新聞の部数偽装、読売元販売員が告発「私は1億円の口止め料を提示された」
偽装部数の新聞と一緒に破棄されていた東京・江東区の『江東区報』。偽装部数に相応する折込類は、料金だけ徴収され、配達されないまま、破棄される。 |
わたしは「桜友政経研究会」という民族運動団体の会長を務める森敏行氏から、かつて調査した情報をもとに、新聞の偽装部数(いわゆる押し紙)についての告発を受けた。
「重大な犯罪ですよ。今も昔も実態は同じではないですか。おそらく体質は何も変わっていません」
(上)東京・中央区にあるユースの本部。(下)包装されているものは、破棄されるチラシ。包装されていないものは、偽装部数にあたる新聞。 |
店舗数が約100店もあるとなれば、たとえ調査対象が関東一円の店舗に限られていても、全社的にかなり膨大な虚偽部数がある可能性も生じる。販売会社の場合、通常、店舗により販売政策が大きく異なることはあり得ないからだ。
が、調査データを隠そうとする力が働き、時の経過と共に、森氏らが集めたデータの大半は、水面下に埋もれてしまったのである。
森氏らは集めたデータを根拠に、役所や業界団体、政治家、それにメディアなどにユースにおける偽装部数の問題を告発した。
改めて言うまでもなく、告発を受けた側の反応は2つに分類できる。偽装部数の問題を解決する方向で動いたグループと黙殺したグループである。
結論を先に言えば、森氏が突きつけた事実に正面から向き合った団体は、出版社を除いて皆無に近かった。役所も業界団体も「知らぬ、存ぜぬ」で押し通したのである。良心的に思えた人々も、新聞社が問題の核心で、しかも重大な告発の内容を知ると、最後は態度をひるがえしたのである。
◇誠意ある対応をした『噂の真相』まず、偽装部数の告発を受けてアクションを起こした少数グループを先に紹介
森氏が『噂の真相』の岡留編集長へ送った書簡 |
「記者が何度も取材して、2回にわたって残紙問題を取り上げてくれました」
『噂の真相』の他には、『週刊現代』もこの問題を取り上げた。他誌も精力的に取材をしたが、先行した2誌の報道でスクープ性が薄れたことが原因なのか、記事にはしなかった。
『噂の真相』(1999年9月)には、ユース側から森氏に“功労金”として100万円が支払われたとの記述がある。それによると、1998年の8月、森氏は東京・大手町にあるパレスホテルで、読売新聞・販売局部長の樋口(仮名)氏ら3名と面談した。その席上でユース側が100万円の支払いを呈示してきたという。
100万円と引き替えに、調査によって得たデータを読売側へ手渡すことや、残紙問題を告発しない旨の念書に捺印するように求められたらしい。
森氏は金を受け取ったが、後日、『噂の真相』の取材に対して、
「今考えると、やはり金を受けとったのは失敗でした」
と、答えている。
このような経緯があったので、別のルートから2度目の「口止め料」の話が提案されたときは断った。提示額は1億円だった
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東京地検特捜部が捜査を断った後、森氏が送付した抗議文。
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読者コメント
聞いた話では、一審、二審、最高裁×200万円=600万円
せいぜい30~50万円
差が有り過ぎ?
裁判の手付け金はせいぜい30万円から50万円ぐらいでしょう。その後の顧問料がかかるとしても、「押し紙」の負担が月に20万円にも30万円にもなれば、「押し紙」を切って訴訟した方がよほど安いです。20人ぐらいの集団訴訟になれば、もっと安くなのではないですか。
黒藪さんは、簡単に裁判に出て間接強制と言ってますが、裁判費用が4~5百万円掛かるなら皆さん考えますよ?
黒藪さんのお陰で精神的にはかなり楽にはなって来ましたが、小さな販売店ではいろんな形で力がありません。
このブログを見ている方のお力を。
販売店ですが、我々が新聞社の前で公開筆問上を掲げてもあまり効果があがらないないと思います。
何故かと言うと九州問題と同じ結果になります。
本社の手先になっている販売店主の餌食になる可能性がありますのでなかなか踏ん切りがつかないのです。
ですから新聞業界以外の一般読者か、スポンサー若しくは弁護士さんに協力して下さるようお願いいたします。
聖教新聞の印刷関係で争いがあるようですね。終わりの始まりです。読売はもうダメですね。
朝日が赤字を出したようですが読売も赤字でしょう。
読売新聞はひどすぎる! 不買運動をするべきですね。徹底的に不買しましょう。
使い古された言葉ですが、ジャーナリズムは死んでしまったという事なのでしょうか。
正義と真実が勝てない社会には希望が持てません。
民放テレビは新聞社の系列にいるんだから取り上げられない構造。唯一手掛けられるNHKもこの問題を一切、取り上げない。やれば受信料払う人増えると思いますが。
毎回記事を見ているが、まどろっこしい。新聞社の前で合法的に、テレビが取り上げるまで公開質問をすればいい。勿論回答も得る。
たまに新聞にチラシ広告を入れるが、何割かが捨てられているとすれば詐欺と同じだ。腹が立つ。
迫力のある取材と記事に感銘している。
記者からの追加情報
2、「押し紙」という言葉に変わって、本稿で初めて、より実態に近い「偽装部数」という表現を採用した。
本文:全約6,700字のうち約5,100字が
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