次のようになっている。

社名2005年1月2011年3月
読売2万2135部15万9090部
朝日2万3619部6万7126部
毎日2万2556部 1万0996部
産経3万0355部 3万3189部
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(上)ガストの入口付近。(下)レジ机の上に平積みになった読売新聞。

ファミレスに新聞を搬入

「すかいらーくグループ」は1970年の創業。HPによると「和洋中をはじめとした各種テーブルレストランを中核事業に、 現在、約3700店舗を展開し」している。

このうち少なくとも「ジョナサン」と「ガスト」では、客に対して読売新聞が無料で提供されている。

店舗の中に積み上げられているのでフリーペーパーの印象がある。しかし、厳密に言えばこれらは読売新聞のPRを目的としたものである。実際、新聞に貼られたシールには、新聞とコーヒーのラストのほかに、7日間に限定した試読紙の申し込み用フリーダイヤルが記されている。

 2011年5月28日の朝、わたしは現場を確認するために、自宅近くにあるガスト(埼玉県朝霞市)に足を運んだ。午前8時の開店。わたしは開店から10分が過ぎた時間帯に店に入った。

 レジ机の上に積み上げられた読売新聞が目に止まった。その横にキャンペーンのシールもある。

若いウエーターが現れた。わたしは席へ向かう前に読売新聞を1部取り上げて、

「この新聞をいただいてもよろしいですか?」

 と、尋ねた

「どうぞ」

「タダですか?」

「はい

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東横インのロビーの台に置かれた読売新聞。左側に「新聞無料」の文字が見える。

大型の福引き「二億円の大奉仕」を告知する昭和30年9月5日付けの読売新聞。

公称部数をかさ上げするための偽装紙(「押し紙」)が昭和4年、5年に既に存在したことを伝える記述。『日本新聞販売概史』(日本新聞協会編)より。

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さいたま市Y2011/10/05 05:32
ほぺ2011/09/19 12:20
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nick2011/06/01 16:38
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