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10年後に食える仕事-3 各エリアの職業とその特徴

情報提供
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グローバル化時代の職業マップと代表的職業
 日本人メリットの重要性とその内容については、前章で理解できただろう。グローバル時代には、なるべく倍率の低い競争環境で働くことが重要なのだ。本章では、4つのエリアにわけ、具体的な職業と10年後の見通し、向いている人材タイプについて解説する。
Digest
  • 技能集約、知識集約とは
  • 大連に集積するコールセンター
  • 日本から消える計算事務員
  • 汎用品の開発者
  • 移転可能な一次・二次産業
  • 非ブランド農畜産品は移転
  • 移民次第の低付加価値サービス業
  • 低価格ソルジャー営業は「重力の世界」
  • 単純労働者を計画導入した韓国
  • 日本人の雇用とカニバる介護、看護

まず、5つの「日本人メリットを活かせる条件」を兼ね備えている度合いを、横軸にとって図で示してみる。繰り返すが、日本人メリットとは、「日本で生まれ育った日本人でないと身につけづらい特殊性」である。日本人として日本に生まれ、小中高の教育と家庭生活で身につけたカルチャー、「日本人DNA」とも言うべきスキルを意味し、特段の訓練はなくとも知らず知らず身についているものだ。

そしてもう1つの縦軸のほうには、スキルタイプをとる。その職業で必要となるスキルのタイプが、技能寄りなのか、知識寄りなのかと、その度合いである。これは世界共通のスキル習熟のベクトルのようなものだ。あえていうなら、技能集約的=ブルーカラー系職種、知識集約的=ホワイトカラー系職種である。

この分類によって、すべての職業は4つの明確な事象に分かれ、それぞれにグローバル化の影響が異なり、適した人材タイプも異なることが分かってくる。

技能集約、知識集約とは

縦軸のスキルタイプとは何なのか。日本は現場が優れているがリーダーがいない、マネジメント層がダメだ、とよく言われる。福島第一原発の事故後対応でも、東電幹部や政治家らに、評価されるべき対応力は見られなかった。スペインのアストゥリアス皇太子財団は2011年9月、アストゥリアス皇太子賞の平和部門賞を、原発事故で初期対応にあたった「フクシマの英雄たち」に授与したが、その対象は、現場対応にあたった東電の現場社員や、消防隊員、陸上自衛隊員、すなわち技能職の人たちであった。

多くの企業では、技能集約的な職種を、「技能職」「専門職」といったコース名で採用することが多い。JR東日本では総合職を「ポテンシャル採用」と呼び、駅員、車掌、運転士などの現業部門を「プロフェッショナル採用」と呼んでいる。前者が知識集約的、後者が技能集約的、ということだ。

いわゆる「総合職」は、リーダーやマネージャーとしての職務を期待され、知識集約的な仕事を担当することを求められるが、現実には多くの社員が(特に若い段階では)、労働集約的な仕事に終始している。したがって、皆さんの仕事がどちらに属するのかは、実態ベースで考えてほしい。

このマトリクス図によって、あらゆる職業はプロットできる。そして、グローバル化が進む10年後、20年後に、その職業がどのような境遇へと向かい、その職業がどのような人に向いているのかも分かる。まだ自分の職業を決め切れていない人は、自分がどこで勝負すべきなのかが、自ずと見えてくるだろう。現在、既に特定の職業でキャリアを積んでいる人は、どこに向かっていけば生き残れるのか、伸ばすべきスキルの方向性が分かるだろう。

右上図に、代表的な職業をマッピングしたので全体像をつかんでほしい。エリア別に、さらにブレイクダウンして説明しよう。

①「重力の世界」--重力のように収斂されるエリア

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「重力の世界」の職業群詳細

図の左下のエリアは、もっとも分かりやすい「重力の世界」である。日本人メリットがなく、特段の付加価値の高いスキルも必要とされない職業群だ。現状、このエリアにいると気づいた人は、一刻も早く抜け出すことを考えたほうがよい。

もっともブルーカラー的で労働単価も安く、提供者の人種もほとんど関係がない。販売する商品は汎用品であり、提供するサービスの単価は安い。グローバル化とIT化の影響をモロに受け、重力の法則に従うかのように、グローバルの最低水準価格まで下がっていく。

グローバル水準とは、2011年現在、私が現地で取材した人たちの話を総合すると、日本の大卒初任給20万円に相当するものは、インドで1万ルピー(2万円)=デリー、中国で3500元(4万2千円)=上海、である。インドでは「1年ごとに倍増するか、いい条件のところに転職していく」(中堅IT企業経営者)、また中国では別途、日本の年金保険の企業負担分にあたる社会保障として年収の45%分が企業側の負担として加わる。ただ、地方都市や高卒では年収の相場がぐっと下がり、中国の工場勤務者は月給1500元(2万円弱)ほどである。

つまり、こうした、人件費が10分の1ほどのインド人・中国人へと置き換わっていくのが、「重力の世界」である。

このエリアは、価格が下がるスピード(=置き換わりやすい度合い)によって、さらに3種に分類できる

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dqn000772012/01/16 11:17

good

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pho2012/01/08 21:08

4が2つに割れて、2と3に吸収されつつあるのが現状だと思う。

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ttrr2012/01/08 12:00

細かいところに疑問はあるが,最近考えていたことの一端が視覚化されてるように感じたのでブクマ.英語できなくても稼げる高度な専門職というのがたくさんあるのをつい忘れる.

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nyop2012/01/08 11:28

日本の"エスイー"さんの多くは専門職でなく労働集約な仕事だと思うけど…。

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